第十話
セシルの姉、カミラさんは去年の春旅行先で死ぬはずだった。
だけどその旅行には行ってなかった。理由はカミラさんが反対したから、らしい。
そこで思った。この人、もしかしたらゲームをしたことがある、つまり転生者なのではないかと。
一回見てみたいなと思い、セシルのお誘いを受けて今に至る。
ゲームでセシルルートを選ぶとちょこっと話しの中に出るくらいのキャラだったから、スチルも何もないキャラだったし、一回は見ておこうと思って来たんだけど………
いざ見てみたらめっちゃ美少女!
何これ!何で出さなかったの運営!?レイラよりはるかに可愛いって本当じゃん!そんじょそこらの美少女だったら引立て役くらいにしかならないよ!!
「………ねぇ、セシル。」
「ん?」
「お姉さんを私に下さい。」
「はぁ!?。」
「必ず幸せにしてみせます!絶対後悔させません!あ、いや、死亡フラグ立ったらアクロイド潰れた時もあったような………じゃなくて!とにかく、下さい!」
「駄目に決まってるでしょ!何ふざけたこと言ってるの!?」
いたたたた。頭グリグリしないでー。
…………はっ。正気に戻った。
「ごめん。セシル。お姉さんが美少女すぎて我を失ってた。もう大丈夫だよ。」
「………本当に?」
「本当です。カミラさん、騒がしくしてすみません。」
「構いませんよ。弟の友人が良い人そうで安心しました。」
本当すみません。
「よろしければ、是非二人きりでお茶したいのですが、如何でしょう。」
おお!まさかむこうから転生について聞けるチャンスをいただけるとは!
「はい。喜んで。」
「まあ、嬉しいですわ。テラスに準備させましょう。」
はたしてカミラさんは、転生者なのか!確かめよう!
十五分後
…………はい。話すきっかけが見つかりません。
けっこう話しこんでいるのですが、全く見つかりません。
「それで、レイラさんはこれから何かしたいことはありますか?」
「そうですねぇ。できれば将来は魔法関係の仕事に着きたいと思ってるので、魔法学校に行くために勉強したいです。まあ、まずは魔力測定からですけど。」
「ふふ、そうですね。私も魔法学校に行きたいと思っているんです。お互い行けるといいですね。」
あはは、うふふと会話する。
………これ、五歳児の会話か?
貴族で英才教育受けてるからこうなるんだけど、日本にいた頃じゃ考えられないね。
「あ、そうだ。将来の事といえば。レイラさんは、」
「?、はい。」
「他人の恋路を邪魔したらブラックな男の人によって自殺させられるという予定はありますか?」
………え?…………え!?
「!?っげほっごほっごほ。」
な、何で………。
「だ、大丈夫?」
「げほっ貴方も、転生者?」
このこと知ってるのって、それしかないよね!?
「ええ、そうよ。前は日本の東京で暮らしてました。通り魔に刺されて死にました。倉橋まりです。」
わああああ!初めて会ったよ!といっても記憶取り戻したのつい最近だけどね!
「私、前は福岡で暮らしてて、子供庇って事故りました。竹内優です!転生者に会ったの初めて!」
「あはは、私も初めて。」
うわうわ、凄い!お互いの自己紹介の内容はともかく。
「カミラで呼び捨てで良い?」
「良いよ。私もレイラって呼ぶ。」
「カミラは、何時思い出したの?私は最近だけど。」
「え、そうなの?私は初めてセシルと会話した時よ。あの時は本当ビックリしたわ。」
だよねー。
「ゲームではセシルの事虐める設定だったんだけど、もう可愛いすぎて駄目だったわ。めっちゃ甘やかしたもん。」
ああ、あいつ、見た目だけは天使だもんね。
「その結果、今のシスコンになっちゃったわけだね。」
「まあ、そういう事。旅行に行くのを中止させて死ぬのも防いだ事で、何か補正かかって死ぬかもしれないと思ったけど一年無事に過ごせたし、後は普通に人生楽しむつもりよ。」
そっかぁ。って
「ああ!私まだ死亡フラグ回避できてない!ゲームの期間終わるまで気が抜けない!!」
忘れてた!
「うわ、大変そうね…………ヒロインの選択次第で変わるんだから、貴方が一番危険よね。」
嫌だ…………。
「まあでも、出来るだけのことなら協力するわ。困ってる友人を見過ごすなんてしないしね。」
貴方が神か。
「ありがとう………!」
まあ、なんやかんやありつつ、転生者と友達になれました!
前世とあわせても、初めての女子友達だ!
今まで寂しかった………!
………あれ?目から汗が。