第105話【思い出話③】
TIPS【後悔先に立たず】
「この事はミンには伝えないならば教えても良い、ミンには教えたくない」
「何故?」
「・・・・・後悔させたくないんだ」
ドンは俯いてコップに注いだ酒を見る。
「・・・分かった、ミンさんには伝えないでおこう」
「トーホクさん、良いんですか?」
ハックがトーホクに問う、ミンの為に来たのにそれで良いのかと。
「ドンちゃんの方がミンさんの事を思っているのならば
これは聞かせない方が良いと言う事だろう」
「あぁ、そういう事だ?」
「ミン?・・・って一体誰の事だ?」
ダランが茶々を挟む。
何も知らないのは気の毒だとダランに事情を説明するも
酔っていたダランは途中で眠ってしまった。
「まぁ、眠ったなら説明しなくて良いか・・・」
「じゃあ教えてやるよ・・・継承の儀の事は知っているな?」
「話は聞いたよ、君とカチとやらがその場で剣を作って提出したんだろう?」
「そうだ、そしてその時意見が真っ二つに分かれたんだ」
「それは知っている」
「その時、俺は思った、ありえないと」
「あり得ない?」
「カチが作ったのは短剣だ、確かに短剣は普通の剣よりも短いし
扱いやすいだろう、だが優劣を競うのならば俺の剣の圧勝だった筈だ」
「確かに君の腕が負けるとは思わないよ」
「継承の儀の時のカチの顔を見たが勝ちを確信した、余裕そうな表情をしていたんだ」
「・・・・・まさか」
「そう、俺は気付いた、カチは審査する者達を買収しているのだと」
「マジすか?」
ハックは驚きで呟きを漏らした。
「アイツは俺とは違い交友関係も広い奴だった・・・そういう事もしてくるだろう」
「・・・・・」
「だが買収し切れなかったのか半々に別れた、そこでカチは初めて表情が崩れたよ
そこでミンが最後の一票を入れた、と言う訳だ・・・
最後に俺達の運命を決めたのはミンだ、その選択を後悔させたくない」
キザっぽいかなと照れながら酒を呑むドン。
「・・・分かっていると言うのは?」
「大方良心の呵責に耐えられなかったって事だろう
俺が言いたいのは俺は気にしないから黙っていろと言う事だ
ミンを後悔させたくない、悲しませたくない」
「・・・・・良いのか、それで」
「終わった事だし俺の人生はアイツの贖罪の為に有る訳じゃないんだ」
つまみを食べながら酒を呑むドン。
「君が良いならそれで良いさ、ミンさんにも上手く伝えよう」
「すまないな」
「良いさ、じゃあ呑もうか」
「あぁ」
ドンとトーホクの呑みが始まり、ハックは部屋から出て行った。
「おでぶちゃんも呑みたいにょー」
「我慢なさい」
TIPS【でぶ妖精は何方かと言うとつまみの方が食べたい】




