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輝ける陽のあたる世界~ツンデレ悪役令嬢と一緒に幸せ学園生活!のんびり日常するだけのVRMMO~  作者: 砂礫零


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13-7. リゾートへ行こう(7)~海上の夜空~

 ――― 山の上の夜空は、ぎゅっと星が詰まってて宝石箱みたいだった。

 それに比べて、海の上で見る夜空は、なんだかやたらと広くて、周りが暗すぎて、星は変わらずキレイに光ってるのに、何か頼りない感じがする。


 皆が夜寝るために仮ログアウトしていった後、俺はひとり、甲板(デッキ)に寝転がって空を見上げていた。

 ちょっと前にミシェルのキャンプ村でみんなで星を見たのが、なんだかずっと昔のことみたいだ。


「ふぅ…… エリザにもついに、相手が見つかったのかぁ……」


 俺の腕を枕にして一緒に寝転がっていたチロルが、ゴロンと寝返りして 「わぅ」 と鳴いた。


【この船の上だけなので、明日丸1日と、帰りの2泊3日だけですけどねwwww】


「そんなので、断罪回避できるほど仲良くなれるの?」


【あれ、ヴェリノさん、それでいいんですか?wwww モヤモヤは?wwww】


「えー、だって、断罪回避のためなら仕方ないじゃん! それにアリヤ船長、まじにカッコいいし。あれは俺がエリザでも惚れる。仕方ない」


【そうですかww】


「おう! 今はいいんだ。俺はエリザを応援するぞ!」


【wwww 頑張ってくださいww】


「うん。そんでもって、いつかイケオジ船長を超える男になったら、エリザに告白するんだ」


【おおww 言いましたねww けど、1つ問題がw】


「なに?」


【このゲームでは、プレイヤーは女の子にしかなれないんですよwwww】


「しまった!」


 そうだった。俺もそれで女の子になってるんだった。

 ――― けどエリザはもう、俺が女の子の方が好きって知ってるわけだし、このままでも行けるんじゃ?

 ……いやいや、友達付き合いはともかく、『そういう意味』 でのお付き合いとなると…… って、そもそも俺、何考えるのーーー!?


 あのエリザ様と手を繋ぐとか。

 あのエリザ様のほっぺにチューするとか。


「うわ…… ないないない! そんなことしたら絶対に扇で叩かれる!

 …… って思う一方で、どんな反応するのかが超絶気になる!」


【イケオジ船長と良い感じになったところを観察しますかwwww】


「それは色々と問題がある気がするし、モヤモヤ復活するからやめて」


【wwwwwwww】


 慰めようとしてくれたのか、チロルが俺の頬をペロッと舐めた時。


 不意に、俺たちの頭の上が陰った。


「何が復活するんですって?」


 腰に手を当てて、ばいーんと胸を張った姿勢と、高飛車な声。


「エリザ! 寝たんじゃなかったのか?」


「眠れなくて」


 俺は慌てて、チロルを膝の上に乗せて起き上がった。

 エリザがすとん、と俺の横に腰を下ろす。


「……っていうか、どの辺から聞いてた?」


「誰かに告白するんだ、からかしら」


「………… 誰に、とか、聞こえた?」


「いえ。けど気にはなるわね? 誰? サクラ? エルミアさん(ルミたん)? それ以外?」


「うーん…… 言わなきゃだめ?」


「言いたくなければ結構よ。けど…… このあたくしに、今さら、隠し事!?」


「うっ……」


 俺は、ちょっと怯んだ。

 こう言ってはなんだが、エリザは高飛車で上からな割に、意外と気にしいだ。

 ここで 「うん言えない」 なんて答えたら、絶対に絶対に絶対に、気にしまくるに違いない!


「うううう……」


「あら。無理にとは言わないわよ、無理にとは。誰にだって隠したいことの1つや2つ、あるものね。たとえ親友といえども、ね」


 …… ほら、エリザったら、やっぱりもう、気にし出してるーーー!


 意訳すれば 「あたくしは親友と思ってたけど違ったのかしら!?」 になりそうな台詞といい、この、いかにもな斜めに見下ろす目線といい。

 さっと取り出された扇は、「言えない」 と言われた時のショックを隠す防御用だろう…… 俺ったらほんと、エリザのこと、よく分かっちゃってるかも!?


「言う言う言います!」


「をんっ」


【あれ?ww 言っちゃうんですか?ww】 と吠えるチロルに、小声で 「仕方ないだろ」 と返すと、エリザの扇がちょっとホッとしたみたいに動いた。


「あら、何も無理にとは言ってないわよ?」


「いや、言うんだけど…… びっくりしないで聞いてね?」


「ええい、まどろっこしい言い方はおよし!」


「はい……」


 俺は、覚悟を決めて、深く息を吸い込んだ。


「サクラでも、エルミアさん(ルミたん)でもなくて…… 」


「だったら誰かしら? どこでまた、引っ掛けたの?」


「ひどいな、おい! ……じゃなくて、今のとこ誰も引っ掛けてないんだけど」


 この辺りで気付いて、『や、やっぱり今日のところはいいわ!』 みたいな流れになってくれないかなー、とエリザをチラ見したりしてみたのだが。


 エリザは、イケオジ船長に半分以上意識が行ってるせいなのか (眠れなかったのもきっと、そのせいに違いない) 、全然、ダメだった。


「もうっ、イライラするわね!」


 さっさとおっしゃい、と命令されて、俺はもう一度、覚悟を決めた。


「えーと、それはですね。今、俺の隣でカリカリしてらっしゃる……」


「カリカリって何よ! …… じゃなくて…… あ、あたくし…… !?」


 あー、やっと気付いてくれた。

 けど、ここまで来たら、もう遅いよね。


 俺はエリザの目を見て、うなずいた。


「うん、実はそうなんだ。俺、ちょっと前から、なんか、エリザのこと好きみたいなんだよな」


「…………。 なんか、みたい、って何よ!?」


 エリザの悲鳴に近いツッコミが、夜の甲板に響いて、それからすぐに、海の音に消されていった。

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[良い点] おお、ヴェリノが男を見せた……ッ! ――というよりも、エリザの性格を理解し、考えた上での「言うしかない」ってところは、恋愛イベントというよりも、自然な流れで……いかにもこの2人っぽくて良か…
[一言] 言った!! 言ったけど……なんかムードがッッッッ!! 歯切れ悪くてあまり無いぞぅッッッッ!!(ォィ
[良い点] あ~ ついに!ついに!! ( *´艸`) この後の展開が予測できないww
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