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閑話10. ふたりきり?のデート②~ミシェル(4)~

中盤、三人称 (ジョナス・サクラ・エリザ サイド) 入ります。

「……って、ミシェル。なんでそれ!?」


「だって、1回こうしてみたかったんだもん!」


 (とび)色のふさふさした尻尾を俺の首に(から)ませて、俺の肩の上で幸せそうだな、ミシェル……


「おね…… じゃなくて、お兄ちゃんのペットだよ♡ 可愛いでしょ♡」


「うん、めちゃくちゃ可愛いけどな!」


 そこは否定しない。

 だけどな。俺は、ミシェルが超絶可愛い俺の妹になってくれるものと、物凄く期待してたのにっ……!


「まぁ、いいや。ほーれ、もふもふもふもふもふ!」


 床に下ろして毛皮に手を突っ込み、たっぷりともふってやると、お腹を見せてキャッキャッと笑うのが…… うん、確かに可愛い!



「アノ…… ド ドウカナ……?」


 そして、珍しく遠慮がちに掛けられたカホールの声に振り返ると、そこには。


「わぉぉぉぉ! 俺の真実の妹!」


 水色のワンピースに青い髪をツインテールにした、超絶美少女が立っていた。


「カホール! カホールなのか??」


「ウン カワイイ?」


「可愛い可愛い、最っ高に可愛い! ……っ、いたいっ!」


 俺の肩に、またしてもよじ登ってきた子狐ミシェルが、俺の鼻にカプッと噛みついたのだ。


「お姉ちゃん! ボクは?」


「もちろん、めちゃくちゃ可愛いぞ!」


「わーい! お姉…… お兄ちゃん、大好きぃぃ!」


 頬をペロペロされるのが、くすぐったい。


「ズッルゥゥゥゥイ! ジャ カホール モ!」


 ツインテール美少女…… じゃなくてカホールも、ミシェルと反対側の腕に取りついて、頬をチュッチュとしてくるんだが。


「なぁ、チロル。これって大人のお姉さんオプションなんじゃ……」


【wwww 違いますwwww】


「そっか、なら良いんだ、うん!」


 ―――― 美少女に変身したカホールは、幼い顔の割には、しっかり大きめのボールを胸に2つ所有していて……


 ぽよぽよするんだな、これが。

 うん。



 ※※※※



 その頃、隣の部屋では。


「わたしが思うに、ヴェリノさんの真のタイプは 『大人のお姉さん』 ではないでしょうか」


「…… だからといって、なぜ私が」


「何でも良いっておっしゃったじゃないですか、ジョナスさん」


「…… 犬の方がマシだ」


 ボソリとぼやくジョナスの前で、鏡がぷるぷると震え、しばらくして、細い銀縁眼鏡を掛けたスーツ姿の女性が映し出された。まさに、美人女教師。


「胸は小さめよね? 本人もそうだし」


「いえ、それはちょっと違うと思います」


 エリザに向かって、首を横に振ってみせる、サクラ。

 薄紅がかったブロンドの髪はそのままに、すっかりモブNPCへの変身を済ませている。身に(まと)っているのは、デザインコンペに出す予定の制服試作品だ。


「おそらくは、鑑賞用にはパッツンな方が好きなのではないかと」


「じゃあ、どっちよ」


「つまりは、どっちでもいいんじゃないでしょうか。小ぶりであれば 『好みのタイプ』 と思い、大きければ 『すごいなぁ!』 と感動し、ほどほどであれば 『これはこれでいいなぁ』 と、とらえると思われます」


「なんて節操のない」


「ヴェリノさんですから」


「で? どっちにしたいの、ジョナスは?」


「くだらないですね」


 この期に及んで、あくまでも固い態度を崩さないジョナスに、サクラがニコニコとうなずいた。


「では、鏡さん。爆乳でお願い 「小さめで! むしろ、まな板で」


『まな板という選択肢は、ありません』


「…………。では、小さめでけっこうです」


「ほほほほほ! 素直で結構なこと!」


「好みの女になりたいという、涙ぐましい努力…… 素敵です」


「そんなことでは、ありませんから!」


 半ば以上、強引に変身させておきながら、好き勝手にコメントする女の子(プレイヤー)たちに、必死の抵抗を見せるジョナス。

 王子が望むなら、犬にでも爆乳女教師にでもなるが、ヴェリノ (あくまで2番目) ごときのために変身するサービス精神は持ち合わせていない。

 小さめを希望したのは、単にNPC()としてのプライドの問題…… な、はずなのだ。



「さっ、次は、あたくしね!」


 エリザが鏡の前に立った。


「あたくしは…… 『ポケット妖怪』 のヴァンパイアよ」


「エリザさん…… アニメとか、観てたんですね」


「うるさいわね! ヴェリノだって 『ポケット妖怪』 好きじゃない」 


「…… ああ、そういうことなんですね」


「そういうことよっ」


 サクラがぽん、とエリザの肩を叩いた。


「…… 頑張ってください」



 ※※※※



「あー! 楽しかったー!」


 子狐になったミシェルを肩に乗せ、青いツインテール美少女なカホールと腕を組んだりして (ぽよんぽよんが当たるぅ!) スチルをたくさん撮ってもらった後は……


 変身したままのカッコで、まだまだ遊ぶぞ!


 俺たちが、変身用の部屋 『マジック・ボックス』 から出た時。ちょうど、隣の部屋の扉も開いた。


「あれ? ジョナスにエリザにサクラ!? きてたのー!?」


「はて。人違いでは」


「その口調! やっぱりジョナス! すごいー! 美女じゃんっ」


 スラリとした立ち姿。

 もともとジョナスは、顔はNPC(男の子)たちの中でも一番キレイだったんだけど、女体化して柔らかみがついたせいかな。

 たぶん10人いたら10人が (あのツンツンな性格でも) お友達になりたいと思うくらいに麗しくなっちゃってる。

 主張しすぎない大きさの胸といい、タイトスカートから出た、すらりとした脚といい。


「すっごいぃぃぃぃ! 俺、超好みかも! 年上のお姉さんスタイリッシュ美しいぃっ!」


「…… 別に、あなたのために変身したわけではありませんが?」


「分かってるって! 王子のためだろ!? きっと王子もメロメロだぞ、間違いない! 自信を持て、ジョナス!」


 ジョナスの後ろで、無言でグッとサムズアップしてるのは、サクラ…… 見事なモブNPCぶりだ。


 そして、エリザは 『ポケット妖怪』 イチのイケメンキャラ、ヴァンパイアだな。


(サクラもエリザも、りゅうのすけ(トイプードル)アルフレッド(パピヨン犬)を連れてる時点でバレちゃうんだけどな!)


 カッコいいぞ、と俺がエリザに言うより早く。


 その黒いタキシードの胸に、青いツインテールにワンピースの美少女がすごい勢いで飛び付いていた。


「ゴシュジンサマ……!」



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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

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― 新着の感想 ―
[良い点] これはこれは、想像するだに何ともカオスな構図……!(笑) しかしジョナス遊ばれてるなあ……。 苦労人やなあ……。(笑)
[一言] なんだかはちゃめちゃな感じが楽しいのです (*´▽`*) 素敵だんべ☆彡
[一言] 変身キターーー!!!!(大歓喜) >「ゴシュジンサマ……!」 NTRもキターーー!!!!(大歓喜)
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