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天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜  作者: 八風ゆず
第一章 艦隊結成編
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第二十話 幽闇ノ艦隊VS聯合艦隊(2)

二つの大艦隊出現に聯合艦隊は多少混乱状態であった。

偵察中だった月光からすると2時、艦隊からすると3時方向と9時方向。

しかし、月光隊から聞いた距離的に、聯合艦隊に接触する時間はまだある。

そのため、山本五十六司令長官は戦略を考える。


「艦隊を分け、二つの敵艦隊を同時に叩く」


そして、聯合艦隊は次のような動きをとった。


武蔵を旗艦とする第二艦隊と大和を旗艦する第一艦隊に分かれさせた。


第一艦隊

大和

伊勢

日向

金剛

霧島


信濃

赤城

加賀

雲龍

天城


巡洋艦、駆逐艦多数隻。


第二艦隊

武蔵

長門

陸奥

扶桑

山城


大鳳

飛龍

蒼龍

瑞鶴

翔鶴

葛城


巡洋艦駆逐艦多数隻。


第一艦隊は9時方向に居る40隻の艦隊を打ち、第二艦隊は艦隊から三時方向に居る20隻の艦隊を打ち取る。

そうして、「第一次対幽闇海戦」が始まったのであった。


◇◆◇◆◇第一艦隊◆◇◆◇◆


「我々が接触するのは、初めてですね」


成斗が双眼鏡を手に、山本長官に話しかける。


「あぁ。奴等は聞く限り、決して侮れるものではないな」


「はい。しかし、我々には大和と武蔵、そして巨大空母の信濃がついています!負けるなんてことは……恐らく無いでしょう」


「勝率は確かに此方が有利だ。しかし、敵にも「大和」がついていることを忘れないように」


「はい。それは心得ています。しかし、この大和が……もし、沈没した場合、どうなるのでしょうか……」


「大和が沈んだその時は、この艦隊が沈む時だ……!」




緊張感が全乗員を襲った。

大和にとって、初めての実戦。

初めての戦なのだから。

全員が緊張感し、恐怖していたその時だった。

拡声器から、音がなる。

ラッパがある音程を奏でる。

乗員たちはその曲を直ぐに察した。


海軍軍歌「月月火水木金金」である。

演奏しているラッパは、本当は対空戦闘用意などの指示を出す用のラッパだが、成斗が緊張感で満たされて、恐怖している乗員達のストレスを少しでも和らげる目的で指示した。


すると。


「……あ、あ〜さだ夜明け〜だ、潮の息〜吹〜」


一人が歌い出す。

すると三人、七人、十五人、次々と歌い出す者達が増える。


「「う〜んとすいこ〜む、あかがねいろの〜」」


「「「「胸に〜若さの〜みなぎ〜る誇り〜!」」」


『海〜の男の艦隊勤務、月月火水木金金〜〜!!』

気づけば、大合唱であった。


「いくぞ〜!!!」


「「「うおおぉぉぉおおぉぉ!!!!!!」」」


戦場とは思えないほど、活気に満ち溢れていた。

恐怖と緊張感でどんよりしていた艦内は、乗員の士気が高まり霧が晴れたようになくなった。




虫の羽音のような音が聞こえる。

上空の雲の中から、数十機の敵機が押し寄せる。

しかし、士気が最大に高まった乗員等は恐れもせず、対空砲を放ち、機銃を撃つ。


ダダダダダダ ダダダ バン バンバン 


高角砲の分厚い発射音、機銃の甲高い発射音が何重にも重なり鳴り響く。


更に大和の46センチ三連装砲が空に狙いを定める。

高角を最大に広げ、「三式焼散弾」通称三式弾を込める。

甲板に居るものは遮蔽物、または艦内に入る。


「砲術長、主砲発射の指揮は任せる」


成斗が砲術長にそう言い放つ。

その後、双眼鏡で航空機の方向を見る。


「了解しました」

敬礼をした後、砲長が指揮を執る。


「主砲三式弾、撃ち方始め!」


ビーー、ビーー、ビーーーーーーー。


ブザーが3回鳴り響く。


「発射よーい……撃てー(てぇー)!!」


大和の主砲が一斉に発射された。

大和の左舷側の海が反動で輪状の小さな波を発生させる。

高音速の速さで砲弾が飛んでいく。


大和は、海戦最初の咆哮を轟かせた。


9個の砲弾が空を斬る。

目指すは航空機の群れ。

そして砲弾が丁度、前半の航空機の群れの中心に差し掛かった時だった。

三式弾が黒い煙とともに弾け散る。

密集していた航空機に対して、三式弾による攻撃は極めて効果的であり、前半の航空機は大体撃墜された。

