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天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜  作者: 八風ゆず
第二章 第一次異世界大戦編
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第二十六話 一時の平和、戦争の序章

『祝!大本営建築終了!!』


っという名のもとで、乗員たちのストレス発散も兼ねて祝宴会が開かれることとなった。

祝宴会には勿論のこと、同盟相手の月灯からも来会される。

まぁまぁデカい祝宴会である。

朝から準備を開始して、月灯の料理人もコユキから頼まれたのか、気合をいれて料理をしてくれている。

それに加えて、各艦からも「飯長」を呼び出し、今朝釣り上げた魚などをさばいたり、月灯から提供してもらった米ににた物を使ってご飯を炊いている。

しかしそんな中……。


「こんな臆病女が飛行隊長?ハッ!笑わせてくれる」


信濃飛行隊長下田陽斗が大鳳飛行隊長大久保莉乃に言った。

この話の発端は、幽闇海戦時の空戦でのやり方に不満を抱き、そのことについて莉乃が注意したことから始まった。


「なんですって!?そもそもの話ね、貴方はもう少し戦術を考えなさい!脳筋すぎるのよ。何もかも突進して」


「それが男のやり方だ!女は臆病だから突進していく勇気がねぇだけだろうが!勇気が無い分その小さな胸をデカくする努力でもしてみたらどうだ?」


陽斗は、莉乃の逆鱗に触れてしまった。

一瞬にして豹変した莉乃の顔。

そんの顔は鬼そのものとほぼ等しく、周りには紫色のオーラが漂う。


3回ほどぶん殴られた陽斗は、頭に三つそれも同じ箇所にたんこぶができる。


「フン!それじゃあ、模擬空戦で決着をつけましょう!」


「望むところだこのアマ!!」

頭を押さえながら言った。


「てことで」


「藤野少将!」


「「機体を使わせていただいてもよろしいでしょうか!?」」

莉乃、陽斗が俺に迫る。


「いや、俺に言われてもだな……。雪那と琴葉に直接言えばいいじゃないか。何故俺だけ面倒な事ばかりつきあわされなきゃいけないんだッ!」

最後の方は聞こえない程度で言った。


「倉本少将の同期、藤野少将が言っていただけるなら、恐らく「今の状態」でも大丈夫です!」

陽斗が何故か誇らしげに言う。


「ん?今の状態ってなんだ?」


「実は今、倉本少将とコユキ様がちょこーっと面倒無ことになってまして……」


莉乃の発言に気になり、俺はどういうことかと聞くと、見たほうが早いと答えていたので案内させた。

そこには……。


「貴方が誘拐したんだから泥棒猫!」


「いえ!恋人を独占したいという欲求は当たり前です!それ以前に私の夫に手を出してこようとするその言い訳が泥棒猫の行動だと言ってるのです!」


「何勝手に翔くんを夫に仕立て上げてるのよ!」


「あたりまえですわ!本当のことを言って何が悪いのですか!?」


「このおおおおおおー!!!!」


「むむむむむむむむー!!!!」


青と赤のオーラがぶつかり合う。

コユキに至っては、獣人が進化した姿(いつでも前の姿に戻したりできる)、獣人それぞれ違うがコユキの場合は「妖狐」になっている。 

毛の色が変化し、白銀のように美しかった姿から黄金色に変わっていた。

白色から黄色に変化した9本の尻尾の周りに紫色の魔力が纏い、より大きくなったように見えている。

爪も長くなっていて、眼の色が白から黄金色に変わっていた。



「な、なんだ……これ。子供の喧嘩か?」


「あははは……こういうことになってて、なんか頼みづらいので、お願いします!この通り!!」


一応土下座する2人。


「上官に頼むには言動が無礼すぎやしないか?まぁいいけど……」


こうして、模擬空戦を行うこととなった。



飛行甲板から発艦する2機の航空機。

1機の紫電改二型が空を飛ぶ。

それに連なるように後ろから零戦(六二型)が紫電の後ろ斜め下からやってきた。

しかしまぁ、零戦と紫電には大きな差がありすぎる。

こちらは超最新の六二型、しかし、相手も超最新の紫電改二型である。


発動機の機種、そもそもの馬力、機体の強靭力などが零戦には圧倒的不利なのだ。

しかし、莉乃は挑んだ。

彼女は海軍の中でも「天使」と呼ばれるほどの逸材であった。

何故「天使」と呼ばれるのか、それは彼女の零戦の操作にある。




まず仕掛けたのが紫電であった。

機体を左に倒しすと同時に「誉」エンジンが高々な咆哮を唸る。


陽斗と莉乃には、眼と眼で会話しあった。


追うように零戦も機体を左に倒す。

「栄」エンジンが元気よく吠えた。

紫電と零戦は、騎士と騎士が剣を持ち対峙するように、機体を左に倒したまま円を描きながら、お互いを見合う。


体制を無理やり立て直した紫電が、上にすさまじい速さで急上昇する。



「んな無茶な……」

莉乃が言葉を苦痛の漏らす。

零戦であんな軌道を描いたら、いくらなんでも翼が持たない。

零戦はゆっくりと体制を立て直し、緩やかな円を描きながら上昇する。

その時だった。


「ッ……!?」


莉乃が息を呑む。

太陽の逆光を受けながら、紫電がものすごい勢いで目の前から迫ってくるのだ。

紫電は上昇した後、エンジンの出力を最小限に下げ、機体の重さで自由落下を始めると同時にエンジン出力を最大限に上げたのだ。


