お帰りなさい。ただいま。
剣道場に戻る最中俺は楠木に気になったことがあるので移動しながら聞く。
洸「ところで楠木、お前なんで俺らの居た場所がわかったんだ?
剣道場から出たのはわかったとしても校舎側に移ったのは見えなかったと思うんだけど?」
楸「……」
黙ったまま顔をそらす楠木。
洸「……おい…お前まさか……」
椿「?どうかしたんですか?」
楸「……先輩が思ってる通りです」
洸「マジかよ……」
椿「???あの、神前君?話が見えないんですけど?」
洸「ああ、すいません!簡潔に説明するとこいつ人の携帯にハッキングかけやがったんですよ」
椿「そうなんですか?…………そうなんですか!!??」
まあ、驚くのは無理もない…俺も初めてやられたときはメチャクチャ驚いたからな……。
洸「っと、話てるうちに剣道場に到着っと」
楸「誰に説明してるんですか?」
洸「いや、なんとなく」
竜悟「お~神前!戻ってきた!」
その声に振り向くと何故かひっくり返っている雨宮がいた。
洸「……なに…やってんだ」
竜悟「ん?いや~…ははは……宮もっちゃん止めようとしたらぶっ飛ばされたってだけだから気にしなくてもいいぜ~」
洸「……お前、本当に丈夫だな…で?宮本は?」
竜悟「あっちで格闘してるぜ~?」
そう言って雨宮の指を指す方を見ると口論している宮本と男子生徒がいた。
洸「…雨宮、なんでああなったか説明してくれ」
竜悟「ん~?な~んか佐々本…ああ、男子生徒の方なそいつがなんか言ったとたん宮もっちゃんが怒りだしてさ~」
洸「…佐々本か…惜しい」
竜悟「ああ、惜しいな」
洸「本の一本線さえなかったな」
楸「なにしょうもない会話してるんですか!!早く止めてください!!」
洸「へいへい、宮本~」
俺が声をかけると宮本が俺の近くまで来て後ろにまわる。
洸「……?なんだ?新しい遊びかなんかか?」
榎梨「そうだったらいいんだけどね」
少し強い口調でそう言ってくる。
その迫力に少し驚いてしまった。
佐々本「なんだ君は?今彼女は僕と話している最中なんだが?」
髪を弄りながら俺に言ってくる。
洸「いや~…あはは……宮本?説明してくれない?」
榎梨「わりーんですが僕は話す気なんてさらさらねーです」
洸「人を盾にしといて無視かよ……」
佐々本「はははっ照れなくてもいいよ!!」
洸「こっちもこっちで勝手な解釈してるし…」
榎梨「ごめん洸君、正直僕も君を盾にしたくはないんだけど……間に誰かいないとついつい殺っちゃいそうだから」
洸「なにさらっと怖い事言ってんの?!」
佐々本「……君はさっきからなんなんだ?僕が彼女と話してる最中だと言っているだろう?」
榎梨「だから僕は話す気なんてねーです!!」
洸「……」
だめだ……収まる気がしねー……どうやったら止まるんだこれ?
