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戦友の彼女

次話を読んでいただきありがとうございます。


ザダンは、帰って来た自らの力に苦しんでいると…


 ザダンはとある場所で、倒れていた。

 激痛が全身を巡り、動けない。

 ソロモンが戻した元の自分の力と新たな自分の力が鬩ぎ合って激痛を生む。

「う、う…」

と、ザダンが蹲っていると、そこへ一人の女性が来た。

 赤髪でザダンと同じ年代の女性。

 その女性は、ザダンに駆け付け

「ザダン様!」

と、蹲るザダンに駆け寄り、ザダンの蹲る背に手を置いて労う。

 ザダンは女性を見て

「ドゥルガーか…」

と、名前を呼んだ。

 ドゥルガーは名前を呼ばれて涙して

「良かった。ザダン様が生きていた…」


 ドゥルガーは、嘗ての戦いで共に戦場を駆け巡った戦友だ。

 あの忌まわしいシャカリアと、ドゥルガーに弟のルシーファの四人で、収天螺王と全事顕王と戦った。

 だが、それはもう…遙か過去の話だ。


 ドゥルガーは、ザダンを優しく抱えると、後ろにあるバックから、簡易的に膨らむベッドを取り出し、隣に投げると、それが膨らんでベッドになり、それにザダンを横にさせる。


 ザダンは落ち着くと、その胸中にドゥルガーは、額を置いて俯いて抱き付き

「良かった本当に…信じられなかった。貴方様が…変異して暴走し、このアルファイガを滅ぼそうなんて…そんなはずはないと…」


 ザダンは胸で涙してくれるドゥルガーの後ろ髪を撫で

「ああ…オレの目はなんて節穴だったのだろう。一番に信じてくれる君がいたのに…あのクソ女に…。バカだったなぁ…」

 ザダンは自分の行いに後悔していると

「おーい。生きているか?」

と、収天螺王のトオルと、隣に全事顕王のスベルの二柱が来た。

 トオルは、ザダンに近付き、その胸で泣いているドゥルガーを見て

「お前…なんか、やったのか?」

 状況が分からないので、きくしかない。


 ドゥルガーは顔を上げて涙を拭い

「お尋ねします。もしかして…お二人が」

 トオルは面倒くさそうな顔だが、スベルが

「全てを話す」


 ドゥルガーは全てを聞いた。

 ザダンの祖先がザダンと同じく超位の力を覚醒させたのが原因で、同じく七神王の祖先に殺された事を…。

 それがザダンの代に来て、祖先と約束していたトオルとスベルが、ザダンを助ける為に、ワザと敵になってザダンを英雄にさせて、何とか収めようとしたが…結局は、罪人の血筋は、同じ罪人を生む出すしかなく、ザダンも洩れなく祖先のように…。


 ドゥルガーは悔しくて拳を握り締め

「何と…そんな…悔しい」


 スベルが

「それが、ヒトという種のサガだ」

 トオルが

「そんなもんさ。支配者ってのはなぁ…。自分より優れた存在に怯えて代替わりが来たのに…何時までも固執する。もう、他者の為じゃあない。自分の為に行動するのさ。古今東西、それは永遠に変わらないさ」


