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ゴブリンテイマー、反撃を開始する

「どうだい。いくら最弱のゴブリンでも、これだけの数を相手にお前たちは勝てるかな?」


 テイマーバッグから飛び出したゴブリンたちは、ゴブトやゴブナに比べると少し小柄ではあったが、その数総勢百匹以上。

 実際、僕自身も今何匹のゴブリンがテイマーバッグの中に『住んで』いるのか把握していない。


「そんな……テイマーがテイム出来る魔物の数は二匹が限界のはずだ」

「うん。普通のテイマーならそうだね。でも僕は【ゴブリンテイマー】なんだ」

「それがどうした」

「僕も初めて知った時はびっくりしたけどね。どうやら僕のスキルは最弱種のゴブリンに特化してる代わりに、テイム数の制限が無いみたいなんだよね」


 話をしている間にも、男たちの周りを大量のゴブリンたちが取り囲んでいく。

 一匹一匹は子供より弱い。

 だけれど、そんな魔物であってもこれだけの数が同時に襲いかかればどうなるかは明らかだろう。


「だからギルドでも言ったろ? 【特殊スキル】だってね。さて、君たち降参してくれないかな?」


 ゴブリンに囲まれた男たちに僕は投降するように告げる。

 だが、その言葉が逆に彼らをいきり立たせてしまったらしく。


「降参だと? 降参してどうなるってんだ」

「そうだ。ここで降参した所でギルドに突き出されれば良くて一生強制労働、悪くすれば死刑になっちまう」

「いくら数が多くても所詮はゴブリンだ。全員で掛かれば逃げ出すくらいは出来るはず」

「行くぞお前ら。こいつら全員ぶっ殺す気で闘え!」


 まずいことになった。

 このまま戦いになったとしても、ゴブリンたちが負けるとは思わない。

 だけれど、少なからず被害は出てしまうだろう。

 ここはわざとこいつらに逃げる隙を与えて――


 そこまで考えた時だった。

 男たちの前に一匹のゴブリンが二本のショートソードを手に進み出たのだ。


「ゴブト!?」


 先ほどまで一人で男たちに対峙していた僕が一番の信頼を寄せるゴブリン。

 周りを取り囲むほかのゴブリンたちよりも頭一つ大きなその体からは途轍もない殺気が吹き上がっているのを感じる。


『ゴブゥ……ゴブゥ……』


 どうやらゴブナが彼らに狙撃されたことがよほど腹に据えかねているらしい。

 逃がすくらいなら自分がここでこいつらを倒す。

 ゴブトのそんな心が僕の心に伝わってきた。


「これは僕には止められそうに無いね」


 僕はそう呟くと脳内でゴブリンたちにゴブトを中心にして戦えと指示を出す。


「へへっ、いっちょ前に二刀流とか。ゴブリンのくせによ。今度こそ死んじまいな!」

「うぉぉぉぉっ」

「死ねやあああああああぁぁぁ」

「撃て!」

「おらぁぁぁ!!」


 弓を構えた男が放った矢を合図に、他の男たちが、それぞれの得物を構え一気に間合いを詰める。

 どうやら彼らにも目の前に立ち塞がったゴブリンがただ者では無いと感じたらしい。

 他のゴブリンたちを放っておいてでも、まずはゴブトを始末しようと決めたようだ。


 最初に男の放った矢が。

 それに続いて長剣、斧、ナイフ、スリングショット。

 それぞれの武器が同時にゴブトに襲いかかる。


 先ほどは見事に矢を打ち払ったゴブトだが、流石にそれだけの同時攻撃にはなすすべも無い。

 そう誰もが思った直後。


 ゴウッ!!


 人の頭ほどの火球が、突如としてゴブトの後方から飛び出すと、男の放った弓を一瞬で燃やし尽くし、スリングショットの球を溶かしたのである。

 他の男たちは、火球を目にした瞬間に一斉に得物を引き後ろへ飛ぶ。


「あいつら全員ゴブトに気を取られていて助かったよ」


 僕は密かに合図を送っていたゴブナに「よくやった」と手を挙げる。


「な、なんだあいつは」

「確かに殺したはずだろ」

「いや、それもそうだがゴブリンだぞ。どうしてゴブリンが――」


 どうして魔法を使えるのかって?


 確かに最弱種ゴブリンが魔法なんて使えるわけが無い。

 普通のゴブリンは簡単な魔法ですら使うことが出来ないというのがこの世界の常識なのは僕も知っている。


 そう。

 この二匹のゴブリンが『普通のゴブリン』だったならだ。


【ゴブリンテイマー】を読んで下さいましてありがとうございます。


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