あまりの状況に正直俺もイラついてきていた。
洸「………」
榎梨「そもそもなんで僕に付きまとおーとしやがるんですか!!」
佐々本「君を愛しているからさ!!」
榎梨「その言葉はあんたがゆーと薄っぺらいんですよ!!他にも同じことを言われたって生徒が何人も居たの知ってるんですからね!!」
洸「……いい加減にしろ…」
榎梨・佐々本「え?」「は?」
洸「ゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャと……喧嘩がしてーならよそでしろやっ!!」
楸「う~わ~…神前先輩が先に怒るとは……」
椿「ど、どど、どうしましょう……」
楸「ほっといてもいいと思いますよ…あの二人が騒いでるいるのが問題なんですから」
竜悟「落ち着いてんなー楠っちゃん!!」
楸「その呼び方やめてくれません?ブッ飛ばしますよ!!」
竜悟「俺っちMだからどんとこいだよ!!」
楸「気色悪いんでその口閉じててください永久に!!」
その後どうなったかと言うと…俺の説教に耐えきれなくなった佐々本が俺に勝負を申し込んできて…佐々本を完膚なきまでに打ちのめした。
本来取り巻きが審判で判定は佐々本の有利にしか進まないはずなのだが…少しやり過ぎたみたいで、取り巻きが涙目になりながら止めにはいるまで俺は佐々本に竹刀を叩き込み続けたらしい。(正直頭に血が上っていたため覚えてない……つーかどんだけイラついてたんだ俺…あと左腕が凄く痛い…左腕しか使ってなかったから当たり前だけど……)
そして帰り道──学園前で先輩と別れて帰る。
榎梨「まっさか、洸くんが怒るとはね~」
洸「うっせ、もとはといえばお前が原因じゃねーか」
榎梨「あはは……ごめんね?」
洸「別にいいけど……それより、佐々本は大丈夫なのかねぇ……思わずやり過ぎちまったけど…」
榎梨「平気じゃない?僕が殺ったときもピンピンしてたし」
洸「あれ?今なんか漢字おかしくなかったか?」
榎梨「……なんのこと?」
なんか、笑顔が怖い…。
楸「はぁ……正直どうでもいいですよ…」
俺と宮本に話を呆れている様子で呟く楠木。
榎梨「そう言えば、ひーちゃんは何処に住んでるの?」
楸「その呼び方はやめてほしいんですけど…」
榎梨「まぁ、いいじゃん!」
洸「諦めろ、宮本は昔からこんな感じだから。
で?何処にすんでるんだ?つっても俺は越してきたばっかだからわかんねーけど」
楸「はぁ~……マンションですよ…最近出来た風町四つ葉マンション」
榎梨「え!?四つ葉マンションって凄く高級なマンションじゃん!!もしかして、ひーちゃんってお金持ち?」
楸「……別に…そんなのじゃないです…」
そういう楠木の顔は少し寂しそうに見えた。
洸「…楠木、無理だけはすんなよ?」
楸「なにいってるんですか?先輩はアホなんですか?」
洸「まぁ、否定はできないな」
楸「…ほんと、先輩のそういうところイライラするんで…直した方がいいですよ?」
洸「なんだよそれ?」
楸「そのままの意味ですよ…では、自分はここで」
洸「ああ、またな」
楠木の走って行く後ろ姿が見えなくなるまで、俺は手を振っていた。
そのあと宮本と話ながら家の前に着く。
洸「じゃ、宮本また明日な」
榎梨「あ、ちょっと待って洸くん」
洸「なに?」
榎梨「えっと………やっぱ、なんでもない…」
洸「……?そうか?まあ、いいや…じゃあな」
榎梨「うん、また明日…」
そう言ってお互い家に入っていった。
洸「……ん?」
俺が家に入るとリビングからバタバタ走る音が聞こえてきた。
洸「……なに走り回ってんだ?」
そう思い俺はリビングにはいると、柊が仔猫とおいかけっこ……というより柊が仔猫に追い回されていた。
よく見ると仔猫の口にはゴ◯ブリがくわえられてるではありませんか。
柊「…!!」
俺が帰って来たことに気づいた柊は俺を盾にするように俺の後ろに隠れる。
洸「……なにしてんの」
柊「…洸ちゃん…お帰りなさい」
洸「うん、ただいま……じゃなくて!!なんで俺の後ろに隠れんの?」