 トオルが、たき火しているコンロから焼けた肉の串刺しを取り

「食べるか?」

 簡易ベッドで横になるザダンは手を伸ばし

「ああ…くれ」

と、トオルが渡すも、ザダンは握れず腹の上に落とすも、ドゥルガーが拾い

「ザダン様」

と、ザダンの口に運ぶ。

 それをザダンは咬み千切り食べる。

 まだ死ぬ訳にはいかない。自分の復讐をやり遂げるまでは…生きねば…。


 スベルは苦しそうにするザダンを見て

「ザダン。お前に返されたお前の力だが…内部で新たな力と反発し合っているのは分かるな」

 ザダンは肯き

「ああ…何とか…押さえる」

 スベルは苦い顔をして

「お前が押さえようとすると、その新たな力も抑えられて意味がなくなる。となると…お前の前の力を何とかするには…それを受け入れてくれる別の器が欲しい」

 トオルが、焼けている肉の串焼きを口にして

「要するにだ。返された力を受け入れる器に入れて、お前のダメージを無くすって寸法だが…。スベル…リスクが…」

 トオルの兄弟、スベルは肯き

「ああ…それで、ダメージはなくなるが。結局は戻る事には変わりない。そうなったら…一瞬にしてその負荷が襲って来て、即死するかもしれん」

 トオルが苦い顔で

「つまりよ…七大神王、全員に復讐してお前の力が戻った瞬間、お前は…即死って事に…」

 ザダンは真剣な目で

「それでいい。成し遂げた後、生きていようとは思わない」

 ドゥルガーが「ザダン様!」と叫ぶ。


 トオルは渋い顔をして

「ああ…そうかい。だが、その器ってのも…適正がある」

 スベルが冷静な顔で

「そうだ。お前は男だ。だからこそ太極となる女性で、しかも…親和性が高い…」

と、視線を逸らせる。

 トオルも微妙な顔をして

「その…なんだ。今、お前の隣にいる女の人が…丁度いいだな…」

 スベルも微妙な顔で

「トオル、流石に直球でいうのは、セクハラやパワハラだぞ」

 トオルが

「じゃあ、どう伝えればいいんだよ。つまり、ザダンの苦しみを救う為にザダンとセッ○スしてくれなんて、隠して言っても意味ないだろう」

 スベルが

「いや、言い方。閨を共にするとか、夜と共にするとか、表現方法があるだろうが! だから、奥さん達に何時も怒られるだろう!」

 トオルが

「うるせーー オレがそんな器用な事が出来る性格じゃあないって、お前も知っているだろうが!」

 へんな漫才のような言い争いをする二人を見てドゥルガーは。プッと噴き出して

「なんか、おかしいですね。前に戦った時は、恐ろしくて…死を感じた方達だったのに。今は…兄弟ケンカみたいで、暢気で」

 トオルはスベルは微妙な笑みをする。


 スベルが、コンロから肉の串刺しを取り、トオルの腕を掴み

「じゃあ、まあ、伝えたので…後は、話し合ってくれ」

 トオルが

「最悪、ダメだったら、オレの力で痛みだけでも消せるけど。一時的でしかないからよ」

と、スベルとトオルは気を遣って遠くへ離れる。


 ザダンとドゥルガーの二人になってザダンは

「気にしなくていい。収天螺王に痛みだけを消して貰う」

 ドゥルガーはザダンの上に被さり

「いえ…構いません」

と、ザダンと唇を重ねる。

 ザダンは

「すまん。誰も…巻き込むつもりはなかったのに」

 ドゥルガーは微笑み

「知っていましたか? わたくしは、ザダン様の事を…愛している事を」

 ザダンは苦しい顔をして

「ああ…だが…その時には…すまん」

 ドゥルガーはクスッと笑み

「ええ…そんな真っ直ぐな所が、私は好きなんです」

 ザダンはドゥルガーの頬を撫で

「本当に、女を見る目がなかった」

 自分の頬を撫でたザダンの手をドゥルガーは握り

「ザダン様の心も貰えますか?」

 ザダンは肯き

「ああ…陽炎のように短い命だが…。もう、ドゥルガーお前にオレの心を捧げる」

 ドゥルガーがザダンに被さり

「はい。わたくしの心もザダン様に、いえ、ザダンに…」

「ああ…ありがとうドゥルガー」

 二人はお互いの心と体をかわした。


 遠くで聞こえないようにしているトオルとスベルが

「なぁ…スベル。ザダンの力を受け入れるって事は…」

「ああ…そうだな。トオル。子が出来るかもしれんな」

「親の事は子には関係ねぇなぁ…スベル」

「ああ…どこか違う宇宙で、彼女を保護して…」

「結局の所…アイツの望んだ通りにはならなかったなぁ…」

「そんなモンさ、世の中ってのは…」

「天臨丞王と異端帝王の所に頼むかなぁ…頭下げて」

「あの二柱なら、甘ちゃんだから受けれてくれるだろう。懐も深いし」



 ◇◆◇◆◇◆◇



 それは巨大な葬儀だった。

 神王ソロモンの葬儀だった。

 ソロモンの亡骸が入った棺に、残り六人の神王達が花を添える。

 そうして厳かに葬儀が進む。


 父ソロモンの葬儀には娘ファーティマは出席していない。

 今回の事が、余りにも衝撃だったので、惑星居城で安静にしている。

 葬儀の式取りは、神王のゼウスが行っている。

 そうして、葬儀が終わると六人の神王は集まり

 

 ゼウスが

「ザダンが生きていた」

 テスタメントが

「まさか…新たな力を得て…」

 シオンが

「どうするかね?」

 シヴァが

「一応は、封滅したザダンが復活して悪事によってソロモンが殺されたと…」

 クロノスが

「我らがやった事も明るみになるやもしれんぞ」

 ガイアが

「そうなったとして、どうにでもなりません。この世界を支えているのは我らなのですから」


 ゼウスが

「我らが消えれば、このアルファイガに満ちる神機の力が減少する。それは民達が望む事ではない」

 テスタメントが

「その神機の力の増幅の為に、ザダンの祖先も殺されて力を奪ったのですが…」


 クロノスとガイアが離れ

「今度は我らが仕掛ける」

とクロノスが告げ、その半身であり兄妹でもあるガイアも続く。


 テスタメントが

「勝算があるのですか? ザダンは、前の神機を越える超越存在の力を得ています。それは収天螺王や全事顕王と同族の力です」


 ガイアが

「ザダンはこのアルファイガから誕生している。ならば、その大母神である我と」

 クロノスが

「その道筋の力、運命の源流である時神の我の、我ら二柱の影響は必ず受けている。そこを突けば、ザダンを崩壊させるか、無限の封印に閉じ込められるだろう。前のように力を取り込めないが…」

 ゼウスが肯き

「分かった頼む」

 テスタメント、シヴァ、シオンも静かに頷いた。


 クロノスが

「では、行こうか…ガイア」

 ガイアは肯き

「ええ、生きましょう…クロノス」


 二大神王がザダンの封滅の為に向かった。



 その頃、ザダンは、左腕にドゥルガーの寝かせて二人してシーツに包まっていた。

 ドゥルガーとの交わりによって、ザダンに帰った前の力はドゥルガーに移ったが、その連結は絶たれていない。

 何れ、トオルとスベルの言う通りに、全て戻った瞬間。

 だが、それでもいい。己の復讐を成せれば…。

 だが、気がかりなのは、ドゥルガーの事だ。

 彼女の事は…二人に頼むしかないだろう。

 後で勝手だが、願い出ようと…。

 

 その心配が無用だったのを、ザダンは後で知る。


 そして、ザダンは次の復讐相手を決める。

 時の神王クロノスと、大母神ガイアだ


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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