16-23. レベルアップとプレゼント(3)★挿し絵つき★
「くぅーん……」
【 『世紀の悪女』 …… それは、まさに♡ ヴェリノさんのための称号と言っても過言ではないです♡】
「きゃんきゃんきゃんきゃんっ!」
【つまり、攻略対象NPC全員からプロポーズされたのに、全員フッちゃったからでしゅね!】
エリザのパピヨン犬と、サクラのトイプードルが口々に答えてくれたところによると……
「ま、まさに…… 俺のための称号……」
ってことに、なるな。
「まさかここまでとは、思わなかったわね」
「ほんとうに ……」
どんだけ先読みしてたのかしら運営、とエリザが呆れ顔をした。サクラの目は何度も 『世紀の悪女』 の上をたどっている…… すごく感心してるみたいだ。
「…… こんな称号まで前もって用意していたんですね、運営さん」
「をんをんをんをんっ♪」
【というかですねww ぶっちゃけ、慌てて作りましたww 運営としては、前代未聞の暴挙に出られちゃったんでww ちょっとした御褒美、みたいなものですよww 】
「きゃんきゃんきゃんっ!」
【チロルはぶっちゃけしゅぎでしゅ!】
りゅうのすけが、まじになってチロルを止めてるところをみると、まさか本当に……?
「え? まじで? 俺のために作られたの?」
【おっとww それは企業秘密でしたww ちなみに称号 『世紀の悪女』 の効果は、好意値上昇率-25%・恋愛イベント発生率+25% です】
「…… なんかむしろ、掟破りのペナルティのような」
【wwww まさかww そんなわけww ないですよww 】
あやしい…… けどまぁ、もらっちゃったもんは仕方ないか!
「今さら好意値上昇率とか、正直、もう関係ないもんね!」
【えww でもww プロポーズ断ったのでww 全員の好意値、下がりましたよww】
「おお、なるほど」
「…… せめて、一緒にウェディングスチルを撮ってくれる程度は残ってないでしょうか」
「おっ、じゃあ、ちょっとチェックしてみるか! 」
俺としては、頼めばみんな、それくらいさせてくれそうだと思うんだけど……
困った顔になったサクラのために、ひとまず急いで交遊画面にスライドすると ――
≡≡≡≡ステータス ③≡≡≡≡
☆プレイモード☆
モブコース(好意値半減)/友情
称号効果 ± 0%
装備品効果 +25%
☆交遊 (PL)☆
◆エリザ・テイラー : 公爵家令嬢・学生・ルームメイト
◆サクラ・C・R : 子爵家令嬢・学生 ※誕生日 07/07
◆エルミアさん : 男爵家令嬢・学生 ※誕生日 05/10
◆リーナ2525 : ショップ 『リーナの万屋』 店長
◆ねこねこねこん : ショップ 『Mon Chaton』 店長・猫型獣人
◆アイリス・グリーン : ショップ 『アイリス&ヴェーナ』 店長
◆ののみや しの : ショップ 『志乃』 店長
◆エルファバ・W. : ショップ 『魔法道具専門店 エレメントゥム水郷』 店員
◆ヤーサミーナ22 : 『リヤド アーイシャ』 オーナー
☆交遊 (NPC)☆
◆エルリック・クレイモア : 王子
(好意値)4,928(友情値)5,748
◆ジョナス・ストリンガー : 侯爵家次男
(好意値)7,268(友情値)3,492
◆ミシェル・ブロックウッド : 伯爵家長男
(好意値)5,514(友情値)4,604
◆イヅナ・T・J・クルス : 海運王家・男爵家長男
(好意値)565(友情値)9,503
☆交遊 (その他 NPC)☆
◆アリヤ・K・T・クルス : 豪華客船 『ブルー・アテナ』 船長、イヅナの叔父
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「おおっ、確かに! イヅナの好意値がほとんどない!」
前は確か 3,000代だったはずなのに…… 何回見直しても 3ケタだ! まさかイヅナ、本気でヤンデレ魔神に進化…… って、それはサクラ相手のときにしか発動しないはずだ。
ということは……
「俺、嫌われちゃった……?」
「あら。どっちかといえば、前が異常だったのよ。これでやっと人並みに戻った、ってところかしら!? おーほほほほ!」
「いえ…… よく見てください、エリザさん。ヴェリノさんも」
サクラが、画面の数値を順に指し示す。
「エルリック王子、ジョナスさん、ミシェルさん…… 3人そろって微減ですが、それでもまだプロポーズラインは余裕で超えてます。それに、イヅナさんも」
「…… 告白ラインは、超えてるわね実は」
「そのとおりです ―― これまでのヴェリノさんの数値に慣れきっていたから、少なく見えますけど…… まだまだ、ばっちりいけます」
そっか…… ということは、嫌われたわけじゃなくて 『ガッカリ』 程度、ってことだよな。
つまり、冷蔵庫に置いといたつもりのプリンが、いつの間にか妹に食べられてたくらいの感覚で…… 期待は外しちゃったんだろうけど別に、 『もー2度と会いたくないぜコンチクショー』 ってことでは、なさそうだ。
「良かったぁぁあ!」
「をんをんをんをんをんっ♪」
【というかww 普通は、プロポーズ断ると好意値-3,000で、『お友達からやり直し』 って感じになるはずなんですけどねwwww】
「プロポーズは年1回…… ということは、もしかしたら、一生プロポーズし続けてもらえるかもしれませんね、ヴェリノさん」
ふふふっ、とサクラが笑った。
「…… とにかく、ウェディングスチル撮るのに何ら支障なし! ってことでしょ」
エリザも、幸せそうだなー。
友だちが楽しんでると、俺まで嬉しくなっちゃう!