だがいくらなんでも無茶苦茶すぎる。

人がそんなGに耐えられるわけがない。

上昇だけでもかなりの負荷が掛かっている筈だ。

零戦はどうにか機体を逸らし、落下していく紫電を避ける事に成功した。


「ちょっと!危ないじゃないの!!」


無線機のスイッチをつけ叫ぶ。

無線機からは……。


「悪い。少し気を失っちまった。けど、こんなんでひよって大丈夫か?」


「ひ、ひよってなんかない!!次はこちらから行かせてもらうわ!」


零戦が上昇をやめ、急降下へと転進する。

紫電はまたしても急上昇に切り替える。

だがそれは先の大きな円ではなく、とてもとても小さな弧を描いた。

上昇中、零戦から放たれる架空の弾を思い浮かべ、機体をわざと大きな円を描くように見せかけ小さく機体を逸らした結果だ。

零戦は紫電の直ぐ側を通過する。

紫電はその体制を維持し、背面飛行へと移行した。

紫電の操縦席からは急降下から体制を立て直す零戦が見える。

紫電はその隙をつく。


エンジンスロットルを最大限に開き、最大速度で零戦に迫った。


それに気づいた零戦は、急いで胴体を左に倒した。

逃げる、逃げる、逃げる。

必死に逃げるが、紫電の「誉」発動機のパワーに勝てるわけがない。


紫電は零戦の後ろに回り込んだ。


零戦は架空の弾が飛ぶ事を想像し、機体を僅かに逸らす。

しかしそれでも紫電は体当たりせんばかりの勢いで迫る。

後もう少しで架空弾が確実に当たる軌道に入る。

零戦が逃げれるわけがない。


「勝負あった……!」


陽斗が勝利を確信した。

その、筈だった。



その時、零戦が忽然と消えたのだ。


元からそこには何もなかったかの如く。

空虚に紫電は突っ込んだ。


「ッ……!?ど、どこに……!」


陽斗は必死に零戦を探す。

その時、無線機から声がした。


「勝負あったわね」


その声がしたのと同時に、紫電の背後から零戦が現れた。

零戦は「とある方法」を使い、紫電の死角、紫電の後方の斜め下に移動したのだ。


斜め下から機銃を撃たれてしまっては、翼が吹き飛び火を噴く可能性もある。


「なッ……!?ど、どうやって……クソ!クソ負けた!!」


陽斗は紫電につけられているメーターを殴ろうと握った手を上げるが、ゆっくりと力を抜いた。

潔く、負けを認めなければ、幼稚だと、愛機の自身の紫電を侮辱する行為だと思ったからだ。


その時、視界の端になにか黒い物が見えた。


月灯の軍事や運搬で使用されている「(オオトリ)」と呼ばれる巨大なカラスだ。翔を攫ったカラスである。

今回はいつもより巨大な編隊を組み向かってきている。


「何事だ……?」


陽斗は小さくつぶやいた。




──三日月島飛行場──


とてつもない量の鳳の軍団が三日月島の飛行場に降り立つ。

何事かと思い、俺とコユキ、雪那と心菜、それと興味を持ってついてきた数十名の駆逐艦や巡洋艦などの乗員たちが飛行場に集まる。


鳳団団長「カゼカミ」が降り、走ってこちらに来る。


「女帝陛下、大変です!ヴァグルドフが自称独立国への侵攻を開始しました!!」


「なんですって!?」

「なんだと!?」


俺とコユキ含めた、そこに居た者たち全員が驚きの声を上げた。




ヴァグルドフの精鋭艦隊通称「ライオン艦隊」は、自称独立を宣言していた国(地域)への艦砲射撃を行っていた。


燃え盛る街、男だけでなく、女や子供の悲鳴が飛び交い、静まる気配はない。


「誰かぁ……だずげ……ぇ」


「あ"づい"!!あ"づい"よ"お"ぉ"!!」


「水……水をくれぇ……ぁ……よこせぇ!!」

「や、やめておじさん!」

「うるせぇ!ガキが……」 


かつて笑いあった、共に支え合っていた者同士も、今は自分の命を守ることで精一杯だった。



ライオン艦隊旗艦戦艦パイル・ヘンガー

─艦橋内─


「クックックッ、クックックックックック……フハハハハハ!」


ライオン艦隊司令長官エルガ・ベル・エイゼンは不気味な笑みを浮かべ、火の海にのまれた街をみて笑う。


ライオン艦隊旗艦パイル・ヘンガー艦長ヘルギア・エンレンは、火の海を見てクツクツと笑っているエルガを黙って見据える。


「なぁ、艦長」


「はい、なんでしょう」





「戦争は、楽しいなぁ……」




蔓延の笑みでエルガが言った。

エルガのその言葉に、ヘルギアは嫌悪感を微かに感じた。


「フハハハハハ、ハーッハッハッハッハッ!!」

エルガの不気味を通り越した恐怖の高笑いが、艦橋内に響き渡った。




※どうも、八風ゆずです。えーっと、今作に出てくる単語の「漂流者、漂流物」に関してです。「とある先生(名前ではないです)」の作品、しかも今作と同じような作品(大和が異世界転移する話)で、同じ意味で出てくるのですが、私も、めちゃくちゃ失礼なのですがその作品を投稿なさっている先生も「パクった」などということはないです。作品に関しても、まぁ時差的に私の方がパクっていることになるし、相手にも失礼なのですが、相手が作品のジャンル的な物をパクっていることはないです。マジで偶然です。でも、話の展開に関しては全く違うので、パクったということにはならないと思いますが……。あと、この人の作品もめちゃくちゃ面白いので読んでみてください!!オススメです※

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