第八話
(前回のあらすじ)
やっべぇ。フラグが!!
セシル・オールストンはブラックの攻略対象だ。
キャラクターの中でも貴族や平民の差別をせず、近づきやすい事で有名。
しかし。彼はそんなに甘くはない。
一見すると爽やかで分け隔てなく誰にも好かれる優等生タイプ。
しかし実際は腹黒く打算的でドSという誰よりも裏表激しいキャラだった。
そうでもないと商人はやっていけないだろうけど、人としてはどうかと思う。
ホワイトルートでもまあまあひどい目にあわされるので関わりたくないキャラNo.1だったのに。
「どうかされました?」
今此処にいるんですけど!?
デジャヴュを感じますね。
そしてただ今私は祖父様の後ろに隠れています。怖いから。
「すまない。うちの孫はほとんど外に出たことがないので、人見知りのようなんじゃ。」
そんなことはないけどそういう事にしてくれた祖父様、ありがとう。
「レイラ、挨拶。」
「…………レイラ・アクロイドです。」
ひと睨みしてはい、終了。
よろしくするつもりはないのでね。これくらいしか言うことありませんよ。
ああ、祖父様困り顔だ。ごめんよ。私には命がかかってるんだ。
それに試すことがあるんだ。
「レイラさんですか。よろしくお願いします。」
失礼すぎる私にも完璧な笑顔で対応するセシル。
間違いない。こいつもう腹黒だ!!
腹黒じゃあなかったらここで完璧な笑顔なんてできまい。
それに家を聞いて目の色が変わった。お得意様にさせといて損はないもんな。アクロイドは。
それにしても五歳にして腹黒ってどんな育ち方したんだよ。
「………祖父様、そろそろ帰りませんか?」
「そうじゃな。」
祖父様も何か察したんだろう。承諾してくれた。
此処で去っていったら、ちょっと失礼な女の子だったな程度の認識しかされないはず。
すぐ忘れてもらうためにもさっさとトンズラしなければならない。
「ああ、ちょっと待って下さい。」
のに、この男!!
私はお前に関わりたくないから行こうとしてるのに何故止める!ケーワイか!?
「僕、レイラさんともっと親しくさせて頂きたいのです。よろしければこの後お茶でも。」
嫌に決まってんだろ!
「あえてハッキリ言いますが、うちをお得意様にしたいなら両親に取り入って下さい。私に取り入っても意味ありませんよ。大体、失礼な態度とっても内心の不快を一ミリも感じさせようとしない腹の中真っ黒そうな子供と仲良くなんてしたくないに決まっているでしょう!」
確かゲームでは裏の顔を知ったら一時期嫌われていた。そこでヒロインが一生懸命頑張るから絆が深まるんだけど、私は頑張るつもりなぞさらさらない。
ここで嫌われてもヒロインとは関わりないし、たぶん大丈夫!
それに昔から腹黒い奴は大嫌いだったから言いたいこと言えてスッキリ。
さあ!これで関わりたいとは思えなくなっただろう!!
「…………フフッ。驚いたなぁ。今まで家族以外誰も気付かなかったのに。こんな子供に気付かれるなんて。まあ、ばれちゃったからには仕方ないね。」
おお、ここまではゲーム通り!ちょっと感動ですな。
「これからは………。」
うん!
「君にどんどん関わっていくから。今まで素顔に気づいた人なんて両親以外では姉くらいしかいなかったし。興味持ったからね。」
そうそう!もう君とは関わらないから。素顔を見られた人なんてどうせ距離をつくるだけだから興味失せたし。あ、言っとくけど拒否は無しね……………ってえ!?台詞違う!?
「あ、言っとくけど拒否は無しね。」
そこは一緒!?
「そんなの嫌です!」
そんなの嫌!………ってこれヒロインの台詞じゃん!私が言っちゃ駄目でしょ!!
「すみませんね。うちの息子が。」
セシルのお父さん!
「いやいや。かまわんよ。孫は今まで同い年の人間と関わる機会が皆無だったらしいからの。
友という存在も必要になってくるから、調度よいしな。」
おいくそ爺!!なにサラっとレイラはぼっち発言してんだよ事実だけどさぁ!それなりに気にしてんだよ!
「え、君友達いないの?」
セシルにそういわれた瞬間、何かがぶちりと切れた
「………お前は友達沢山だろうけどさあ!。私は今までほとんど外に出たことすらなかったんだんだよ!。どうせ箱入りで政略結婚するんだし出る必要もないとかやさぐれてたけど、やっぱり友達とか欲しいと思っちゃうんだよぉぉぉ。」
言いながら泣けてきた。
「…………………」
黙るセシル。
少しは反省したか?人のデリケートな部分に土足で踏み込んだんだ。反省してもらわなければならない。
「………ふはっ。」
なっ!?
