天月心理の異世界旅行7
かくして僕様は、クエストを受けることになった。
今回はお試しということで採取のクエストだ。
案内人に薬師のマープルさんに来て貰っております。
「私の依頼を受けて下さりありがとうございます」
因みにクエストは採取と同時に護衛のクエストも受けている。
目的の場所に行くついでだ。
余り物のクエストなので報酬が低いが、何かのクエストに兼ねて出来るという利点がある。
まあ、僕様も護衛される側なので戦闘は、お嬢様頼みだけど。
「いやいいよ。
僕様は、モギの見分けが付かないし」
「私も分かりませんわね」
「え?」
「え??」
「アリエステルお嬢様、モギの採取依頼を受けたこと無いのですか?」
「ええ、主に討伐依頼でランクを上げていましたから採取クエストはこれがはじめですわ」
ああ、やっぱりそうなんだ。
僕様は、そんな感想を胸に秘めてお嬢様を見る。
「すみません、採取には足手まといになります」
僕様は、思わず薬師のマープルさんに謝ってしまう。
「い、いえ、大丈夫です!
高位の冒険者様が、かなり低額で護衛をして下さるのです!
お気になさらず!」
「そ、そうですか」
ああ、やっぱりそういう。
何かしらの威光は薄らと感じていたけれどやはり僕様を助けてくれたお嬢様は、どうやら高位の冒険者らしい。
「まあ、最近物騒な事が続いておりますし」
「物騒?」
「ええ、盗賊団が出たとか、魔物がいつもより多いだとか」
「なるほど、それで冒険者を雇っているんですね?」
「ええ、流石に毎回雇っていると干上がってしまいますが、当分の間は雇おうと言うところで依頼を貼っていたのですが、正直安心致しました。
高位の冒険者様にお受けしてお受けいただいてその上見目麗しいお嬢様方と薬草摘みは、今までで一番安全でやりがいがあります」
僕様は、大変表情に困った。
ばれてないのは良いのだけれど男としては、大変不名誉である。
「な、何か不味いことを言いましたか?」
僕様の表情を見たマープルさんは、表情を曇らせる。
「気にしないで良いわよ。
褒められ慣れてないだけだから」
「そ、そうでしたか」
アリエステルお嬢様の言葉にマープルさんは、安堵する。
その事が更に僕様の気持ちをなんとも言えないものにした。
薬草摘みが終わり帰り道の途中でゴブリンと遭遇したが、アリエステルお嬢様の土の魔術で生き埋めになった。
アリエステルお嬢様、強すぎる。
そんなこんなで、冒険者ギルドに戻る頃には夕方前になっていた。
「さて、早速報告するわよ」
「うん」
受付で今回の依頼の報告をする。
勿論依頼主のマープルさんも一緒だ。
「お帰りなさいませ。
依頼は、無事終わったようですね」
「ええ、大過なく終わったわ」
「それでは、マープルさん、こちらにサインを」
受付嬢が、マープルさんに紙を差し出す。
「分かりました」
マープルさんは、少し読んだ後、サインをする。
「あれは?」
「依頼完了のサインよ。
依頼完了したときに、依頼主が書くものだわ」