一家の主として
一枚の写真がある
夏至を迎えた朝まだき
夏の目覚めはこんな頃
仄かな明かりを受けた写真は
射し込む光を撥ね返して黒くさえ見えた
墨で掃きたる大地に光る 二条の白金闇を刺し
脇に点りし幻燈の 眩い青が宙に浮く
出庫を待つ機関車は二条の白金を踏みしめて息を整えていた
青や橙の明かりを浴びたロッドは脛の腱
ボイラーを這うパイプは、浮き出た血管
闇夜に映える灰色の煙をゆらゆらさせて
時のくるのを待っている
整備工場からもれる光を遮るボイラー
射るような光は闇に拡散し
虚空を駆ける
一枚の写真
夜明けの光を浴びる闇夜の機関車
部屋を飾る唯一の写真
ハラハラッと雨がしぶいた
白雨だろうか
窓の雨粒が朝日に輝く
キラキラ、キラキラ
レンズになって、キラキラ、キラキラ
強い光を見つめていると、虹が見えてきた
朝日に向かって虹など見えるはずがないのに
雨粒ばかりか、街路樹も虹で囲われる
ふと見ると、黒っぽい写真も虹に囲われていた
激しく煙を噴き上げて
朝日を浴びて機関車は駆ける
家族という名の荷物を牽いて
妻という名の御者に従い
朝日を浴びた機関車は駆ける
彩雲というテーマから外れてしまいました。
私の寝室は東向きの部屋です。
まどの真下に頭をおいて寝るので、気がすむまで星空を眺めることもできます。
そして朝。
今の時期は夜明けが早いのですよね、四時にはもう空が白んでいます。
だからというわけではないのですが早起きで、そのぶん新鮮な空気をいただいています。
ところで最近、輝くものを見ると周囲に虹が見えるのです。
見方によっては眼の障害でしょうが、でも、若者すべてが虹に包まれて見えるとしたら
いけない! 仏に一歩近づいてしまったようですね。