柊「あ…あれ……」
柊が指を指す。
洸「え?」
仔猫「にー」
なんだ?なんでこいつ今にも飛びかかる感じで構えてんの?いや、それよりもまずくわえてるGをなんとかしないと……。
仔猫「にゃっ!!」
洸「ちょっ?!」
そう考えていると仔猫が俺の顔めがけて飛びかかって来た。
洸「りゃっ!!」
俺はとっさに仔猫の首根っこをつかみダッシュでゴミ箱にむかう。
洸「柊!ティッシュ!!」
柊「ひえっ?!」
洸「早く!!」
柊「う、うん!!」
その後、俺の手から仔猫が逃げ出し捕まえるのにしばらくの間、家のなかは大騒ぎだった。
(Gはティッシュに包んでゴミ箱に叩き込んだ)
洸「…ふぅ~……で?その猫はなんなんだ?」
柊「…えと……気がついたら一緒に寝てて…」
洸「……飼うのか?」
柊「………ダメ……かな…?」
洸「俺に聞くよりも命さんに聞いた方がいいといいだろ?」
柊「……大丈夫かな?」
洸「何が?」
柊「怒られたり……しない?」
洸「怒らないと思うぞ?命さん動物とか凄い好きだし」
まぁ、本人は動物に全然好かれないけど……。
とか言ったらずっと悩みそうだな柊の性格だと…。
洸「電話で聞いてみたら?」
柊「…でも……仕事中だったら迷惑になるし…」
洸「もしもし?命さん?」
柊「もう掛けてる!?」
俺は電話をスピーカーに切り替える。
命『なんだい?なにか問題事かい?』
洸「まぁ、それなりには問題ですね」
命『女の子のスカートでもめくってまわってたのかい?』
洸「違います」
命『即答だね。君はもう少し私を構ってくれてもいいと思うんだけど』
洸「そんなことより、柊が相談…ってよりもお願いがあるそうなんですけど」
命『そんなことよりって……まぁ、いいか…柊は?』
洸「隣にいますよ。あ、スピーカーなんで聞こえますよ」
命『そ、で?お願い事ってなにかな?』
柊「…えと、その……」
命『お小遣いかな~?』
柊「ちっ、ちが?!」
洸「柊、落ち着け…とりあえず深呼吸しとけ。
あと命さんは茶化さないでください」
柊「洸ちゃん…」
洸「ん?どうした?」
柊「ありがと……」
命『おやおや、随分仲良くなったね…逢ってそんなに経ってないはずなのに…妬けちゃうね』
洸「……話がそれてきたんでもう言っちゃいますけど…命さん、猫飼っていいっすか?」
柊「洸ちゃん?!」
命『ちゃんと世話するんなら構わないよ。その猫は大きいのかい?』
洸「いえ、仔猫です。大きさからして一カ月ちょいってくらいの」
命『首輪は?』
洸「ありません」
命『…毛並みは?毛の色は?』
洸「毛並みは…ちょっとモフモフしてます。毛の色は黒ですね」
命『目の色は?人なつっこいかい?』
洸「…………」
命『尻尾はどうなってるんだい?!鍵尻尾かい?!』
洸「………」
俺は電話を切り柊に訪ねる。
洸「柊、晩飯食ったか?」
柊「あっ…えと、まだ」
洸「じゃあ、なんか作るよ。何がいい?」
柊「洸ちゃん…よかったの?命さん…」
洸「…いい、むしろ電話を切らなかったら質問が永遠と続いてただろうから…それよりも飼っていいって言われたんだから名前…つけてやらねーとな」
柊「…うん、あっ、洸ちゃん」
洸「なんだ?」
柊「遅くなっちゃったけど…お帰りなさい」
洸「……ああ、ただいま」
その時の柊の笑顔は初めて見る心の底からの笑顔だった。
俺もその笑顔につられて笑顔で答えた。
その後、晩御飯を食べながら仔猫の名前を二人で考えていたのだった。
チャランポランなお調子者。
雨宮 竜悟
一人称 俺or俺っち。
6月28日生まれ 16才
AB型
175㎝ 60㎏
好きな食べ物 鮭おにぎり、あんぱん。
嫌いな食べ物 ツナマヨ、ジャムパン。
趣味 情報収集、登山
詳細
洸と同じクラスの少年で、情報通で学園のありとあらゆる情報を持っている。(主に女子の情報が多い)
その情報で悪どい商売をしているらしい。
担任の暁先生によくちょっかいを出しては殴り飛ばされている。
基本的にチャランポランでノリがいい。
柊からは少々苦手意識を持たれている。