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輝ける陽のあたる世界~ツンデレ悪役令嬢と一緒に幸せ学園生活!のんびり日常するだけのVRMMO~  作者: 砂礫零


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10-8. ピクニックに行こう(8)~お弁当を食べよう④~

 『マジカル ミラクル はじまるよっ!』


 強制ログアウトになったとはいえ、相変わらず恥ずかしいログインワードを唱えれば、すぐにゲームの中……


 の、はずが。


「あっれぇ…… 故障かなぁ?」


 俺は首をひねった。


 暗闇の中に延々と浮かぶのは 『ロード中』 の文字と、一列に並んで散歩し規則的に跳ねたりこけたりするモフモフ犬たち。


「それとも、電波障害……?」


 それならありそうだ、と納得しかけた時。


 新たな文字が浮かび上がった。


【お待たせしておりますwww】


「チロルぅ……! いったい、どーなってんの!?」


【只今、解毒剤を誰が投与するかで、モメておりますww 今しばらく、お待ちくださいませwww】


「えええ? どういうこと?」


【人気者はツラいね、ってことですよwwww】


 チロルの説明によると。


 まず、俺は食当たりして意識不明の状態なので、誰かに解毒剤を投与してもらえなければ、死亡(ゲームオーバー)


「このゲームにそんなバッドエンドがあるのか!?」


【リアリティーを追及する開発側が運営側に打ち勝った結果ですww

 ま、99.99%誰かが解毒剤を投与してくれるわけですがwww】


 俺の場合は、志願者が多すぎて揉めているらしい。


 まずは、急いで解毒剤を手配してくれたエルリック王子とジョナスが……


「では、早速ヴェリノに飲ませよう」


「お待ちください。王子がそのようなことでお口を(けが)されてはなりません。代わりに自分が」


「しかし、私はヴェリノに飲ませてあげたいのだ!」


「 な り ま せ ん 」


 ……と揉め、そこへエリザが扇で顔を隠しつつ 「仕方ないから、あ、あたくしがやってあげてもよくってよ……!」 と申し出てくれたらしい。


 するとイヅナが 「人命救助だからな……! オレもひと肌脱いでやってもいいぜ!」 と周囲に忖度。

 ミシェルは 「ボク! ぜーったいにボクですから!」 と自己アピールを続けているそうだ。


 しかし先ほど、反省しまくったエルミアさんが 「ヴぇっちがこうなっちゃったのは、あたしのせいです…… ぜひ、あたしに、させてください! お願いー!」 と皆に土下座。


 そしてハロルド (どうやらハッチのことらしい) は、そんなエルミアさんに何やらボソボソと囁いた後、非常に申し訳無さそうな表情を作った。


「いや、元はといえば僕のせいだ。ここは、僕に任せていただけないでしょうか」


 おや、悪いやつだと思ってたが、意外といい人…… いやいやいや。騙されないぞ、俺は!


「いえいえ」 と、ハロルドの申し出をさっくり断るのは、ジョナスだ。


「他グループの方にそんなことをしていただくと、向こうの王家の方にもヒロインのエルミアさんにも、それこそ申し訳ないですから……

(意訳:ヨソモノはすっこんでなさい)」





【こういう感じで、現在、話し合いが行われておりますのでwww もう少々、お待ちくださいw】


「なんてこった……! ――― 愛されてるなぁ、俺……!」


 感激だなー!

 みんなが俺の生還のために、こんなに真剣になってくれてるなんて……!


「あ、そういえば、サクラは?」


【『どなたが飲ませても、スチルカメラの用意はバッチリですよ』 とのことですwww】


「え? カメラ? どうしてそこまで!?」


【けっこうレアなイベントですからwwww】


「え? アタる確率50%て」


【ここで敢えて食べるプレイヤー、1%いませんからww】


 だがしかし、実は。

 チロルによると、そこから恋が始まったりもするらしい。


 ――― なるほど。

 確かに、命を助けた (助けられた) 相手を好きになるっていうのは、王道だな!


「じゃあ俺は、やっぱりエリザがいいかなー? …… あれ、てことは?」


 急に心臓がドキドキしてきた。


 俺、もしかして、エリザのこと、めちゃくちゃ好きなんじゃないかーーー!?


「や、やばい、どうしようチロル! 俺この後、エリザの顔まともに見れる気がしない!」


【wwwwwwww ま、頑張ってください wwww】


 チロルの返事があったところで、急に。


 さあっと、口の中に甘酸っぱいレモンの味が広がった。


【ちなみに、解毒剤投与は初めての場合はレモン味、2回目はイチゴ味、3回目はバナナ味で……】



 暗闇に浮かんでいた文字が、途中から頭の中に響いてきた。


【4回目以降は禁断の、とろとろチョコレート味ですwww】



 耳には、みんなの声が次第にはっきりと届き始めている。


「もうっ、ボクの解毒剤だったのにー!」 とか言ってるのは、ミシェルだな。


「…… まぁ、私も残念だが…… ヴェリノが無事であれば、それで良しとしなければ」


 これは、エルリック王子だ。


「あんなモノに飲ませてもらって大丈夫かしら」


 エリザが心配してくれてるぞ……!

