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輝ける陽のあたる世界~ツンデレ悪役令嬢と一緒に幸せ学園生活!のんびり日常するだけのVRMMO~  作者: 砂礫零


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閑話10. ふたりきり?のデート②~ミシェル(1)~

「わーい♪ お姉ちゃんとデートっ♪ ふたりっでデートっ♪」


 エルリック王子たちと水郷地区に行ってから、3日後。

 俺は今度は、ミシェルと商店街を歩いていた。

 ミシェルは、白いブラウスにベージュの半ズボン。俺の腕にぶらさがるみたいにつかまりながら、スキップするような足取りだ。

 俺と歩くだけで楽しいなんて…… ミシェルったら、可愛すぎるぅぅ!


 俺の頭の上で、青い手乗り竜が翼をパタパタさせた。


「カホール モ イルモンネ!」


「をんっ♪」


「もう! チロルはともかく、カホールは要らないでしょ! 帰ってよね!」


「カホール ペット ダモン」


「王子とお姉ちゃんのデートにも、ついていったんでしょ!? 知ってるんだから、ボク」


「クヤシカッタラ ペットニ ナッテミナ」


「ずっるぅぅぅぅうい!」


 カホールとミシェル、すっかり仲良しさんだなぁ。


「で、どこ行く?」


「お姉ちゃんの行くとこなら、どこでも行くっ」


 くぅぅぅっ…… 何度でも言っちゃうけど、ミシェル、可愛すぎる……!


「うーん、俺、王立自然公園までは行けるようになったんだけど…… ちょっと、遠いよなぁ」


 今日はお昼過ぎからの待ち合わせだったから、これから王立自然公園となると、行ったらすぐに帰らなきゃいけなくなっちゃう。


「じゃあ、遊園地に行こうよ、お姉ちゃんっ」


「え? 俺、遊園地はまだ行けないんだけど?」


 エリザやサクラと一緒だと、ふたりの外出レベルで行けるところには行けるんだが…… 男の子(N P C)とだけで出掛ける時の行き先は、俺が行ける場所に限定されてしまう。


「大丈夫! この商店街の中にあるから」


 ミシェルに引っ張られて、来たところは、商店街の真ん中にあるデパートだった。


「おおお…… まさか、デパートの屋上に、こんなのがあったとは……!」


 1、2時間あればじゅうぶんに遊べそうな、こじんまりとした遊園地だ。  


 一番大きいのが観覧車で、その下には小さなメリーゴーランドと、屋根のついてない園内周遊用の列車、それからコーヒーカップがある。

 どれも、実際には乗ったことがないけど、アニメとかで見たことがあるアトラクションばかりだな。


「残念ながら、ジェットコースターはないんだよね。ここで一番のオススメ絶叫マシーンは、コーヒーカップだよっ♪」


「へえ…… 穏やかそうな乗り物なのにな、コーヒーカップ」


「試してみる、お姉ちゃん?」


「もちろん! チロルとカホール、どうする?」


【遠慮しときますww】


「ザンネン。カホール モ ヤメトク ……」


 動物たちはどうやら、絶叫マシーンが苦手らしいな。


 入り口の係員 (メイドさんタイプのNPCだった) に、ミシェルがお金(マル)を払って、水色のコーヒーカップに乗り込むと、カップはくるくると動き出した。


「思ったより速い! ……けど、これくらいなら余裕だな」


「ふふふっ」


 ミシェルが、カップの中央にある運転ハンドルっぽいものをつかんだ。


「これからだよ、お姉ちゃん。怖かったら、しっかりボクにつかまってね!」


 言い終わらないうちに、ハンドルをぐりんぐりんと思い切り回しだした……


「ぎゃぁぁぁぁぁああ!!」


 ちょっと汚いたとえだが、内臓が身体の中で高速シェイクされてる気分!


「うわぁぁぁぁぁああああ!」


「楽しいでしょっ、お姉ちゃん!」


 ミシェルは、俺が楽しんでると勘違いしているようだ。


「見て! 景色がグルグルまわってるよっ。いい風だねっ」


「おうっ! そうだなぁぁぁぁあ!」


 ここで、おろしてとかヤメテとか怖いとか、言えないよな。

 キャハキャハと無邪気に笑ってるミシェルをガッカリさせたくないし、年上の意地もある!


 俺はぎゅっと目を閉じ (高速回転する景色を見ていると、余計に気持ち悪いのだ) 両手を上に上げて、ギリギリ楽しんでる感じを演出した。


「ぎゃっはぁぁぁぁぁぁあああ!」


 早く止まって早く止まって早く止まって……!



「ね、コーヒーカップって意外と絶叫マシンでしょ、お姉ちゃん!」


「うん、ほんとそれな……」


 やっとコーヒーカップから出た俺は、実のところもうフラフラだったが、ミシェルにはそんな姿、見せられない。

 足に力を込めて、シャキッと歩いてみせるぞ。


「速くてビックリした!」


「実はボク、これ得意なの。もう1回、乗る? お姉ちゃん!」


 ミシェルの笑顔…… あ、これ、何回でもOKってやつだ。


「いや、ほかのも乗ってみたいかな、なんて! あ、ほら、アイスクリームとクレープとタコ焼き売ってるぞ。どれか食べる?」


「全部ぅっ!」


 嬉しそうに、俺の腕にしがみつくミシェル。


「もちろん、ボクが払うよっ。ボクだってNPC(オトコ)なんだからね!」


「おう、ありがとう! 頼りにしてるぞ」


「えへ。お姉ちゃん、大好きぃ!」


「俺も、ミシェル大好き!」


 正直、ミシェルがNPC(男の子)に見えてたら、コーヒーカップの高速回転は泣いてやめてもらってたと思う。


 けど、『ボクだってNPC(オトコ)!』 って主張してる時のミシェルが、また…… 可愛いんだよなぁっ!

5/24 誤字訂正しました。報告下さった方、どうもありがとうございます!

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[良い点] コーヒーカップね……。 あれは一種の拷問機械とか殺人兵器ですよね……。 ボンクラ、絶叫マシンはまったく平気なんですけど、アレは……アレはあきまへん……! ええはい、ガキの頃回しまくって死…
[一言] 自身の狭い経験から申し上げますと、 「屋上遊園地」は「東京浅草松屋デパートの屋上」 「回してあかんコーヒーカップ」は「ディズニーランド」です。
[一言] いやいや、コーヒーカップは悪魔のアトラクションです (´;ω;`)ウッ… ジョットコースターは付き合いで乗ることはあっても、絶対にコーヒーカップは無理です ><。
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