「あははははははは!」
腹を抱えて笑うセシル。
再びぶちぶちっと切れた。
「セシル貴様ぁ!!」
「ははっ。冗談だったのに本気にして、っは、本当に友達いないとかっクク、適当に流せばいいものを、余計なことまで喋るとかっ、あははっ、馬鹿なんじゃないの?あははははは!」
「人のデリケートなところ笑ってんじゃねえよ!!やっぱお前とは命が云々とか抜きにして関わりたくないわ!!」
今度こそ本気で帰ろう。
「ははっ。レイラはキレると言葉遣い変わるんじゃな。誰の影響じゃろ。」
「誰でしょう。父様でしょうか。」
父様部下に怒るときこんな感じだし。
「いやー。久しぶりに笑った。レイラってその滑稽さでお金取れるんじゃない?」
「黙れ腹黒。貴様と話すことなぞないわ。」
こいつ人の神経逆なですることに関してはプロ級だな。
「一回うちにおいでよ。僕の姉さんってここ最近外に出られてないから退屈そうなんだ。君の馬鹿っぽい動作を見れば少しは退屈もまぎれるんじゃないかな。それに姉さんは可愛いもの好きだし、そこそこ可愛い君を連れて行けば喜ぶと思う。まあ可愛さでいえば姉さんの圧倒的勝利で君など足元にもおよばないけど。」
こいつは馬鹿っぽいとかそこそことかよくも………!
てかこいつ相当なシスコンだな。私では足元にもおよばないとか。
私は、まあ悪役顔だけど将来美人さんになるのだがなぁ。その姉ってのはそんなに可愛いのかね。
そういえばセシルって姉いたっけ?ゲームでは………ああ、いた!会話の一部くらいしか出てこなかったけど確かにいた!
えーっと確か、ずっとセシルをイジメてて、セシルが四歳の時の春に旅行先で山賊に襲われ死んだというすっごい可哀相な人生な子だったはず………え?
「セシル、今何歳って言ってた………?」
「五歳だけど、それがなに?」
………………えっ?
「あの、去年の今頃に旅行にいったりした?」
「計画はしてたけど、計画の段階で姉さんに拒否されたからなくなった……って、何なの?」
一言ごとに馬鹿にするような視線を最後に向けられるのはマジでムカつくがそれどころではない。
姉が生きてる………?ゲームではそんなことなかった。しかもセシルがシスコンって………イジメてたのに、そんなことある?まあ、セシルにマゾな性質があるのなら話は別だが違うだろう。こいつは足蹴にするのが好きなタイプだ。
「今、すごく失礼なこと考えてない?」
「ハハッナニヲオッシャイマスヤラ。」
どういう事なんだ?
これは確かめる必要がありそう。
「………セシル、貴方のお姉さんのところに会いに行きたい。」
「ありがとう。君の滑稽な姿を見たら姉さんも笑い転げるよ。」
くっそ殴りてえ。
「日程はいつ頃がいい?私はなるべく早い方が良いんだけど。」
「じゃあ明日の昼とかどう?」
「祖父様、明日の訓練はその後でいいですか?」
「ああ、良いぞ。」
「じゃあ、そういうことで。」
セシル親子と別れ、今度こそ帰る。
外はもう夕暮れ時で朱く染まっていた。
あれ、何か忘れているような…………。
「ああ!オーディン待たせっぱなしでした!」
「大丈夫じゃろ。わしなんか丸二日待たせた事もあるしの。」
それは駄目だと思う。
「それよりも、セシルと随分仲良くなったようじゃな。」
「あれは仲良くなったとは言いません。」
どちらかというと悪くなったと思う。
「しかし、レイラのあんな年相応な姿は始めて見たしの。レイラは大人び過ぎているところがあるから心配していたんじゃ。少ししか接していないが、可愛い孫の事じゃからのぅ。セシルも、お前と似て大人びているから、少なくともむこうはどこか感じるところでもあったと思うぞ?」
「そうですか?私にはただ嫌みを言っていただけだと思いますけど。」
ああ、腹が立ってきた。
「まあ、そういうことにしておくかの。」
祖父様は終始楽しそうだった。
そのあと、大きな鹿肉を買って、オーディンにお詫びとしてあげたらすごく喜ばれた。
祖父様からは一度もなかったらしい。おーい祖父様ー。
キーワードを少し変更しました。
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