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やがて古代魔法を解き明かす天才少女  作者: AteRa
第二章:遠征と研究の二週間
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第十九話 ミスリル探検隊!

「ちゃんと手すりに掴まったな? それじゃあ下ろすぞ」

「はい、お願いします!」


 私たちが昇降台に乗り込むと炭鉱夫の男はそう声を掛けてきた。

 その言葉に頷いた瞬間、ガクンと強烈な衝撃とともにほとんど自由落下のような勢いで落ち始めた。


「わ、わぁあああああああああああああああああああぁあっぁぁあ!」


 何これ何これ!

 こんな怖いなんて聞いてないんですけど!

 てか、今さら思い出したけど、私高いところ苦手なんだった!


「ぎゃぁああああああああぁあああああああああああああぁあ! ガッ?!」


 今度は上に引っ張られるようなGを受け、急停止した。

 おかげで腹の中の物が逆流しそうになる。

 もう三半規管はグラグラだ。

 うっぷ……は、吐きそう……。


「到着しましたよ、レイラ様! ……って、あれ。すっごくグロッキーになってますね」


 完全に目が回った状態で、フラフラと昇降台から降りた。

 しばらくして昇降台が上に昇っていく。

 少しの間、深呼吸をして気持ち悪さを落ち着かせる。

 すう……はあ……すう……はあ……。

 うん、ようやくちょっと落ち着いてきた。


「情けないですねぇ、レイラ様。これしきのことで。アルルだって平気そうにしてますよ」


 リーチェの腕に抱かれていたアルルは、なんてことないと主張するように毛繕いをしていた。

 そこで私はようやく周囲を見渡す。

 ランタンに照らされた十畳あまりの空間があった。

 もちろん岩肌は剥き出しである。

 そこから四方に向かって長い横道が掘られていた。


「先ほど話し合った通り、私が魔物を倒すので、レイラ様は魔法でガンガン横穴を掘り進めていってください!」

「分かった! しかし、どの方面に行こうか……」


 そう悩んでいるとアルルがシャーッと威嚇するような鋭い鳴き声を発した。

 アルルが睨む方を見てみてると、魔物……ゴブリンが三匹も出現していた。

 リーチェは背中に背負っていたバスタードソードを手に取って、両手で正中線に構えた。


 魔物とは、突然何もないところから発生する特殊な生物である。

 今のところ、魔物が何故出現して何故人を襲うのかは判明していない。

 魔力量測定器や古代魔法を研究し尽くしたら、魔物の研究をするのも悪くないかもしれない。

 今のところの私の考えだと、やはり空気中の魔素が関係してそうなんだけど……。

 そもそも魔素というものが何かも分かっていない状況だ。

 一つ一つ、丁寧に研究して解き明かしていく必要があるだろう。


 そんなことを考えていたらいつの間にかリーチェの戦闘が終わり、私を呆れた目で見ていた。


「ゴブリンを前になかなか悠長なことですね」

「ううっ……こればっかりはゴメン……」


 流石に緊張感がなさ過ぎた。

 これは反省しないと。


「にゃぁ」


 そんな会話をしていると、アルルが先陣を切る形で歩き出した。

 どうやらアルルがミスリルの場所に案内してくれるらしい。


「アルル、ミスリルの場所分かるの?」

「なぁっ!」


 自信満々といった感じで鳴き声を上げ、迷うことなく歩いていくアルル。

 私たちはそれに続いてミスリルを探しに行くのだった。



   ***



 四、五時間ほど経っただろうか。

 私の土魔法でアルルの向かう通りに横穴を掘り続け、リーチェには魔物を倒して貰っていた。

 ここはあまり強い魔物が出ない場所なのか、ゴブリンやらキックラビットやらしか出てこない。

 リーチェは手応えがないと少し残念そうにしていた。

 思ったよりもリーチェは戦闘狂みたいだった。

 でも確かに、ソロでA級まで行くような人が戦闘嫌いなわけないか。

 私としては研究第一安全第二なので、強い魔物が出てこないのは良いことだった。


 そろそろ魔力も切れてきて疲労も溜まってきたので、上に戻ることになった。


「今日は何の成果もなかったですね」

「まあ、そんなもんだよ。トロッコの運転手さんも言ってたからね。最短でも二日は掛かるって」


 残念そうにするリーチェに私はそう言った。

 でも確かに、このまま淡々と鉱石を探し続けるのも疲れるだけだねぇ。

 何か面白いことをしたいんだけど……。


 あっ。

 そうか、金属探知機を作れば良いのか。

 あれがあれば効率が段違いで上がるだろう。


 上に戻ったら早速構想を練ってみよう。

 そんなことを思いながら私たちは先ほどの部屋に戻ってきた。

 既に昇降台が降りてきている。

 そこに置いてある鈴を鳴らせば空間魔法で上に音が伝わり、上げてくれるという仕組みみたいだ。

 私たちは昇降台に乗り込んで鈴を鳴らした。


 ……結果は言わずもがな。

 私は完全にグロッキーになりましたとさ。

 吐かなかっただけ褒めて欲しいくらいだよ。

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