第七話
(前回のあらすじ)
いよいよ武器を決めるよ!
今、祖父様オススメという武器屋に向かって、街を歩いてます。
因みにオーディンは竜専用の駐車場、駐竜場というところで待ってもらっています。王都は騎士の本拠地で、その中に竜騎士というものがあるらしく、祖父様がそれの現役らしい。パワフルな老人だ。
竜騎士と言うだけあって、当然竜に乗ります。そうなるとどうしても竜を置いておく場所が必要なため、そのような施設があちこちに作られたそう。
オーディンも待っていることだし、早めに終わらせよう。
「祖父様、あとどれくらいで着きますか?」
「もう見える頃じゃぞ。………ほら、あれじゃ。」
あ、剣が彫られてる看板がある。あれかな?
中には、騎士っぽい人や冒険者っぽい人がちらほらいた。
「お、ブレントン。いらっしゃい。武器見に来たのか?」
奥の方から、マッチョなおじさんが出てきた。お店の人っぽい。
祖父様の名前を知ってるってことは、祖父様常連客なんだな。
「今日は孫の武器を見に来たんじゃ。」
「孫ぉ?」
祖父様の影から顔を出す。
「始めまして。レイラといいます。」
「おお、そうか。俺はガルっていうんだ。よろしくな。ブレントンの孫って言うからどんな怖い顔の子供が来るかと思ったが、めっちゃ可愛いじゃねぇか。」
頭をぐしぐしと撫でてくれた。
オーディンといいガルさんといい、祖父様のイメージって顔が怖い人なの?
しかし、私も将来は立派な悪役顔になるので祖父様のことは笑えない。
「ガル、貴様………。」
「おお、怖い怖い。さて、冗談はここまでにして、お嬢ちゃんの武器だったな。どういう感じのやつがいい?」
どういう感じ、か………。
「………力はそんなにないので、手数で稼げるような武器がいいですね。スピード重視か、遠距離タイプでお願いします。」
「了解。ちょっと待ってな。」
ガルさんは奥に引っ込んで行った。
しばらくすると、いくつかの武器を持ってきてくれた。
「お嬢ちゃんはまだ子供だしかなり成長するから、武器によっては定期的に作りに来た方が良いぞ。短剣はそんなに変えなくても良いし、隠しておけば武器が使えなくなった時とか便利だから、持っておいて損はない。」
なるほど、では短剣は使う事にしましょう。
他には弓、ボウガン、両刃の剣、レイピア、あと………ん?
「あの、これは…?」
「ああ、それか?片刃の剣だ。珍しいだろ。ここら辺は両刃の剣が主流だからな。これは遠い異国の武器らしい。」
それは前世の故郷、日本では馴染みの武器、うちにも飾ってあったもの。
日本刀だった。
時代劇とかで目にする、侍とかが持ってる、あれ。
うちの御先祖様が使っていたものだとかで、家宝にされていた。それに憧れて、剣術も習った。
唯一、自分から始めたスポーツだったな。そういえば。
「あの、これにします。祖父様、良いですか?」
「ああ、良いぞ。」
「よし。じゃあ、お嬢ちゃんに合いそうなやつ持ってくるから、試してくれ。それに合わせて、訓練用の木剣作るから。」
そのあと無事合いそうな物もみつかり、木剣も明日に届けられるらしい。
さあ、オーディンのところへ戻って帰ろう、という時だった。
「ガルさん、いらっしゃいますか。」
「ああ、此処にいる。」
突然、来訪者がやってきた。
「ガル、そちらは?」
「商会の会長のオールストンさんだ。オールストンさん、こちらは友人兼常連のブレントンです。」
え、ガルさんと祖父様友達だったの、とどうでもいい事を心のなかで突っ込む。
「始めまして。オールストンと申します。ガルさんには大変お世話になっております。」
「ブレントンだ。こちらこそよろしくたのむ。」
オールストン…………?なんか、聞き覚えが。
「ガルさん、今日は社会見学で息子を連れて来ているんですが………。」
「ああ、構わんよ。」
息子さん?
「わしのところも五つになる孫を連れて来ているんじゃ。遠慮はいらん。」
「ああ、そうなのですか?実は息子も五つになるんですよ。」
へぇ、同い年なんだ。
「セシル、挨拶しなさい。」
ん?セシ、ル………?
「皆様、始めまして。セシルと申します。どうぞこれからも、父と商会をよろしくお願いします。」
そう言って年不相応な、落ち着いていて完璧な微笑みを見せた少年。
栗色の髪は、くせ毛なのかフワフワしている。
空色の瞳は、私とは違い優しげな印象を抱かせる。
整ったパーツの顔は、ウィルに負けず将来美形になるだろう。
しかしそんなことはどうでもいいのだ。
なんで此処にいる?
なんで今来る?
なんで予想できなかった?
まさか、まさか、こんなところで
攻略対象に出会うなんて!!
嗚呼、死亡フラグが立ってゆく………。
さあ、新たなるフラグが立ちました。
何フラグかはご想像にお任せします。