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後始末①

間が開きましたが2話です。今回も食事中はちょっとおすすめできません。

俺は昔から腹が弱かった。特に食後は必ず便意に襲われた。だから、俺は1日に最低三度は排便をしなければいけない。食後以外にも催すことはよくあるので、俺が1日あたりにする排便の回数は平均して3回から4回といったところだろう。


この世界に転移してから冒険者ギルドにたどり着くまでおよそ1時間と30分。加えて朝食を食べてから転移するまで30分で計2時間。これはいつも俺の便意がピークに達する時間だ。いかにこのタイミングに合わせて、あるいは先んじてトイレの個室に駆け込むかに、俺の人権はかかっていた。

俺は当然冒険者ギルド内のトイレを利用しようとした。だが思い出して欲しい、この世界がどんな世界か。この世界の街並みはいわゆる昔のヨーロッパ風の、石畳と煉瓦の家が並んでいる。では、そんな街にあるトイレとはどんなトイレだろうか。


ウォシュレットなんかを望んだわけじゃない。


水洗なんか期待していない。


ハエくらいいるだろうとは思っていた。


だがあれはなんだ。あれはトイレとは言わない。どんな有様だったかなど口にしたくもない。

こんな場所で排便などできない。俺は一瞬だけ便意を忘れて、呆然としながら冒険者ギルドの敷地を後にした。


俺は快適な排便をする機会を未来永劫失ってしまったかもしれないのだ、実家や大学のトイレがあまりにも懐かしくなった。


最早ここまで、衆人環視の中で漏らすしかないと観念したとき、俺は先程ギルドで渡された、薬草の生息地が示された地図を思い出した。


西門を出た先に小川がある。


この小川で野糞をすればいいのではないか。紙は使えば痔になるだけのルーズリーフしか持っていないが、川の水を使えばいい。川で野糞をするのは、21世紀の文明人として大丈夫なのか疑問だが、我が祖国は恥の文化、誰も見ていなければ問題はない。


そう意気込んで、西門に向かったがその道程は地獄というのも生温いものだった。襲いかかってくる便意を意識しないように無意味に知っている人間の顔を思い浮かべたり、大学のことを考えたりしながら、一歩ずつ小川へと向かい、ついにたどり着いたと思ったところで、こいつらと出会した。俺が、自分の腹のうんこがこいつらの腹に転移しないかと望んだのも、無理からぬことと納得していただけるだろう。


目の前に転がっているのは、糞の臭いを撒き散らす死体たち… これをどうしたら良いだろうか。俺がこいつらを殺してしまったことについては、正当とは言えないまでも防衛行動と認められて然るべきだ。悪い奴らっぽいし、おとなしく西門の兵士に事情を話すべきだろうか。だが、殺人の容疑者として詳しく調べられたら、俺がそもそもこの世界の生まれですらないことがばれて、面倒なことにならないだろうか。確実になる。放置するしかない。目の前の小川に流して視界から消し去りたいが、人を流せるほどの深さも速さもない。しかし、この小川にも使い途がないわけではない。戦時国際法違反の毒ガス兵器と化しつつある死体の腕を引きずり、小川に近づくと、ジャイアントスイングの要領で川に死体の下半身を浸す。あとはその辺にある木の枝をズボンにひっかけて脱がす。ズボンがうんこと共に小川をどんぶらこどんぶらこと流れて行く。俺が野糞をしようと思っていた小川だが、やはり21世紀の日本国民の環境意識にチクリと刺すものがある。


ようやくバイオハザード発生アラートは解除された。あとは革鎧を剥ぎ取り、その他の武具や硬貨の入ってる財布を回収する。はい、強盗です。「うんこをくれてやる代わりに命と装備と金を分捕っていく」悪魔でもやらなそうな所業だが、なりふり構っていられない。目印になりそうな木の根っこあたりを掘って隠しておく。これでよし、あとはひとまず薬草を集めて帰ろう。

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