おでかけ前のおいたぞら
「ん?」
晴れてるのにパラパラと言う、雨が降ってるような音がしてあたしは首をかしげた。
「あ、雨降ってる」
玄関ドアを開けてみれば、言葉通りにパラパラと雨が降っていた。でも、天気は晴れたまま。
「こういうの、なんて言うんだっけ? 天気雨じゃなくって、えーっと」
いいや、とスマホを取り出して、考えることを放棄。検索エンジンに託す。
「出た出た。ああそうだそうだ、狐の嫁入りだ。あー、スッキリしたー」
たとえ晴れてるとはいえ、濡れるのはいやだ。かと言ってこんなすかっぱれに傘をさすのも間が抜けてる。なら、取る行動は一つ。
「文明の利器を再度使用しまして」
言いながら連絡アプリを立ち上げる。そうして今日会うメンバーに、狐の嫁入りだから止むまで待つから、ちょっと遅れるかもとメッセージを送信。知りたての言葉って、なんか使いたくなるよね。
帰って来た返事が、はてなマークと笑い顔のスタンプ。「なにそれ、意味わかんない」って笑ってるんだな、って言うのがすぐわかった。
なるほど、通じなかったんだ。ただ、一人、「狐が病むまで待つってなに? せっかく嫁に来たのに狐がかわいそうじゃん笑」って返して来た子がいて、その発想はなかった とうなるあたし。
そうこうしてたら、いつのまにか雨が止んでいた。「狐ちゃんに実家帰られたから今から出るわ」ってもっかい連絡してスマホをしまうと、あたしは不思議な空を見上げて大きくのびをした。
狐の嫁入りをトリガーにして、狐娘が嫁に来る、狐の嫁入り(物理)って言うローファンバージョンも考えたものの、書いたのはこちら 日常風景になりました。
雨からすぐ狐の嫁入りが出て来る俺、どんだけひねくれてるんでしょうねw