「じゃあもう、みんなで撮ろうよ! エリザもサクラも、ウェディングドレス着て! アリヤ船長も、エルミアさんも、ハロルドも呼んで!」
「あ、あ、あたくしはけっこう 「エリザのウェディングドレス姿、見たいな! きっとキレイだろうなぁ…… 」
「当然よっ! あたくしに着こなせない服なんてないわ」
「じゃ、決まりですね。年が明けたら、早速、みなさんに相談しちゃいましょう」
サクラ、素早くナイスフォロー。
「サンタクロースさんが着物をくれてますから、着物でのお式…… じゃなくて、スチルも一緒に撮れるんじゃないでしょうか」
「サンタクロースさん……? ああ、もしかして、あの箱……?」
そういえば、寮の部屋の隅には、風流な柄の紙とキレイなピンクのリボンで飾られた箱が、置きっぱなしだ……!
「そういえば、まだ開けてないのよね、ヴェリノ」
あり得ないわ、という目でエリザが見てくるが…… いやだって、まず包みがキレイすぎて、そのまま眺めてても嬉しくなっちゃうというか、なんか開けるのがもったいないというか!
「着物だったんだなぁ……」
うん。悪いけど、そこまで興味はない! 箱のままでいい…… いや、むしろ箱のままがいい!
「せっかくだから、開けてみましょうよ、ヴェリノさん」
「そうよ。開けないほうが、もったいないわよ」
「お、おう…… じゃあ……」
思いきって、複雑で華やかな感じに結ばれたリボンをほどく。うう…… もったいないなぁ!
ガサガサ、包みを開けて…… 紙は貴重品だから、できるだけキレイに残そう…… あっ、やぶれた。
「もったいない……! 」
「をんをんっ♪」
【心配しないでww このゲームでは紙なんて、はいて捨てるほどあるんですからww】
「それは知ってるけど! 俺は根が庶民なんだよ!」
【 wwww 】
どうにか、包みをほどいて、箱を開けると……
芸術品が、目に飛び込んできた。
―― ごめん、箱のままがいい、とか言っちゃって。
湖みたいな深い緑の地に、いろんな色の花模様が織り込まれている。アクセントの金の和扇 (? でいいのか?) がオシャレな感じだ。
「サンタクロースさん、ありがとう!!!」
思わず叫んだ俺の耳には、聞いてるだけで楽しくなるような明るい笑い声が、よみがえってきていた。
『ほっほっほぉおおおおうっ!』
読んでいただき、ありがとうございます。
作中イラストは、砂臥環さまからいただきました!
本来お年賀としていただいたものなんですが…… こちらで年明けるまで待ちきれなかったので、クリスマスプレゼントにしちゃいましたー!
砂臥環さま、どうもありがとうございます!
砂臥環さまのマイページはこちらです。
https://mypage.syosetu.com/1318751/
名作多数!
異世界恋愛ものも多いので、気になる方はぜひのぞいてみてくださいね♪
さて、期末試験&クリスマス回もこれにて終了……
そして、次章で…… 予想はついておられる方も多いと思いますが…… ラストですっ。
最後までのんびりわちゃわちゃやっていきますので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
更新は5月半ばの予定です。3月4月とあまり時間がとれなさそうなので。遅くなってすみませんが、なるべく遅刻はしないよう…… がんばります。
(追記)⇒すみません! 予想外にリアル立て込みまして、遅れております。5月末までには、必ず……!
いましばらくお付き合いいただければ、めっちゃ嬉しいです!
ではー! まだまだ寒い日が続きますので、お風邪などなどお気をつけて!
すっかり温かくなったらお会いしましょう!
感想・ブクマ・応援★いつも大々々々感謝です!
5/27 前部分の誤字修正しました。報告下さった方、どうもありがとうございます!