 どうしよう、なんか、めちゃくちゃ嬉しい気がする…… あ、けど、エリザが飲ませてくれたんじゃないんだなー。残念。

 いったい、誰が飲ませてくれたんだろ?


 ――― と、そこへ、氷を浴びせかけるような冷徹な声。


「大丈夫でなかったら、アレは処刑でよろしいかと」


「いや…… それは可哀想だろ」


 たしなめてるのは、イヅナだな。


「あー、ヴぇっちの目蓋がいま、ピクピクって!」


「良かった…… もう心配なさそうだ。ね、エルミアさんさん?」


 おおお? ハッチ…… もとい、ハロルドまでが、心配してくれてる、だと!?

 やっぱり、意外といい…… いやいやいや、騙されるな、俺!

 弁当わざと落としなんてしておいて白ばっくれるヤツは、陰険ク◯ヤローに違いないのだ……!



 お、手足の感覚も、段々と戻ってきた。太陽の光が、暖かいなぁ……


 …… ああ、生きてるって、素晴らしい。



 そして、頬を撫でる、何か固くてザラザラした…… 




 え? ザラザラ?




「……!?」




 ぱっちりと開けた俺の目に飛び込んできたのは、煌めくいろいろな青の鱗と、ザラザラと流れる超小粒のダイヤモンドの涙。


「ヨカッタ…… ゴシュジンサマ、イキカエッタ……! カホール、イッパイ、ゲドクザイ、ノマセタヨ……」


「おおっ…… カホール。お前だったのかぁ……! ありがとうな」


 手を曲げて背中を撫でてやる。


「おかげで、助かったぜ!」


「ゴシュジンサマ……!」


 ひし、と抱きついてくるカホール…… が、小さな手にすごい勢いで引き離されて、ぽい、と後ろに投げられた。


「うわぁぁぁあん! お姉ちゃん! 生きてて良かったぁ……!」


「おー、ミシェルも、ありがとうな……!」


 本当はボクが飲ませるはずだったんですからね! と主張する、鳶色のキューティクルな髪をヨシヨシ撫でてやっていると、その横から、今度はエルミアさんが 「ヴぇっちー! 本当にごめんなさいー!」 と泣きながら謝ってきた。


「いや、気にすんな! 俺は俺の正義を貫いた…… それだけさっ」


 「失礼。容態をみます」 


 ここで、エルミアさんの背後から割り込む、氷の帝王…… いや、ジョナス。

 無表情なまま、おでこをコッツンコしてくるのがこわい。


「頭突きされるのかと思ったぜ……!」


「36.5度。平熱です。頭突きどころかその頭かちわってマトモな思考に改造して差し上げたいのですが」


「無事で本当に良かったよ、ヴェリノ…… 起きれるかい?」


 ジョナスの問題発言をスルーして、エルリック王子が手を差し出してくれる。


「おー、サンキュー!」


 起き上がって見回すと、みんなのお弁当はまだ、シートの上に置きっぱなしだった。

 ――― お弁当そっちのけで、心配してくれてたのかぁ……!


 改めて、ジーンときちゃう俺である。



「みんな、ありがとうな! あと、メチャなことして本当にゴメン!」


「本当よ!」


 エリザが、腰に手をあてバーン、と胸を反らすいつものスタイルで見下ろしてきた。


「ま、バカがバカなことしてバカな結果になったからって、あたくしはちっとも、心配なんてしませんでしたけどねっ!?」


「エリザ……」


 んー! 懐かしいなー! 嬉しいなー! このツンデレ感っ!


「な、な、なによっ……!? なにボーッとしてるのかしら? やっぱり熱があるんじゃないの、この子?」


「俺、俺……」


 何か言いたかったんだけど、なんだか胸がいっぱいになって、何にも言葉が出てこないな……!


「なによ……! はっきりおっしゃい……!」


「俺……………… 弁当、食いたい!」




 それから、俺たちは、みんなで楽しく弁当を食べた。



 その途中でコッソリ、サクラが耳打ちをしてきた。



「スチルいっぱい撮りましたから、後で楽しみにしておいてくださいね」


「おう、ありがとー!」



 サクラいわく、『個人的にはジョナスかイヅナが良かった』 そうだが…… どうして、なのかなー?

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

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― 新着の感想 ―
[一言] これは、滅茶苦茶ヴェリノ愛されていますなwww!! ハッチ達に関しては、『本人同士がそれで満足しているなら、それを否定したら押し付けがましくなるのでは?』という懸念があったのですが、ヴェリ…
[良い点] むしろ、0.01%で解毒剤を飲ませてもらえずに死亡するルートというのが実在するのか気になる……! 誰の目にも触れること無く消えていきそうなルートながら……。 けど、この開発陣はそんなところ…
[良い点] しゃあああキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!www←R17大好き読者www [一言] >(意訳:ヨソモノはすっこんでなさい) そうだそうだww チロルもイケイケ!w (←おいw
感想一覧
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