プロローグ
気がついたら、僕は自分の家じゃないところにいる事に気が付いた。
「おはよう。よく眠れたか?」
突然かけられたその声は、金髪碧眼の女騎士のようなひとのものだった。
「あ、はい。おはようございます……」
「話は変わるが、君はなぜここにいる? この世界の者ではないだろう?」
「……はい?」
そういえば、僕は昨日、部活が終わってすぐ家に帰り、ラノベを読み漁ってご飯を食って、そのまま寝たんだった。けど、なんでこんなところにいるんだろう。
「少年よ。名は何というのだ?」
「僕は白牙 凛といいます。貴方は?」
「私はルフィア・キラレウス。ルフィアと呼んでくれいいぞ」
ルフィアさんか……。 あれ? そういえば、読んでいた『煉獄の騎士』の主人公ってルフィアという名だったような気がするが、気のせいか。それにしても、ここってレンガ造りになっているのか。洋風建築なのか?
考え事をしていると、ルフィアが「早く質問に答えろ」と言ってきそうな目をこちらに向けていた。
「なぜここにいるのか……。 それは僕も分かりません。ただ、貴方が僕の知っている本の主人公と名前が一緒ということだけ分かりますが」
「その本の名前は何というか知っているか?」
「はい。確か…… 『煉獄の騎士』だったような」
「それは、街のみんながよく私に言ってくる2つ名のようなものだな」
ほう。どうやら俺はラノベの世界に入ってしまったようだ。いや待て。これは夢かもしれないな。
「ルフィアさん、僕を殴ってくれませんか? 死なない程度にお願いします!」
「いきなりなんだ? まあ、別にきみがいいのなら」
これが夢だったら痛みは絶対感じないはず。そう思い、お願いしたのだが……
バシッ(べきっ)
「痛ってぇ~~~~~!! ナニコレ、夢じゃないのかよ。なんなんだよ。変な音したし、右頬の骨が折れたような感じがする……」
「いやーー、思いっきり殴るとすっきりするもんだ(笑) 大丈夫か?街の病院行って診てもらうか?」
「行った方がいいですかね?」
「うん」
ここから、僕のラノベ作家になる異世界取材が始まったのであった。