表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法令嬢ティアローズ  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/240

Magic33 困難は次々と

「はあああぁぁぁ~……、疲れた」


 ようやく家に帰宅した私は、自室で変身を解いてベッドに突っ伏していた。


『おう、ご苦労さん』


 左腕のバングルに戻ったベルフェルが労ってくるけれど、なんとなくからかっているようにしか聞こえない。


「はあ、元に戻ればベルフェルが経験したあれこれが私の記憶に流れ込んでくるのね。おかげで明日からの生活は困らなさそうなんだけど」


『おう、便利だろ、おいらの能力はよ』


 ベルフェルはものすごく楽しそうに話しているけれど、私には憂鬱しかなかった。


「とはいいつつも、その明日がいきなり問題なのよ」


 私は寝転がったまま、両手でベッドを思い切り叩く。


「なんで、戻ってきた翌日が、学園の例のダンスパーティーの日なのよ……。私、全然ダンス習ってないんだけど?」


 そう、先日ベリル様とお話ししていたパーティー。その開催日がよりにもよって明日なのだ。

 このパーティーって確か入学一か月後じゃなかったけか?

 まだ二週間なんですけど?

 ベッドに倒れ込みながら、私は感情が消え去りそうなくらい悩んでいた。


「ベルフェル、私踊れるかしらね」


『さあてな。心配ならあいつらに手伝ってもらったらいいだろ』


「あいつら?」


『外に待たせてる侍女と護衛だよ。特に護衛の方は踊れそうじゃないか?』


「ああ、そっか……。あがいてみましょうか」


 ベルフェルとの話の結果、私はマリアンヌを呼んでダンスの特訓をすることにした。


「お嬢様は、本当にまったくダンスが下手ですね」


「はっきり言わないでちょうだい。私、この方社交界に出たことがないから、ダンスの経験がないのよ……」


 相手をしてもらった結果、マリアンヌからはっきり言われてしまう。

 私は唇をかみしめながら言い訳をしてしまう。

 まったく踊ったことがなかったものだから、それはもう壊滅的なダンスだったのだ。


「マリアンヌ、足を踏みまくって申し訳ありませんね」


「いえいえ、私も始めたての頃はよく踏みましたから。騎士となった私よりは、初めてにしては踊れていたと思いますよ」


 マリアンヌが笑いながら話をしてくれる。

 しかし、ただの慰めにしか聞こえなかったのか、私はどうも素直に嬉しくなれなかった。


「マリアンヌ、ずるいですね。私もお嬢様と踊りたいです」


「さ、サリー?」


 急に声を上げるサリーに、思わず驚いてしまう。


「サリー、あなたは殿方のダンスができますかしらね」


「むむむ……」


 マリアンヌに的確な指摘を受けてサリーは反論できずにいる。

 これでも元々は令嬢であるために、ダンスの経験はあれどリード経験はない。ゆえに、サリーはついに諦めてしまった。


「し、仕方ございません。お嬢様のダンスのお相手は、……マリアンヌにお任せ致します」


 苦渋の決断だったのか、表情がかなり険しい。そこまでして私と踊りたかったのかしら。

 本当に、魔力なしの私に対しても、二人は普通に接してくれている。特にサリーは私が小さい頃からの付き合いでもある。なので、この時も相当悩んだことは想像に難くなかった。


「さて、夜も遅くなってまいりました。そろそろお休みいたしましょう」


「そうでございますね。パーティーとなるときちんと着付けなくては参りませんし、準備に時間がかかってしまいます」


「えっ、そんなに?」


「はい、午前中はつぶれるとお思い下さいませ」


「へ、へえ……」


 さすがの勉強漬けだった私も、ドレスの着付けにかかる時間なんて知らなかった。

 朝から昼にかけての時間が丸々つぶれると聞いて、ただただ驚くしかなかったのだ。

 とはいえども、そうとなれば明日は寝坊はできないわね。

 私は二人にお礼を言うと、ベッドに入って翌日に備えることにしたのだった。


「はっ!」


 というわけで、翌日目を覚ます。

 朝食を済ませた私を待っていたのは、地獄のようなお着替えタイムだった。

 最初に全身をきれいさっぱりにして、そこからドレスを着たり、お化粧をしたりと、サリー以外にも使用人たちが数名加わって一大事業になっていた。

 ドレスの着付けって、こんなに大変な作業なのかと、私は思い知らされた。

 何が一番きついかっていったら、やっぱりコルセット。ものすごく腰を絞ってくるものだから、普段の学園の制服からしたら想像できない苦しさだった。


「痛たたたたっ!」


「我慢ください、お嬢様!」


 サリーもこういう始末である。

 どうにかコルセットを締め終わると、私の前には一着のドレスが運ばれてきた。

 そう、先日ベリル様と買い物に行った時に仕立てたドレスだった。

 嫌がらせでもしてくるかと思ったけれど、目の前にあるドレスは実に私に似合いそうなちゃんとしたドレスなのである。

 このドレスを着ると、いよいよ私は学園に向かうことになる。新入生歓迎のパーティーだ。


「さて、付け焼刃ではあるけれど、ダンスの練習だってしたんですもの。これでみんなを認めさせて、私も本格的に学園の一員になってやるんだから」


「頑張りましょう、お嬢様」


 ドレスに身を包んだ私は、サリーやマリアンヌを連れていよいよ学園へと向かう。

 最初の山場ともいえる新入生歓迎パーティー。無事に乗り切ってやりますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