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閑話2 知らない顔、ありませんか?

 13話での明星の報告についての灯里視点のお話です。

 あ~あ。

 とうとう明星(あの子)が男作っちゃったかあ。

 元々、外見や言動とは裏腹に乙女チックに憧れているところがあったし、仕方ないのかなあ。

 この前聞いた失恋の話からすると、明星(あの子)ったら男女(おとこおんな)呼ばわりされたことで、むしろ男っぽさが増したっぽい。

 で、その裏で、そんな自分を女の子として認めてくれる人を待ち望んでいたってところかしら。

 あの子、いつも「僕は女の子だ」って言うしね。

 「女」じゃなくて「女の子」って。

 男っぽく振る舞いつつ、女の子として見られたいっていうのがあの子のコンプレックスなんだわ。

 星也さん(お兄さん)なら、きっと明星(あの子)のそういうコンプレックスには気付いてるわよね。

 あの子は疎まれてるって思い込んでるみたいだけど、 お兄さん、絶対あの子のこと大好きだもの。

 家に遊びに行った時に何度か会ってるけど、あの子のこと優しい目で見てた。

 憎まれ口きいてるけど、多分照れ隠しよね。


 多分、小さい頃にあの子がお兄さんに色々気を遣っていたことに気付いていて、その優しさに感謝しつつ、気付かないふりで憎まれ口を叩いてるってところね。

 とすると、あの子の彼氏さんは、お兄さんの眼鏡に適った人のはず。

 ううん、弟だって嘘を教えることで、女だと気付けるかどうか試したんだわ。

 気付けなければそれまで、気付いて、なおかつあの子を口説き落とせて、初めて合格なんだわ。

 ツンデレでシスコンなお兄さんなんて、どこに需要あるのやら。

 お姉さんの旦那さんに随分ショックを受けたって話だから、お兄さん(自分)のために敢えて男っぽく振る舞う妹を気にするなら、そういう妹を気に入るであろう友人を焚き付けてみる…ありうるわね。

 少なくとも、明星(あの子)と彼氏さんの出会いは偶然だったようだし、折角出会ったんなら試してみようと考えたってとこね。

 あの子の話じゃ、彼氏さんは相当鋭いみたいだし、お兄さんも最小限しか関わらずに成り行きに任せてるのね。

 最短で、クリスマスには大人の階段登っちゃうことまで予測してるんだろうし。

 あたしにしてみると、かなり意外だったけど。


 あの明星が、あんなにグイグイいくとは思わなかったわ。

 イブのデートに着てく服を選ぶためにあたしを頼るとか、今までの明星(あの子)だったらしないもの。

 頼られるのはまんざらでもないけど、明星(あの子)がどんどん女の顔になっていくのは少し寂しい…かな?

 あたしの元カレが誤解して嫉妬するほどの王子様っぷりだったのにねえ。


 あたしも明星もノーマルだし、お互いに友情以上のものは感じてないけど、あたしは一番の理解者って立場が奪われることに嫉妬してるかもしれない。

 あたしの知らない昔話も、彼氏にはしてるみたいだし、きっとあたしの知らない明星(あの子)の顔も見てるんだろうな。


 明星(あの子)がお風呂場ではしゃいでる姿なんて、あたしは見ることはない。

 妬ましいけど、あの子が幸せになるなら、あたしは応援してあげなきゃ。

 でも、一番の親友であることだけは、誰にも譲ってあげないんだから。

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