表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

179/340

13-16. リゾートへ行こう(16)~リゾートのスーパー~

「をんをんをんっ♪ をんっ!」


「あーいたいた。ジョナスだ。…… すごいなぁ、箱3つ余裕で抱えてる」


「意外と力持ちなんだよね、ジョナスさん」


「ウラヤマ! ムカツク! …… ッテ、オモッテルネ、ミシェル」


「そんなことないもんっ!」



 結局、スーパーにジョナスを手伝いに行ったのは、俺とチロルとミシェル、それにくっついてきたカホールだけだった。ミシェルは、ジョナスのことはどうでもよくて、俺を手伝いたいらしい…… くぅぅぅっ、可愛いヤツめっ!


 コテージから15分ほど歩いてスーパーの駐車場に着くと、ジョナスはちょうど、屋根なし(オープン)リムジンに食材を積んでいるところだった。

 エルリック王子のために十分買っておこう、ってこともあるんだろう。

 食材は、大きな段ボール箱にぎっちりいっぱいだ。


 早く、手伝ってあげなきゃな!


「おーい、ジョナスぅ!」


 手を振って叫ぶと、一瞬、ジョナスの動きがピタッと止まった。


「今、そっちに手伝いに行くからなぁぁぁっ!」


「………………!」


 駆け寄ろうとする俺たちの目の前で、ジョナスは慌てたように荷物を座席に載せ、運転席に乗り込んで……


 バタン! と、ドアを閉めると、そのまま発車してしまった。


「おい! ちょっと待てよ!」


 走って追いかける、俺とチロル、その俺たちを追いかけるミシェルとカホール全員を、きれいに無視して、リムジンは走り去った。


「…… どうしちゃったんだろうな、ジョナス?」


 みるみるうちに小さくなっていくリムジンを見送って、呆然と呟く、俺。


「まさか、見えてなかったとか? いや、生き霊とか強盗と間違えたのかな?」


「どっちにしても、ひどいよっ! ね、お姉ちゃん!?」


 ミシェルが憤慨してるけど、きっと何か理由があったに違いない。

 ―――― だってジョナスは、こういう時には渋々、引き返してくれて、めちゃくちゃイヤミを言うタイプだと思うから!


「…… うーん。トイレに行きたかったとか、かな?」


「ボクらトイレしないよ?」


「じゃあ、エルリック王子に急いで会いたかった! もともと、『片時も離れません』 みたいな感じだしな」


「お姉ちゃんの水着選ぶ時は、ひとりで来てたけど?」


「うーーーん。じゃあ、なんでだ」


「をんをんをんっ♪」


 頭を抱えてる俺に、チロルが言ってはならないひとことを言った…… すなわち。


【避けられてますねwwww】


「サケラレテルネ、ヴェリノ」


「避けられてるよね、お姉ちゃんっ」


 …… みんなで悲しくなること、言わないでほしいなっ。


「絶対違うと思う! だって、俺、ジョナスにそこまで怒られるようなこと、何にもしてないもんね!」


【いつもしてる、の間違いじゃないですかwwww】


「ちょっと怒られることはしてるけど、めちゃくちゃ怒られることはしてない!」


【はいはいwwww】 「ハイ、ハイ」 「そうだよね、お姉ちゃんっ」


 …… 2匹と1人で、揃って憐れむような目を向けないでほしいなっ!



 と、まぁ、ジョナスのことは気になるけど、分からないんだから仕方ない。

 ―――― 後で事情は詳しく聞くことにして、俺たちはとりあえず、スーパーに寄ってみた。


「おおっ、リゾートのスーパー、けっこう街にはない品揃え!」


【オキナワの特産品を中心に揃えていますww】


「へえ…… だから、聞いたことないネーミングの食材が多いのか……」


「お姉ちゃん! これ美味しそうだよ!」


「ああ、確かにいい色だよなー!」


 ミシェルが嬉しそうに差し出すのは、厚切りの肉だ。


「けど、肉はジョナスがもう買ってそうだから…… お、これなんだ?」


 プチプチした緑の小さいツブツブがついてる、ちょっと海藻っぽい何か。


「ウミブドウ ネ」


【これも特産品ですねww】


「へえ……!」


 世の中には知らないものがいっぱい、あるなぁ……!


 島豆腐にピーナッツ豆腐、青いパパイヤと甘い香りを放つパイナップルにマンゴー…… 

 気になるものはたくさんあるけど、ジョナスの買い物と被らないように考えた結果、俺たちはお菓子を中心に買うことにした。


「やっほぉぉお! 神!」


 なんと、お菓子はそれぞれ試食付きだ。


 ほろほろのクッキーみたいな味わいの 『ちんすこう』 、ドーナッツに良く似た 『サーターアンダギー』 、鮮やかな赤紫色の 『紅芋タルト』 、黒糖キャラメルに黒糖チョコレート……


「お菓子はお菓子で、迷うな!」


「全部、買っちゃえば?」


「おっ、そうするかぁ!」


 幸いにも、バイトイベントのおかげでお金(マル)はまだある!


 俺とミシェルは、買い物かごにお菓子を1つずつ、かごがいっぱいになるまで入れていった。


 ―――― みんな、喜んでくれるといいなぁ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[一言] ジョナスwwww 小学生男子じゃないんだからwwww ウミブドウ美味しいですよねえ! 前に沖縄旅行した時に食べて、病みつきになりました!w 『ちんすこう』もすこ( ˘ω˘ ) いろんな味が…
[良い点] いやあ、ジョナスが順調に壊れてるなあ。 リミットを超えて廃人になっちまわないか心配だよ。(笑) そして――オキナワ! 行ったことないっす、行ってみたいっす……。(ホロリ)
[一言] ――ヴェリノ、それは怒られている訳じゃないのよ?(大いなる母的存在からの呼びかけ) それにしても、ジョナス! 彼本当に、これをさらに突き進んだらどうなっちゃうんでしょう!?(笑) あと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