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客人

 牛乳騒動から3日くらい後、休み時間に教室の本棚をうろうろしていると、隣に田中くんがやってきた。本を選ぶフリをしながら、声を落として、周りには聞こえないようにそっと、あたしに言う。

「ねぇ。今日放課後、だいちゃんがあそこに行きたいんだって」

 あれ以来、話す事をお互い、敢えて避けていた。だから話しかけられてドキッとした。

 それを顔に出さないように頑張りながら、首を傾げる。あそこってどこ? あそこ……ああ、あそこ

 思わず眉をひそめて、田中くんを横目でチラ、と見上げた。

「……何で?」

「分からない。でも、多分……」

 田中くんは本棚の後ろ、窓の向こうの景色を眺めていた。窓の外にはグランド、その向こうにはあの雑木林がある。

「確かめたいんじゃない? きっと自分の目で見たいんだよ、事前に」

 彼は今、あの雑木林の奥の、あの小さなほこらを見ている。頭に中にはっきりと、思い描いているはず。

 あたしもつられて顔を上げ、雑木林を見ながら、困ったように呟いてしまった。

「……そんな事言ったって……」

 言ったって、さあ……。

 桑原くんは、牛乳騒動の後学校を休み、今日久し振りに登校してきた。何事も無かったかのように、図々しくも楽しく一日を過ごしている。

 そんなKを、あそこに……? そりゃ、言ってる事はわかるけど……。

 あたしの胸中を察してくれた田中くんが、申し訳なさそうに言った。

「とりあえず、場所の確認だけでいいよ」

「……でも……いいけど……」

「僕も行こうか?」


 あたしは顔を上げて、彼を見た。彼もあたしを見ている。もう、ひそひそスパイトークはやめたらしい。あたし達は世間話をしている、ただのクラスメートだ。

 田中くんが苦笑した。

「二人じゃ気まずいでしょ?」

「……よくご存知で」

「そりゃご存知だって」

 あははと明るく笑う。気遣いと優しさが垣間見えて、いつもの田中くんの笑顔だった。

 あたしもつられて笑う。何だか気持ちが、すごく暖かで浮いてきた。


 これから異常な事をしようとしているあたし達が、こんなに穏やかで、細やかな感情の機微を感じられる日常を、普通の顔をして送っている。それがかえって、非日常に思える。





「クソおっせぇ」

 

 早い日暮れの中、重いランドセルを背負ってわざわざ道草をしてあげたあたしに対する、奴の第一声がこれだった。

 分かっていた、分かっていたけどね。大変損な役回りをさせてしまったという負い目も、十分背負っているけどね。

 ……だけど何よ、その言動その態度。

「クソは余計。ワザと時間をずらしたの。一緒に行ったら変で目立つでしょう?」

 それでも自分を抑えて、こんなに穏やかに対応しているあたしを褒めて欲しい。やっぱり女子は大人、同い年の男子は子供よ。我慢してあげるしかないのよ。

 桑原くんは、あの白い花が咲き誇っている草むら、祠に続く道の脇に、ランドセルを置いて腰をおろしていた。

 ジロッとこっちを睨んでくる。あ、今、彼の将来の職業が見えた。

「一人か?」

「……後で、田中くんが来るかも」

 言いながらあたしは意味も無く恥ずかしくなり、なんとなく目を反らした。

 彼はそんなあたしを眺めると、両手を後ろに付き、体を少し倒して、辺りを見回した。

「ここかぁ。お前らの『ヒミツの場所』って」

「……」

 何故か、その言い方に独特の含みを感じる。

 僅かに唇をすぼめたあたしを、桑原くんは目ざとく見つけた。

「何だよ」

「別に」

 すると彼の、どこかからかう様な響きの言葉が飛んだ。

「ずっとヒミツにしておきたかったのに、って顔してる。二人だけのヒミツにって。でも話持ち込んだのはお前らだぜ?」

 言われたあたしはもう、どうしようもなく恥ずかしくなって、

 つまり逆切れしてしまった。

「何の用なの? 本番まで会わない約束でしょ!」

 気のせいかニヤニヤと笑うKと、目が合う。くっそぉ!

