不要な契約は不自由な元
「とりあえず、刀は手に入ったし後は・・・なんでも良いから着るもの見つけないとな。」
そう、今現在俺は殺したオークから奪った刀と布きれを腰に巻いているだけである。
犯罪者とか盗賊とか後は服を着ている二足歩行の生物が居ればすぐにでも奪えるのだが、オーク以降は全く現れず俺は草原を未だ歩いていた。
それにしても自分の声にどうにも違和感がある。
なんだか妙に甲高いというか変声期前の子供の様な気がする。
それに全体的に筋力も心なしか落ちているような気もする。
身長はあんまり変わらないし、髪の毛の色だって真っ赤だから間違いなく俺で有るはずなんだが?
そんな事を考えつつも俺は当ても無く歩き続ける。
しばらく、歩き続けると目の前に川が見えた。
丁度喉が渇いて来たので、水を飲むため近くに寄って水面を見るとそこには赤い髪の幼い少女のような可憐な顔をした俺が映っていた。
「おいおい、こいつは一体どういうことだよ魔王様よぉーーーーーーーーー!!!!!!!なんでだ?嫌がらせか?それとも負けた腹いせか?上等だとりあえず見つけ次第必ずぶっ殺してやる」
この日魔王を殺す理由が一つ増えた。
その時だった。
どこからともなく二人の男が現れた。
「へっへっへ兄貴こいつぁ運が良いですぜ。序にこいつも攫っちまいやそう」
「ああ、そうだな。しかもこんな上玉だ。かなり高値になるだろうしな。悪いなお嬢ちゃんこんなご時世だ。俺たち大人の慰めってくれや?序に懐もな」
「慰めってって兄貴のはサイズが飛びぬけてるんだから丁寧に扱っても壊れちまいやすよ」
「おいおい、あんまりほめるんじゃねーよ。おめぇーには今日捕まえた少女をくれてやる」
「でっへっへさすが兄貴だ。どこまでも着いてくぜ」
二人組の馬鹿どもは俺を目の前にそんな会話をしていた。
全く話にならねぇ
そんな話は捕まえてからゆっくりやればいいのによ
ま、二人の会話を待つ理由も無いわけで俺は二人に向かい音も出さずに走り出す。
二人は俺が動いていることに気が付いていない
「さて、お楽しみタイムと行くぜぇ」
「合点・・・承・・・知・・・」
二人は俺が立っていた地点を見ているが、俺はそこにはもういねーよ
「まずは一人」
「あん?どこ行きやがっ・・・た・・・・」
「あばよおっさん服は頂いてくぜ」
俺がそういうと二人の男たちの首が地面に落ちる。
さて、物色タイムだ。
まずは、身ぐるみ剥いで服を奪う。
まー身長が足りないから全部だぼだぼのぶっかぶかなんだが素っ裸よりはマシだな。
次に金目の物は・・・ほう魔石を持っていたのか、ずいぶんと粗悪品だがそれでもある程度の金にはなるな。
そういえばこいつら向こうの方に少女を攫ったとか言っていたな・・・良し、可愛ければ助けよう。
この時こんなことを考えていた俺だが今ではすごく後悔している。
少女自体はすぐに見つかった。
縄で木にグルグル巻きにされていて、猿轡をされていたのでしゃべることは出来ないようだ。
俺が少女に近づくと、少女は俺に気が付いたのか顔を上げる。
顔だけ見ると少女は美少女にカテゴリーされるし、体つきも良いし何よりも俺好みだ。
だが、性格は見た感じだと解らないとりあえず少女に話掛ける事にした。
「おい、縄を解いて欲しいか?欲しければ一度頷け」
俺がそういうと少女は一回頷いた。
「そうか外して欲しいか・・・・なら条件として俺の物に為れ。わかったならもう一度頷け」
俺がそういうと少女は少し遅れて頷いた。
まーこの問いかけ自体は別段どうってことは無い
実際縄を解いて逃げ出すならそれでも良いし、それはそれで構わなかった。
別段今現在そこまで飢えている訳でも無い。
だから、俺は軽い気持ちで猿轡と縄を解いた。
だが、少女は俺に抱きついて、あろうことか俺を押し倒しやがった。
「ちょっとまてお前一体何する気だ!!!!」
「何って私はお前と契約した。だからこれからはお前の物になるためこの体に契約の証を刻む」
契約まさかさっきの問答事か?
「証!?ってまさかっっむぐ?」
少女はそれだけ言うと俺に口づけを行う。
逃がさないように俺の顔を両手で押さ付ける。
しかし、お互い目は見開いていたのでムードも何もあったもんじゃないがな
それから行為は1時間におよび続いた。
事が終わると少女はまるで死んだように眠り始めた。
隣で起きてる俺は今日を振りかってみる。
死んで、生まれ変わって、殺して、奪って、やっちゃった。
待ったく内容だけ見れば最低最悪だが、これが俺である。
だからこそ胸を張って言える。人生って奴は面白い
しかし、この少女に関しては面倒な事になったなと考えなくもない。