表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

天月心理の異世界旅行6

 アクセサリーショップに着いて最初に目に入ったのは、アクセサリーショップにいるのがほとんど女性だというところだ。

 いや、装飾類なので女性が多いのは必然なのだけど、もう少し男性がいてもおかしくないのではないかと思う。

 まあ、僕様の勝手な想像だけど、アクセサリーって身に着ければ魔法の加護とかが付きそうな気がするんだよね。

 だから、男女のバランスが偏ってるこの店は、女性向けに作ってるのが主流なんじゃないか?

 ……ああ、そう言えば僕様女装中だった。

 なので、何の躊躇いもなく自然にアクセサリーショップに足を踏み入れるアリエステルお嬢様の後を

追いかける僕様の違和感はないようだ。

 受付まで行くと幾つかアクセサリーを身に着けたお姉さんが応対してくれた。


「いらっしゃいませ。

 今日は何をお探しですか?」

「プロテクション系の指輪とネックレス、後、魔術が封じられている指輪が欲しいわね」

「かしこまりました」


 淀みなく話すお嬢様、かなりなじみがあるようだ。

 応対してくれたお姉さんは、ショーケースの方へ行った。

 どうやら持ってきてくれるようだ。


「身を守るタイプのアクセサリーと奥の手用のアクセサリーよ。

 身を守れても敵がいる限り何も出来ないから最後の手として使うのよ」

「お嬢様の分は?」

「私の分はもうすでにここにあるわ」


 そう言って、胸元からペンダントを取り出した。


「ま、わたくしは、かなり強いからこれに頼ることはないのよね」


 そう言ってお嬢様は、ペンダントを胸元に戻した。


「お待たせいたしました。

 当店お勧めの商品はこちらになります。

 こちらがプロテクション系のアクセサリー、こちらが魔術を封じ込めたものになります。

 他にご要望があればお申し付けください」


 お姉さんは幾つかアクセサリーを僕らの前に並べる。

 どれも宝石がはめ込まれておりとても奇麗だ。


「高そう」

「そうね。

 普通の冒険者には一つ持てたらいい方ね」

「そうなんだ」


 ……普通に考えて、それなりに冒険者として過ごしてきた中堅どころでようやく一つっていう事だよね?

 ……オカネノチカラハイダイダナァ。


「それで、どれにするの?」

「僕様が決めるの?

 言っては何だけど見た目の違い以外分からないよ?」

「見た目は重要よ。

 それにそれを意識することも」

「そう?」

「ええ、そうよ」


 確信に満ちた答えに僕様はそんなものなのだと受け止めることにした。

 深く考えず、ただこれがいいかなと思う物を選ぶ。


「それじゃあ、これで」


 僕が選んだのは、一つだけ一番小さい宝石が着いたネックレスだった。

 透き通った宝石の下に線のようなものが見える一品だ。

 深く考えず軽く考えて、宝石が大きいものほど高いと見た僕様は一番小さいものを選んだ。

 小心な僕様としては、恩を最小限にとどめておきたいのだ。


「あら、なかなか目の付け所がいいわね」


 お嬢様の言い方に心臓が跳ねる。

 いやいや、そこは普通そんな物でいいの?

 とかじゃないの?


「プロテクション系でも最高硬度のダイヤシリーズよ。

 身を守るのにうってつけね」


 僕様は、恐る恐る尋ねてみた。


「小さい方が高い?」

「普通は、小さい方が安いわよ。

 この店では、半端な物は置いてないからね。

 小さいものほど魔力が凝縮されているのよ」


 認識が完全に違ってなかったのである意味安心だが、それでも認識違いが起きてるな。

 限定的認識違い。

 僕様困るよ?


「普通は、って事はこの店以外は安いんだ」

「他の場所では、小さいものほど含有魔力が少ないから大したことないわね」


 成る程ねー。

 ここまで非常識晒しちゃってるし聞いておこう。

 聞かぬは一生の恥ってね。

 まあ、結局恥はかくんだけどね


「もしかして、ダイヤシリーズって高い?」

「気にしなくていいわ。

 あなたの身を守るためのものだから。

 変なものはこの店に無いし、あなたに合わないものはちゃんと止めるから。

 ほら、そっちからも選びなさい」

「はい」


 促された先には、魔術が封じ込められた指輪が幾つか並べられている。

 どんな魔術が封じ込められているのかとても気になる。

 適当に一つの指輪に指差してお姉さんに尋ねる。


「この指輪には、どんな魔術が封じ込められているんですか?」


 僕様の質問にお姉さんは困惑したように答える。

 恥ずかしいよぉ!


「はい、そちらは炎系の魔術です。

 もしやお客様、系統着色をご存じでないのでしょうか?」

「ケイトウチャクショク」

「ああ、そうね。

 その子は、何も知らないと思ってもらっていいわ」


 お世話を掛けますお嬢様。


「かしこまりました。

 系統着色について説明いたしましょうか?」

「ええ、お願いするわ」

「それでは、まず初めにお客様が示された宝石は赤い色になっているのはお分かりかと思います」

「はい」

「この赤い宝石と言うのは、炎系統の魔力が込められており炎系の魔術と相性が良いのです」

「なるほど、他の色にもそれぞれ系統の魔力が込められているってことですか?」

「理解が早くて助かります。

 青が水、緑が風、黄が土となっております。

 透明な物は無系統と呼ばれている魔術に使われることが多いです」

「なるほど、さっきのプロテクション系のネックレスも無系統ってこと?」

「はい、その通りです」


 四属性プラス無属性が基本なのか。

 僕様が魔術を使えるようになることはなさそうだし、そこまで気にしなくていいか。


「切り札としてなら土系統の魔術でお願いします」

「炎でなくていいのかしら?」

「炎は使う場所を選ぶから土の方がいいかと思って」

「使う場所を選ぶ?

 よくわからないけどあなたがそれでいいならそれでお願いするわ」


 何故か嬉しそうにお嬢様は、購入する。


「かしこまりました。

 それではどうぞ」


 お姉さんが指輪とネックレスを差し出してきたのでどうしたらいいかとお嬢様を見る。


「身に着けるのよ。

 持っていても仕方がないわ」


 そう言われ僕は指輪を右人差し指にそしてネックレスを首にかける。


「いいじゃない似合っているわ」

「そうかな」

「ええ、似合ってますよお客様」


 二人に言われると僕様もこのアクセサリーが似合ってると思っちゃうな。


「では、会計をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ええ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