 その瞬間、何とも素晴らしいタイミングで田中くんが姿を現した。

「あ、遅れてごめん」

「おっせぇよ」

 ちょっとぉ! その「おっせぇよ」、あたしに対する「クソおっせぇ」と全然響きが違う! 絶対あたしの事嫌いよね?! 嫌いだよね?!! だとしてももう少し、大人になってもいいと思うんですけど!

 田中くんはあたしの怒りに全く気付かず、無邪気な笑顔を曇らせて桑原くんに近づいた。

「ねぇ大ちゃん、顔赤くない? 昼間見たときも思ったんだけど。風邪?」

 そう言いながら、彼の顔をぺたぺたと両手で触る。……ちょっと。

 あたしは一歩引いた。田中くんは少し身をかがめる様にして、桑原くんの顔を沢山触っている。二人とも学校では、お互いあまり話さないように気をつけているから、ここでは誰も見ていないから思う存分、何?

「ああ、これ。皆にも言われた」

 桑原くんは、ぺたぺた触られている事をまったく気にする様子も無く、さらっと言う。

 田中くんは、自分の肩の位置にある彼のほっぺたを触り続けながら、首を傾げた。

「何なの?」

「親父に殴られたあと


 すると、今まで彼のほっぺたを触りまくっていた田中くんの両手が、ピクッと揺れた。

 あたしは驚いて、深く考えるより先に言ってしまった。

「何で?」

 桑原くんが、目だけジロッとこっちを睨んできた。

「決まってんだろ? 本気で聞いてんのか? わざとか?」

 半分本気で、半分わざとです。いい加減イチャつくのはやめて下さい。小学生でも、それだけ大きくなるとなんだか気持ち悪いんです。

 桑原くんは晴れ晴れと言った。

「初めて殴られたよー。結構すごかった」

「……」

 何その、似合わない無邪気さ。

「母ちゃんは泣くしさ。俺って絶賛反抗期中だわ。あいつらが箸を上げただけでもムカつく」

「……箸が転がっても可笑しい方が、いいね」

「そんなもん可笑しいか」

 桑原くんが憮然と田中くんを見やる。なんか変な会話。

「何でカズと喧嘩なんかしたの?」

「あれ? 俺の機転だよ。自然でいいだろ? 他の奴を巻き込まないから、面倒臭くなくていいし。一志かずしだってすぐに応じてくれたぜ」

「打ち合わせを勝手に変えんなよ。何が起こったのかって、こっちはヒヤヒヤするじゃんか」

「変えてないじゃん。ちゃんと一志が、山中や前田をお前んクラスに送ったじゃねぇか。これ以上ないくらい上手くいっただろ」

 すると田中くんが、ため息交じりに言った。

「やり過ぎなんだよ。いつもみたくちょっと暴れるだけでよかったのに。牛乳なんてどっから持ってきたの?」

「給食室からだよ、当たり前だろ」

「え? じゃああれ、全部給食の残りの牛乳?」

「そうだよ? 30本くらい余ってたから、全部開けるのに苦労したぜ。途中何本か飲んじまったけど」

「「……」」

 あたしと田中くんは絶句した。

 だって想像しちゃう。給食室の片隅で、バケツの側に座り込み、一本ずつ黙々と牛乳瓶を開けていくK……。

 すると隣で、田中くんが呆れた様に言った。

「やる事派手なのに、準備は意外と地味なんだね」

 あ、やっぱりそう思う?

 桑原くんは、心外だ、とでも言うように腕を組んだ。

「入念と言え。そもそものアイデアは一志かずしだ。あいつもまさか、俺が本当に実行するとは思ってなかったみたいだけど」

 かず君が?!

