朱雀の記憶の中で
前回から大分空いているのですが、書きました。
暗闇の中、誰かが泣いている声がする。小さい声だが....グスン、くすんと何かが泣いているのだ。
僕は誰が泣いているのだろうか?と不思議に思い少しずつ声がする方へ歩いてみた。まだ何も見えない、でも微かに声がする。
「僕は何で、なんで、、皆と同じようにできないの?まだ、飛べもしないのに!」
なんで、なんでだよ。何でみんな僕のことを見ないようにするんだ、寂しい、寂しいよ。とその声の主は悲しそうな顔で一人で泣いていた。
そして僕はこの声の主が、朱雀。だと言うことに確信するのであった。きっと幼い頃の朱雀の記憶の中であったのであろう。
その中で僕は、誰かに必要とされないことに少し胸が痛くなった。何故だかわからないけど僕が誰かと仲良くする事を拒んでいるかのようだった。
それは今の生活になる前に、前の学校で妖怪たちに追いかけられたことがあり、僕のいる方向にあるガラスが一斉にバリンッと大きな音で割れ、学校や引き取り手のおばさんにも迷惑をかけてしまったことがあったからだ。その帰り際におばさんは、貴方はどうして周りの人に迷惑をかけるの?気味が悪い子ね!と言い僕の体を揺さぶった。そして泣き、右頬をバシンと叩いた。
痛くはなかった、どうしてかは分からない、だけどもう、誰にも迷惑をかけてはいけない。とそう誓うことにした。 だから迷惑を掛けないようにしてきた、だから僕はピエロになった。表の顔と裏の顔を持って生きることにそう努力した。でも、それには限界もあるのだと気づいた。しかし、このことを言ってしまうと友人が減ってしまうのではないかと思い、一人の信頼できる友に伝えてみることにした。初めは驚いていたが、真剣に聞いてくれた。本当にそれは嬉しかった。誰も話を聴いてくれる人がいなかったから余計に嬉しかったのだ。 ありがとうと伝えたい。 今の僕ならできる事だろう。
ねぇ、朱雀。僕は君に出会った頃よりも少し強くなれたかな?
僕と君は何か似ている気がするんだ。だから、僕と一緒に居て欲しいんだ。
君との約束は、僕が死ぬ前に果たすまでは....。
目を覚ますと、隣で朱雀が僕を見ていた。
「俺の昔を視たんだろう?どうだった。何かあったのか。泣いていたが...」
「僕の前の出来事と重ねていただけだ。昔の事を思い出していたんだ。」
「そうか、大丈夫なのか」と心配気にはなしていた。あぁ、大丈夫だ朱雀と会話していると、
零君、お使いを頼みたいのだけどーっと言う声 が聞こえて来て、
「はい、わかりました。今いきます。」
と慌てて僕は立ち上がり、階段をかけ降りた。
次回は、時間を見て書かせていただきます。