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魔法令嬢ティアローズ  作者: 未羊


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Magic71 睨み合い

「はあ、つっかれたぁ……」


 部屋に戻って私はベッドに倒れ込む。

 部屋のど真ん中では、私に変身したままのベルフェルが突っ立って呆れていた。


「どこに疲れる要素があったんだよ」


 ベルフェルが指摘をしてくる。

 十分疲れる要素はあったわよ。

 メイド服を着ているとはいえ、ミケル殿下はティアローズの私をよく知っている。バレないようにするだけでもかなり大変だったわよ。

 三つ編みに眼鏡としっかりと変装しておいたけど、いまいち自信がないわ。


「とりあえず、さっさと戻っておくれ。あのメイドがいつ戻ってくるとも限らねえ。騒ぎについては城の連中に任せておけばいいだろうからよ」


「ええ、そうね」


 ベルフェルに言われて、私はアンジェに戻る。

 あの言葉をいちいち言わなきゃいけないのは癪だけど、言わなきゃ変身が解けないから困ったものだわ。


 ちなみにベルフェルが言っていた騒ぎというのは、城の中で気を失った男性三人が見つかったというものだった。

 二人は城で働く人間だったものの、残り一人は身元の分からない人物だった。

 当然ながら大臣たちは最後のメイドは誰だったのか気になっているようだけど、なぜかそっちには捜査の手が回らなかった。

 うん、絶対ミケル殿下にはばれてたわね。

 ちなみにこの話、翌朝王族の食卓に招かれて話を聞かされた。

 王族と一緒に食事というだけで緊張するのに、そんな話までされては余計に食事がのどを通らなかった。


「まったく、捕まえた男はまったく話そうとはしておらん。顔面蒼白で震えるばかりだ。何かしら弱みを握られているのだろうな」


「朝食の席で話すことではないですけれどね」


 国王陛下が話される横で、側室は無表情で反応を見せている。

 ミケル殿下は少し表情がきついように見えるけれど、気のせいかしらね。まったく何に対して不機嫌なのか、理解ができないわね。


「なんにしても、怪しい人物がいたにもかかわらず何も起きずに済んだことはよかった」


「確かにそうですわね。それよりも、ここまで食事を運んできたメイドには手を回さないのかしら」


 国王陛下が話を終わりにしようとなさっているものの、側室が掘り返そうとしている。なんだろうか、やけに執着している気がする。


「私も調べようと思ったのだが、ここまで食事を運んできた上に、私たちは何もなかった。それに……」


「それに?」


「ミケルがそれを望んではおらん。容疑者であるから調べようとは思うのだが、必死になって止めてくるのだよ」


「ミケルが?」


 側室の異常なまでの執着に、国王陛下が困惑してくる。

 最終的に食事を運んできたメイドに対する取り調べは、やはりミケル殿下が止められていたみたい。

 まあ、探したって見つかるわけないんですけどね。神出鬼没ですもの。


「というわけだ。最後のメイドはおそらく怪しい男の野郎としたことを防いでくれたのだろう。よって、調査する必要はないというわけだ」


「陛下、それは納得できませんわ」


 まだ食い下がるつもりなの?!

 国王陛下たちは、問題の終息を図ろうとしているのにどこまでしつこいのだろうか。


『けけけっ、計画がうまくいかなくて焦ってやがるな。見てて面白いぜ』


 ベルフェルが笑っている。

 だけど、私は反応できないし、それを口にすることもできない。

 ここで言ったところで、私は不敬罪に問われるだけだからよ。しょせん私は男爵令嬢ですもの。

 ベルフェルから死なないとは言われているけど、死なないなら死なないでそれもまた大問題だからね。そもそも痛いのは嫌よ。


「あの、その怪しい男って、何をしようとしてたのですか?」


 そういえば、内容について聞いてなかったので私は確認する。まあ、ベルフェルに聞いて全部知ってるんだけどね。

 私の質問に、国王陛下は困惑していた。このようなことを魔力のない男爵令嬢である私に話していいのか、悩んでいるようだった。

 いや、悩むんだったら最初から私をここに呼ばないでよね。

 私は心の中で鋭く文句を言っておいた。


「陛下、このような部外者に話すことはございませんわ」


 ええ、確かにそうですよ。だけど、あなたが蒸し返そうとするから意趣返しをしてやるわ。


「うむ、毒物が混入されていたようだ。どういうわけかまったく効果はなかったようだがな」


 やっぱりベルフェルの言っていた通り、毒物が混入されてたのか。

 まあ、ティアローズとなった私の魔法で無毒化したんだけどね。浄化魔法って便利よね、ホント。


 ガタン。


 その話をしていたところ、側室が突然立ち上がる。

 ここまで一切話に絡んでこなかったラファル殿下も驚いているようだ。


「気分を害しました。失礼致しますわ。行きましょう、ラファル」


「は、はい、母上……」


 すたすたと早足で食堂を出ていく側室。ラファル殿下は私たちの様子を気にかけながら、あとを追いかけていく。食堂を出る前には、きちんと一礼をしていた。

 う~ん、ラファル殿下は見ている限り普通なんだけど、側室はかなり情緒不安定なところがありそうね。


 こんな感じで、王室の現状を目の当たりにしてしまった私だったけど、これからもこういう状況でしばらく過ごすことになるのよね。

 精神的に大丈夫なのか、ちょっと不安になってくる。

 何にしても、今回のことで側室には完全に目をつけられただろうからね。

 ……私の生活、どうなるのかしら。

 私には、もはや不安しかなくなっていた。

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