ヴァンパイア2
うーん、しゅごくひさしぶりですね
目の前に現れた美女。
その厳かな雰囲気とは裏腹に口調は軽い。
「誰だ?」
あまりに急な出来事に優也は最低限の言葉のみを発した。
いや、それ以外発することが出来なかったというべきか…
女性は目を細めながら話始めた。
「私はオリヴィア・ケーニッヒ。貴方たちの言うヴァンパイアの女王デース」
「ヴァンパイア?ばかばかしい」
優也はそう言ってオリヴィアを見る。
彼女きっと可愛そうな人なんだ。外国から日本にやって来て言葉の壁かなにかで友達が作れずきっとこんな痛いコになってしまったんだ。
優也は初対面にも関わらずそんな想像をしていた。
「強く生きて」
そっと呟きその場を立ち去ろうとする。
こんな子にかまってないで病院に行かなければ…
「強く?何のことだかよく分かりマセンが、行かせはしまセーン」
それは一瞬の出来事だった。
優也の目にはオリヴィアが突然姿を消したように見えた。
次の瞬間彼は体を背後の壁にめり込ませていた。
何が起きたか解らなかったが、激しい痛みが衝撃を物語る。
「本来、貴方を私の眷属にするためにはるばるやって来たのデスが、どうやらとんだ見込み違いのようデース」
オリヴィアの目が急に冷たいものとなる。
その目はお前にもう興味はないとはっきり物語っていた。
優也は突然の出来事に完全に混乱していた。
もちろん急に吹き飛ばされた痛みもある。しかし、それ異常に押さえきれない空腹。
この状態で感じるのもおかしな話だか、今まで理性で押さえていた空腹が彼を飲み込む。
痛みと空腹に抗うことは出来なかった。
彼はそのまま意識を手放すことになる。
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気がつくとそこにはボロボロになったオリヴィアがいた。
腕があらぬ方向に曲がっている。
そんな中でも彼女はかろうじて意識を保っているようだ。
徐々に周りが見えてくるにつれて自分のおかれている状況を認識する。
あちこちが傷つき、骨がおれ、内臓が覗いている。
それに気づいた瞬間
「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
彼は絶叫した。激しい痛みが襲い再び彼の意識を奪おうとする。
その時、オリヴィアが
「仕方ない。血盟を結びマスか」
と言っているのが聞こえた。