ユニークスキル
「これは……面白いねぇ」
タバレ大佐からの手紙を一通り読んだ後、エルダネスは眼鏡の奥の瞳にいたずらっ子のような色を浮かべ、にやりと笑うとそう言った。
つい先ほどまでの真面目で堅物そうな司書の顔は仮面だったのだろうか。
彼から感じる気配が完全に一変していた。
「ここに書かれていることは本当なのかい?」
「と言いますと?」
「アナザーギルドのこととか、ティレルという謎の男の暗躍とか――君が珍しいスキル持ちだと言うこととか」
エルダネスはそう答えながら手にした手紙を指先でつまみ、ゆらゆらと揺らす。
あの手紙は僕がタバレ大佐に伝えられる限りの情報を伝え終わった後に彼がしたためたものだ。
多分だけどそこには僕が話した内容がまとめられていたに違いない。
「ええ、まぁ。たしかに珍しいと言えば珍しいみたいですね」
「いや、謙遜――という訳じゃ無いのだろうけど、この手紙に書かれてることが本当だとすれば、僕が知る限り君のスキルはユニークスキルってやつじゃないかな」
「ユニークですか?」
「ああ、僕も数例しか聞いたことが無いけどね」
ユニークスキルというのは、一般的に世に知られる数多のスキルの中で二つと同じものが無いスキルのことらしい。
大体は僕の『ゴブリンテイマー』のように『一般的なスキルの亜種』として現れる。
僕と同じテイマースキルのユニーク持ちは、エルダネスの知る限りは過去に数人。
そしてそのうちの一人が――
「私が実際にあったことがあるのはオックスという『ワイバーンテイマー』だけだがね」
「オックスさんってあの、タスカ領で殺された……」
「それもこの手紙に書かれていたが、残念だ。彼は素晴らしい人物だったというのに」
エルダネスの話を聞いて僕は一つだけ謎が解けた。
そうあのワイバーン亜種であるケルシードのことだ。
いくらオックスがケルシードたちを家族の様に扱い、様々な冒険をくぐり抜けて経験を積んできたにしても、ケルシードのようなドラゴンに匹敵するほどのワイバーンが生まれるのはおかしいとルーリさんも看病に来てくれた時に言っていた。
田舎暮らしで殆どそういった知識が無かった僕は、その時始めてケルシードのようにテイムされた魔物があれほど強力に進化するのは異常なことだと知った。
つまり僕のゴブリンたちのように様々な進化をするのは普通では無いということだ。
「それじゃあ早速だけどいいかな?」
「えっ?」
「何を驚いているんだね。話の流れからわかるだろ」
エルダネスは手紙を振りながら、少し不満そうな顔をする。
そして手紙を持っていない方の手で僕を指さして言った。
「君のユニークスキルを見せてくれってことさ」