さらに、大和を含めた全艦艇の対空掃射による対空網は分厚く、近寄ることもできなければ攻撃さえ出来ない。

だが、分厚い対空網をどうにか通り抜いた、九七式艦上攻撃機だと思われる敵航空機7機が攻撃準備を行う。

狙うは、巨大空母信濃。

しかし、そこで信濃の噴進砲が火を吹いた。

信濃の噴進砲は、艦首付近か艦尾付近にある。

その中でも艦首の噴進砲が一斉に発射される。

艦中心部に当てるため、艦首付近で魚雷を投下しようとしていた敵攻撃機に見事命中。

両翼に被弾し折れ、炎と煙を吐き回りながら墜落する機もいれば、片翼が弾け飛び墜落する機もいる。

しかし、2機が墜落直前に抱きかかえていた魚雷を投下する。


「前方に魚雷を確認!」


「面舵いっぱい!」

その報の後、雪菜は回避行動をとるため、面舵の命令を出す。


信濃の船体はゆっくりと右に海水を押し寄せながら針路を変えた。

1発目の魚雷は無事避けることが出来た。

しかしその避けた魚雷は、艦隊中心部、特務艦隊へ襲いかかる。

工作艦明石に確実に命中するかと思われた。

そこで重巡高雄が速力を一気に上げ、明石の身代わりになる。

高雄は水飛沫を上げながら明石の左舷に突き進む。

高雄の艦首後部に直撃した魚雷は、高い水柱と黒煙を立てる。

魚雷をまともに受け、浸水が発生する。

しかし浸水は小規模だったため、傾斜もなくすぐに修復することに成功した。

その頃、信濃はもう1本の魚雷を回避しようと面舵から取舵に切り避けようとするが、確実に艦尾か艦中心部に被雷する針路だった。全員が衝撃に備える中、1基の高角砲が高角を下げ、距離を考えながらわざと魚雷の少し前に狙いを定める。

動く魚雷と狙いを定めている距離を保つため動きながら2発目を撃つ。1発目は水の抵抗もあり、弾が弾かれるが、2発目はうまい具合に爆薬が詰められている部位に命中し、爆発音と共に高い水柱を上げる。

魚雷を破壊した高角砲の乗員を回りの乗員は褒め称えたが、そんなものもつかの間、敵攻撃機第二波が襲いかかる。

乗員はすぐに持ち場に戻り機銃掃射を行う。

更に現在、制空権を確保出来ていないため、信濃を含める全空母は航空機発艦準備を急ぐ。

その間、霧の中敵艦影を発見する。

旗艦大和は伊勢日向、金剛霧島に無線連絡する。

対空網を張っていた大和を含める全戦艦の主砲は、敵水上艦艇に向けられる。

次は三式弾ではなく、「九一式徹甲弾」が装填される。

大和は「交互撃ち方」を全戦艦に命令。

主砲の砲身が同じ高さではなく、三連装なら、大和の第一主砲は一番右は高角を下に、真ん中と一番左は高角を上にするような形で初弾用意をする。

伊勢や日向金剛霧島などの連装砲は二つの砲身が逆、つまり片方は上、もう片方は下にするような形で初弾の用意をした。

全戦艦の発射準備が整った。



ついに……大和を含めた5隻の戦艦が一斉に主砲を発射した。



凄まじい轟音と共に、九一式徹甲弾が主砲から出る。

発射後の主砲は黒い煙を噴く。

合計27弾の徹甲弾が敵水上艦艇を襲う。

しかし、そんな運良く初弾命中ということもなく、全弾非命中だった。

敵艦影は真っ黒く、此方に主砲を定めているかも分からない。

しかし、「交互撃ち方」はなんども撃つことで精度を上げる。

砲身の位置を変え、再度砲撃を開始する。

再び海域に凄まじい轟音が鳴り響いた。

2発目は敵艦影から炎が燃えたぎり、命中と判断した。


2発目の主砲斉射丁度くらいで、敵航空機はほとんど撃墜状態であった。敵戦闘機がほぼ居ないと判断した機動部隊は、直ちに航空機の発艦を急がせた。


甲板に居る航空機は最初はゆっくりとプロペラを回し、少しづつ速度が上がっていく。

そして徐々に甲板前方付近に進み、甲板から飛び立った。

信濃、赤城、加賀、雲龍、天城から発進する最大261機の大機動部隊が、敵艦隊へ押し寄せるのであった。

機動部隊は、雷撃隊、水平爆撃隊、急降下爆撃隊、戦闘機隊に分かれ大編隊を結成する。


それは真珠湾攻撃を彷彿とさせる光景であった。


大編隊が空を飛ぶ。

先頭を切るのは戦闘機隊。

敵戦闘機は粗方撃墜したが、油断は禁物である。



霧を抜けると、戦闘機隊の指揮官機が、今回の機動部隊の狙いである敵空母4隻を発見した。





※今作品の信濃含む赤城などの空母搭載機数は、開発計画にあった搭載機数、に足されて補用艦載機も含まれた搭載機数が表示されています※

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