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13-3. リゾートへ行こう(3)~エリザの水着~

「これは却下よ」


「ええっそんな! 着てみてほしいのに!」


「貰ってから1度も着たことないわ」


 エリザと俺が手にとってるのは、ずらりと取り出した水着のうち、派手な花柄のハイレグ水着。

 1周目プレイの時に、ミシェルみたな少年タイプNPCからプレゼントされたそうだ。

 ハイレグなだけじゃなくて、ワンピースタイプなんだけど腰周りも大きく開いてて地肌が見える仕様だ。

 一応、お腹の真ん中は布で覆われる形になってるようだが……


(もしかしたら、布がないよりエッチっぽいかもっ!?)


 つい、ごくりと生唾飲んでしまう俺である。着てもらえたらスチル撮って永久保存したい。


 けれどもエリザは、それをあっさりポイッとポシェットに放り込んでしまった。


 さて、残る4着。こっちは試しに着てみてもらって選ぶことになった。


 まずは、鮮やかな青地にキラキラしたビーズがついてるビキニ。首元が詰まってて横乳もばっちり隠れ、膝丈の巻きスカートもついてる。


「うん、けっこういいと思う!」


「をんをんっ♪」 「くぅーん……」


 チロルもエリザのガイド犬(アルフレッド)も一緒に誉めてるから、大丈夫だよな。色もキレイだし、露出が少なくて安心して見ていられる感じだ。


「これ、去年も着たのよね。王子NPCからのプレゼントで」


 ……え。さっき、ミシェルタイプからも貰ったって言ってたよね、エリザ!?


「もしかして、エリザも1周目は逆ハーレムを……?」


「いえ、全員とそこそこ仲良くはなっていたけど、まだ告白イベントまで行ってなかったから…… ご挨拶的なデートで、季節柄、水着のプレゼントが多くなっただけ」


「へ、へぇ……」


 ヒロインなエリザ。素直にNPC(男の子)たちとデートに行くエリザ。ちょっと、想像できない。


「ふっ…… ま、あの頃と比べたら今の方が楽しくないこともないような気がしないことも、なくってよ?」


「うっわー! エリザがそんな風に言ってくれるなんて、嬉しすぎる! どうしたんだ、エリザ!?」


「も、もうっ! なに勝手に喜んでるのかしら!?」



 エリザが、つーん、と俺から顔をそむけて、ゆるっとしたタンクトップと短パンのセパレートを手に取り、空中に現れた 『着る』 ボタンを押した。

 ぱっ、と水着が切り替わる。


「こっちも安心感抜群だな! 白地ってのがカワイイ!」


「をんっ♪」 「くぅんっ……」


 ガード力が高すぎて、ほかの色ならガッカリしそうなところだが、白っていうのは…… なんか色々、連想させちゃうんだよなぁ!


 さて3番目は、俺のネコ水着と同じ、ホルターネックのカシュクール (と言うんだと、サクラに習った) で、地は大きめの花の模様。

 立派な胸を更に寄せて上げている感が……、見事すぎてもはや芸術だと思う!

 最初のと同じような感じの膝丈の巻きスカートがついてて、露出もそれほど多くないな。


「お、なかなかイイんじゃないか?」


「をんをんをんっ♪」 「くぅん、くぅん……」


「そう? でも次も着てから、決めるわ」


 最後の水着は、少し変わったデザインだった。短パンのセパレートなんだけど、上部分が布を片方の肩にひっかけて、胸に巻いたみたいな形だ。胸がしっかり隠れてるのに、片方の肩ががら空きなので、期待感を損なわない!


 濃いゴールドブラウンのシックな色合いがエリザに似合ってるし、縁にちょっとだけフリルがついてるのもカワイイ。

 短パンは短めで、しっかり生足が拝めるのもポイント高いぞ!


「うんうん、これもイイ!」


「をんをんをんっ♪」 「くぅん、くぅん……」


「…… ちょっと、ヴェリノ」


 あれ。エリザの機嫌が、何か良くないぞ。全部ほめたのにな?


「全部イイって、真剣に選ぶ気あるの?」


「え? だって本当にどれもイイし」


「聞いてるんだから、ちゃんと答えてよね!」


「だって、最終的にはエリザの好みで決めるんだろ?」


「ばっ……!」


 エリザが何か、文句を言おうと口を開いた時。


「どれも似合っておられますよ、お嬢さま」


 渋みのある美声が、俺たちの後ろから聞こえた。

 タラップで会った、イケオジ船員NPCだ。


「それぞれにお嬢さまを引き立て、輝かせる装い…… お友達を責めるのは、少々気の毒かと」


「そうかしら」


 おっ、なんだかエリザがちょっと機嫌良くなったぽい!

『全部いい』 とかじゃなくて 『輝かせる』 みたいな言い方をすればいいのかな? 勉強になるぅ!


 それにしても …… 一体、いつから見ていたんだ?


 俺たちマークされてるの? とチロルにこっそり聞いてみたところ 【特権で全部分かるんですよww 乗客同士のトラブルの防止が仕事ですからww】 ってことだった。


 その説明を裏付けるように 「船旅は、仲良くなさるのが一番ですからね」 とウィンクしてみせるイケオジ船員。


渋い。けれど目尻の笑い皺がそれをいい感じに和らげてて…… 確かに、言い合いする気とかなくなっちゃうな。


「個人的には、最後のが一番よろしいかと存じますが…… おっと、差し出がましいことを。失礼いたしました」


「いえ、いいのよ…… では、これにしようかしら」


 えええええ、エリザぁぁぁっ!?

 何かめっちゃくちゃ、素直なんですけどっ!?

 まさかまさか、俺だけじゃなくて、エリザまでイケオジに毒気を抜かれたというのか!?


「では、お嬢様方。引き続き、良い船旅を!」


「…………」


 ぴしっと決まって優雅な動作で深々と一礼し、颯爽と去っていく後ろ姿を見送り、エリザはボソッと何事かを呟いた。


 ――― またしても 『素敵』 とか聞こえた気がするんだけど…… 多分、気のせいだよね!?

※ 膝丈の巻きスカート : パレオのことですww


※3/14 誤字訂正しました!報告下さった方、ありがとうございます。


※3/14 すみません……! 表記ミスで激しくネタバレをしてしまっていました。訂正しましたが、見ちゃった方、お許しくださいm(_ _)m そしてご指摘くださいました八刀皿 日音さま、どうもありがとうございます!

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[良い点] しかしアレですな。 男子がいない状況だと、ヴェリノが基本「女子扱いされてない」こともあって、エリザと二人だとフツーにデートっぽく見えるのが新鮮で面白いですな。 小説ならではと言いますか………
[一言] 些細な事ながらも、険悪な空気になるかと思ったら、ここでまさかのイケオジが!(感涙) とまぁ、今回のようにやはり言い方と言うか、そこらへんそんな意図がなくても『なんでも良いよ』に思われないよ…
[一言] エリザ陥落!? (;'∀') イケオジ強し! 水着回よかったです (*´▽`*)
感想一覧
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