 あたしと田中くんは、再び絶句。

「……うわぁ」

「……陰険」

「だろ?」

 やだかず君、だからあんなに逃げ足速かったんだ。心当たりアリまくりだったのね。


 田中くんが、桑原くんを改めて見降ろした。

「で、今日は何でここに?」

「……証拠を見せろよ」

 彼が言う証拠とは、おきゃくさんの事。

 田中くんは真顔で彼を見つめた。

「……わかんないよ。見せられるかどうかなんて」

「だったら本番は無理だ。佐々木と野瀬、両方刺すから覚悟しろよ」

「……」

 刺す、と言うのは、どうやら男の子達の言葉らしい。相手を窮地に追い詰める、という意味。つまり桑原くんは、かず君が持っているあの写真を世間に公表すると言っている。そうなると佐々木先生も、ただじゃ済まない。多分、職を追われる。

 桑原くんはそれを、田中くんに宣言したんだ。再認識させた、とも言えるかもしれない。

 何故なら、田中くんは佐々木先生が好きだから。女性として。

 言われた田中くんは、一瞬息をグッと詰めて、下唇を僅かに噛んだ。瞳が苦しげに揺らぐ。

 何故なら、佐々木先生が好きだから。

 女性として。


 こんな田中くんを見るのは、辛い。


「証拠が見たいんなら、何かお供え物を用意しないと」

 あたしは桑原くんに言った。

 すると彼は、手のひらサイズの箱を差し出してきた。

 それは赤いビロードで覆われていて厚みのある、いわゆる大人のジュエリーボックスだった。サイズと雰囲気からして、中に入っているのは指輪かピアス、小さめのネックレスといったところだろう。

 想像もしてなかったものを出されて、あたしは唖然とした。

「これ、なあに?」

 まさか家から持ってきた、お母さんの物?

 彼は厳しい表情で見つめている。冗談、と言うわけではないらしい。

「消して欲しいものを、消してくれるんだろ? 物だけか?」

「……どういう意味? 何を消して欲しいの?」

「親父の浮気」


 あたしは絶句した。

 桑原くんはそれっきり、口を開こうとはしなかった。

 戸惑ったあたしは田中くんを見上げたのだけれど、彼も十分戸惑った表情をしていた。きっと桑原くんちの家庭事情を、少なくともあたし以上には知っているだろうけど、それとこの桑原くんの行動をどう結び付けていいものか、図りかねている様子だった。

 あたしは二人を交互に見た。でも彼らをずっと見つめ続けていても、どうやららちが明かないようだったので、背中から鞄を下ろした。脇に下げているきんちゃく袋から、小さなプリンを取り出す。

「……これ……」

 祠の前に置いた、給食のデザートのプリンを見て、田中くんは驚いたようにあたしを見た。

 あたしはその隣に、桑原くんのジュエリーボックスを置きながら言った。

「田中くんから話聞いた時、なんとなく想像ついて、一応持ってきた。だってお供えが何にも無いと、出てくれないかもしれないでしょ?」

「……菅野さん」

 田中くんの、感心したような声が聞こえてくる。別に彼の為ではないけれど、どちらかと言うと桑原くんの気持ちや立場を尊重しての事だけど、それでも田中くんに喜んでもらえると、素直に嬉しかった。心が小躍りする、と言うか。

