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夜無し

 暖かな日差し、涼やかな風。昼寝をするには持ってこい。そういうわけで、ぼくは道端で横になった。





 目が覚めると、横で何かが光っている。硝子片を組みあわせて作ったような置物だった。


(妖精の作り物かな?)


 崩さないように後ろに寝返りを打つ。

 ぱりん。

 嫌な音がした。

 その場から急いで立ち去ろうとすると、ちょうど光の妖精が戻って来た。冷や汗が止まらない。





「いや、これは……その」

 なんとか言い逃れようとぼくは努めてみた。だが、妖精はにっこりと微笑みを浮かべたまま真っすぐにぼくを見つめている。


(無理かな)


 諦めたぼくはを誠心誠意の謝罪をし、促されるままに二三の貴重品を妖精に手渡した。そして、うれしそうに去っていく妖精を見たときにぼくは安堵した。だから、もう一人の妖精には気づいていなかった。

 振り返ると、そこには鬼の形相をした光の妖精がいたのだ。


(……こっちが持ち主か)


 気がつくと、ぼくは全力で逃げだしていた。もちろん、それで何も起こらないはずはなく……。異変は夜に訪れた。





 異様な明るさに思わず目が覚める。だが、辺りを見回しても何もない。気のせいかと思って瞬きをすれば同じ光が再び襲って来た。頭がくらくらするほどだ。


(間違いない。【夜無(やな)し】の呪いだ)


 これは言葉どおり、夜にしか発動しない。だが、効果は絶大だ。とてもじゃないが、目を瞑っていられない。大慌てで、ぼくは知り合いの薬屋に駆けこんだ。





 呆れ顔の主人がぼくに言う。

「こりゃまた……古典的な」

「でも、深刻なんです」

 無理やりに目を開かせているので、ぼくの顔は涙でぐしょぐしょになっている。しばし主人はそんなぼくを面白がっていたのだが、そのあとできちんと薬をくれた。ここの薬は信頼の置けるものだ。すぐに、ぼくは飲んだ。





 薬屋を出でから独り言ちる。

「自分のせいとは言え、えらい目に遭った……」

 ぼくは足を別の場所へ向けた。冒険は、まだつづく。

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