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〜序 章〜

中華ファンタジー小説です。かなり長編ものです。(いつ完結するか予測不可能なくらいです。)

時は昔・・・遥か何千年前の中国。


そこはまだ文明開化を遂げておらず、中国全土の支配権を巡る争いもない、平穏の世であった。


また、“神”と“人”が限りなく密着している世でもあった。


 

神は絶えず人々の前に現れては、万物を築くために必要な要素を与えていく。

そして人々は、神々に与えられた“恩恵”に絶えず感謝の意を込め、神々を深く尊び慕っていた。


こうして、“神”と“人”の間では調和の取れた生活を送っていたのだった。



しかし、そんな穏やかな日々はあることでいとも簡単に崩れ去っていった・・・・




その発端となったのは、ある一つの“欲”。


人々の間で権力に執着する者がいるように、神々の間でも権力に執着する者が、続々と現れ始めたのだった。



己の持つ超越した力に慢心した神々は、全ての万物を我が物にしようと所々で戦をし始めていく。


次第に、その戦は下界にも影響し始め、ついには天と地を巻き込む大きな戦と化してしまったのだった。

天界はもちろん、下界に住む人々は神の戦に巻き込まれ大きな痛手を受けていく。






















           

時は紀元前。

中国の黄河流域に都市国家が発達し、国家を統一する王朝が続々と現れていく時代。


そこでは前進し続ける文明発達により、平民の間でも富を得る者が続々と出現していった。

中でも、長安にある“蓮家”は中国全土でも群を抜く富を誇り、人々の間では王朝の財を超えると囁かれる程の財閥を所有していたのだった。





                                 ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



穏やかな風が辺りを包み込み、一面に広がる草原が心地良い音をたてながらざわめいている。


そこでは、騒々しい町の声は一切届かず、ただ静かな時間が流れていた。


そんな中、広い草原に一人の青年が寝そべり、青々とした空と同じ色の目で、白い雲を見上げていたのだった。


「・・・もうこんな時間か・・・。」

遠く彼方を見つめていた青年は、ポケットにしまっていた懐中時計を取り出すと、思いの他時が経っていたことに溜息を吐く。


やがて懐中時計をポケットにしまい込むと、寝そべった体をゆっくりと起こし、二度目の溜息を吐いたのだった。




草原を撫でる風は絶えず吹き続け、青年の髪もその風に踊らされている。

そんな風に身を包まれる中、青年は再び広い空を見上げた。


しかし、再び空を見つめる青い目は、どこか陰が架かったような浮かないものであり、何か探るような視線を青い空に向けた。



(なんだ・・・今朝から何か胸騒ぎがする。)

 

青年は目を細めながら、心の中でそう呟く。

そして、小さく脈打つ胸を軽く掴みながら、青年は眉をひそめた。



その時、青年の背後から何やら慌しい複数の足音が響いてきた。

李周りしゅう様!こんな所にいらっしゃったのですか!?もうすぐお客様がお見えです!すぐに接待の用意を!!」


複数の足音の主達は李周の横に辿り着くと、額に汗を流しながら片膝を付き、声を張り上げた。

「・・・うるさい。耳元で騒ぐな。」

李周はわめく者達にうんざりしながら、重々しく立ち上がる。


「いいですか!李周様は“蓮家”の御子息。こんな所で油を売っている場合ではないのですよ!!」

複数の者の中でも一段と声を張り上げている男は、李周の衣服を正しながら目の前で叫んだ。

「耳元で騒ぐな。」

キンと鳴り響いた耳に手を充て、李周は肩を落としながら歩き出そうとした時だった。




今まで穏やかだった風は、突然嵐のような強風に変わり、草原の中で一気に吹き荒れた。


しかし、それは一瞬の出来事で、気付いた時にはまた元の穏やかな風に戻っていったのだった。



(・・・・な・・に・・・?)


不意に起こった不可思議な突風に、李周は呆然と立ち尽くす。


「李周様どうなさいましたか?」

駆け寄ってきた者達はと言うと、何事もなかったような顔で立ち尽くす李周に目を向けた。


「・・・いや、・・・何でもない。」

呆然と立ち尽くしていた李周は、我に返ると疑問の眼差しで青い空を一瞥したのだった。










辺りは何も変わらない先程と同じような光景。



しかし、今の風で何かが変わった気がした。



けど、それが何なのか、何に違和感を感じたのかは分らない・・・。



それでも、何かに自分の心は反応している。





そう・・・。そんな不可解な出来事が・・・


全ての始まりだった。








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