 あたしは祠の前で、二拍手二礼をして、両手を合わせた。

「おきゃくさん。こんなショボイものでごめんなさい。どうか、桑原くんのお父さんの浮気を、消して下さい」

「……」

 後ろの男子達は、何も言わない。きっと様々な思いを抱えながら、こちらを見つめているのだろう。誰も何も言わない。

 あたしも黙って、祈り続けた。

 あたし達子供は、どんなお願いも出来る。それは権利であり、特技であり、力だ。


 田中くんの、低い声がした。


「もうすぐ、日が沈む」




 あの時、田中くんと二人で、コンビニのおばあさんから聞きだした話。

 おきゃくさんは、11月から12月の冬至までの間、日没の時にだけ姿を現す。

 それは始めは霞のように不確かなものだが、やがて日に日にはっきりとした形で表れるようになり、最後には、人の形で歩き回る。

 それは神様。福の神様。人々に幸いをもたらし、その姿を目に出来れば、後に良い事が起きる。

 だけど注意。人に育ったおきゃくさんと、目を合わせてはいけないよ。

 特に冬至の日没に、おきゃくさんと目が合えば、連れていかれてしまうのよ。二度と戻って来れないよ。

 祠に、引きずり込まれるよ。




 日没が始まったら、周りの空気が急に湿っぽいものに変わった。あの時と同じだ。ここのところ乾燥続きで湿度はとても低く、今でも空には雲ひとつない。なのに周りの空気が、湿っぽくヒタヒタと冷たくなる。まるで溶けた氷を首筋にあてられているよう。

 あたしは無意識に後ずさり、田中くんの腕をジャケット越しに、思わず掴んだ。田中くんも全身で緊張したまま、彼の腕を掴んでいるあたしの手を、グッと握ってきた。

 風がぶわぁぶわぁと、揺れる様に吹く。冷たくて寒くて、なのに冷や汗が垂れそうな気分になる。


 来た。


 現れたおきゃくさんは、この前より更に、明らかに育っていた。

 背丈は田中くんより少し小さいくらい。手と胴体どころか、肩と頭がある。そして、足で歩いている。ただその足はまだ歩きづらそうで、地面を引きずるようだ。よく見るとおきゃくさんの、足首から下が無い。ズズともゴボともつかない音を立てて、移動している。その度に草むらの満開の白い花達が、風の動きとは関係なくワサワサと花弁を揺らす。体全体ははっきりと見えるけど、それは雲のように白くて、ゆらゆらと揺れている。口からは、ゴボゴボと音を立てている。


 あたし達三人は、おばあさんの忠告も忘れて、おきゃくさんを凝視していた。


 ところがおきゃくさんは、あたし達と目を合わすつもりが無いのか、まるでこちらに関心が無いのか、あたし達の目と鼻の先を通り過ぎていった。不自然な足の動きとは対照的に、非常に滑らかな動きで、プリンとボックスを手にして。プ、プリン。似合わない。ごめんなさい、次はケーキにします。美味しいケーキ屋さんがあるんです、って鳥肌立てながら思う事?!


 祠の扉が、風で開いたように見えた。おきゃくさんはその中に、身をかがめる様にして入っていった。

 ゴボ、ゴボ、という音も、消えていった。


 後には、霧が晴れた様に、日常の世界。いつもの乾いたからっ風。

 その中で、あたし達三人は立ちつくした。

 おばあさんの、言ったとおりだった。信じていたけど、信じられない。やっぱり何度見ても、すごすぎる。喉が渇いて張り付いている。


「……マジかよ……」

 桑原くんの掠れた呟き声が聞こえてきた。あたしも田中くんも、正直、構う余裕が無い。

 その時、彼は急に、弾かれた様に動き出した。

 なんと祠に小走りに駆けより、その扉に手を伸ばしたのだ。

 なっ何やるのっ!!

「桑原くん!!」

大翔だいと!!」

 あたしと田中くんは咄嗟に彼を止めようとしたけど、遅かった。

 桑原くんは、扉を開けてしまった。

 やめて! もう駄目!

 理由なんて分からない。でもそこだけは、開けてはいけない気がする。開けたら最後、おきゃくさんは味方で無くなってしまう気がする!! あたしは両手で顔を覆った。


「……何だこれ……」


 桑原くんの、茫然とした呟き。あたしは動く事も、顔を上げる事も出来ない。心臓がこれ以上ないくらい、恐怖でバクバクとしている。

 けれども、いつまでたっても、何も起きる気配が無い。あれ?

 あたしは恐る恐る、両手を離して顔を上げた。

 田中くんと桑原くんは、体を入れるには少し小さめの祠の中を、二人揃って覗いていた。そして見つめたまま、動かない。何? 何? 何があるの? 何がどうなってるの? 黙ったままじっとしてないで、状況を説明しなさいよっ。

 でも彼らからは、あたしに説明を施そうとする、気配すらない。しょうがないからあたしも、彼らの後ろから、そっと中を覗いてみた。


 中には、空のプラスチックのケースがいくつか転がっていた。それはよく見ると全て、あたしが今までお供えをしていた給食の残りデザートだ。ヨーグルトとかゼリーとかプリン。この間あげたお団子の串も落ちている。食べ散らかされてる。ここには確かに、何かが居たんだ。食べ物を食い散らかす、何かが。

 あたしはゾッとした。

「あいつ、本当にカミサマか?」

 室内を見回しながら、桑原くんが、気味悪そうに声を絞り出す。

「やっぱ化け物じゃねぇのか? この場合、妖怪」

「なんでもいいんだよ。野瀬を連れ去ってくれるなら」

 田中くんの声は上ずっていた。けれどもどこか危険な暗さも混じっていて、あたしはギクッとなった。

 彼は興奮と恐怖が入り混じった瞳で、室内を凝視している。

 それを見たあたしは、生唾を飲み込んだ。


 その時視界の片隅に、食べ物ではないものが転がっているのを見つけた。それは紙袋。……紙袋? ……はっ、まさか中身は……。

 嫌な予感がして、顔から血の気が引く。その間にその紙袋は、男二人の手に渡ってしまった。きゃあやめてっ、中身見ないでっ!

「「……」」

 男の子二人の、先ほどとは違った沈黙。ああ見られたっ。

 田中くんが、茫然と、丸い目を更に丸くして言った。

「……つまり、おきゃくさんにとって、少女マンガは『消したいもの』じゃなくて『お供え物』だったってコト?」

「ここで読んでた?」

「え、そう見えない?」

「それか、どう対処していいか分からない物だったとか? いくら神様でも、少女マンガの処分任されたって困るだろ」

 呆れた様に言い、桑原くんは片眉を上げてチラ、とあたしを見る。

 あたしは顔を赤くして言った。だってだって!

「え、だってテストは処分してくれてるのに!」

「お前、こんなん読んでんの?」

「きゃぁっ」

 いつの間にか勝手に桑原くんが、マンガをペラペラとめくっている。やめてよ勝手に触んないでよそれあたしのよ、じゃなくてエッチシーンがっ。ああっ!

 桑原くんは熱心に読みながら、顔を上げずに言った。

「圭太、気をつけろよ。こいつエロいぞ」

 こいつって誰?! マンガ? あたし? ああ両方ですねっ。

「え? え? え……」

 田中くんも無駄に赤くなんないでよーっ!!


 あたしはガクッと肩を落とした。

「……今度はケーキを持ってくる」

「は?」

「え?」

「ロイヤルの……あそこ、美味しいから……」

「何言ってんの、お前?」

「菅野さん?」

 きっと、お供え物はいっつもショボイのに、やたらとビックなお願いばかりするから、おきゃくさんもちょっと怒っちゃったんだぁ。じゃなきゃ、85点のテストは持ってってくれたのにエッチマンガは残すなんてしなぁい。あの苛めノートだってここにはないのに。あ、ひょっとして神様の世界にエッチは厳禁だとか? うぇーん、いずれにしても、ごめんなさぁい。

「こいつ絶対、勘違いしている」

「落ち着いて、菅野さん。単に重かっただけなのかもしれないし。ほら、最初は手だけだったでしょ?」

「お前も相当、勘違いしている」

 ああおきゃくさん。あたしが悪かったです、お願いですから冬至まではここに置かせて下さい。

 確か次の日が、資源ごみの日なんです……。


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