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心と心  作者: コヨーテ
20/21

騒いだり、喧嘩したり、怒ったり、慰めたり

商店街を抜けて俺たちは家に入ると、靴が増えていることに気づいた。


柊「お客さんかな?」


洸「…虎鉄さんと稲叢先輩の靴だな…あと楠木の靴もある」


ソフィア「…楠木?」


洸「どうかしたのか?」


ソフィア「…なんでもないわ」


洸「…まぁ、いいか」


少し気になったけど、今はおいておくことにして俺たちはリビングに入る。


洸「ただい…」


竜悟「テメェ!テツ!!お前あのタイミングでこうら当てんじゃねぇよ!!」


虎鉄「ハッ!お前がチンタラオレの前にいたんだろ?自業自得だ」


榎梨「ひーちゃんはやらないの?」


楸「自分が一方的に勝ち続けるだけなんでやりませんよ…あと、その呼び方やめてください」


椿「楠木さんはゲームが得意なんですか?」


楸「……まぁ、そのへんの人よりもできるってくらいですけど…」


椿「そうなんですか?私はあまり得意な方ではないので少し羨ましいです」


楸「う…いや、別に…得意でも…それほどいいものでは…ない…です…し」


竜悟「よーっし!!じゃあ次はこの大乱闘のゲームで勝負だテツ!」


虎鉄「ハッ!いいぜ、返り討ちにしてやるよ」


洸「………」


なんだこのカオス空間……。

そう思っていると楠木がこちらに気づき近づいてくる。


楸「先輩!助けてください!!」


洸「ごふっ!!」


というか、飛び付いてきた。

おもいっきりボディに入ったためめちゃくちゃ痛い。


洸「ゲホッ!ゲホッ!!…おま…いきなり…なにしやがる…」


楸「あ…すみません」


榎梨「あ!洸君だ!お帰り~」


椿「お邪魔しています神前君」


俺は軽く会釈する。

楠木の突進が思いの外効いているらしく、腹が痛い。


柊「大丈夫?」


洸「まあ、なんとか…」


竜悟「だはぁー!?!負けたぁ!!!」


虎鉄「相変わらずゲーム弱いな」


向こうはこちらを気にせずゲームをやっている。

それから、竜悟たちのゲームが終わるまで30分ほどたち結局勝敗は虎鉄さんが勝利し、俺に気づいた。


虎鉄「おう、神前騒いでしまってすまないな」


洸「それはいいですけど…先輩方はなにか用があって来たんですか?」


椿「はい…実は……」


ソフィア「ねー?もう入ってもいい?」


稲叢先輩が話そうとするのと同時に話に割り込んでくる。


椿「えっと…そちらの方は?」


洸「ああ…こいつは…」


楸「…やっぱり…貴女だったんだ…ソフィー」


今度は楠木が話に割り込んでくる。

なんなのこの子等?人の話を最後まで聞こうとしないタイプか…つか、ソフィー?


ソフィア「……まさか、貴女がいるなんてね…楸」


洸「…知り合い?」


楸「知り合いじゃありません!敵です!!」

ソフィア「知り合いじゃないわ!敵よ!!」


洸「お、おう…よくわかんねーけど…落ち着け?」


俺は二人をなだめて話を聞くことにする。

話を聞くと、二人は小学生の頃に一度だけクラスが一緒になった。

その時に少し話したが馬が会わず、それ以来顔を会わせるだけで喧嘩になるらしい。


楸「先輩に聞いた時、もしかしてって思ったんです…この残念ブロンドと一緒にいるんじゃないかって!!」


ソフィア「ちょっと!残念ブロンドってなによ!?」


楸「残念だから残念って言ってんですよ!!外国人の血を引いていながら英語が苦手とか残念以外の何者でもないでしょーが!!」


ソフィア「日本で産まれて日本で育ったんだから英語が苦手でも問題ないでしょ!!」


二人の言い争いを聞いているファン(榎梨と竜悟)の二人はなぜかソワソワしている。


洸「…お前ら…なにソワソワしてるんだ?」


榎梨「いや~…アイドルが昔の知り合いにあって喧嘩をしているなんてレアだと思って!」


竜悟「そうそう!こんなのが見れるなんてついてるな~!」


洸「いや、喧嘩してるんだから止めようとか考えるだろそこは」


柊「でも、話に入ったらこっちに矛先が向きそうだよ?」


洸「…それもそうだな…あ、そういえば先輩の話ってなんすか?」


榎梨「放っておくんだ…」


洸「触らぬ神になんとやらだ」


竜悟「触れぬ髪はカツラです」


洸「……」


竜悟「あれ?」


虎鉄「竜…」


榎梨「ないわ~」


竜悟「なんだよ!チキショー!!」


洸「あのバカは放っておいてどうぞ」


椿「あはは…それでは、話しますね?実は……」


先輩の話は学園に来ていなかった生徒会長を捕まえてほしいとのことだった。


洸「…生徒会長を捕まえてって……その生徒会長なにかしたんすか?」


椿「いえ…そういうわけではないんですけれど…」


なぜか歯切れの悪い言い方をする先輩をみて虎鉄さんが頭を掻きながら聞いてくる。


虎鉄「…竜、商店街にいた不良グループが居なくなったの知ってるよな?」


竜悟「あ?ああ、商店街のオッサンたちも不思議がってたからな。

商店街の会長が手伝いが居なくなって困ったつってぼやいてたし」


洸「不良なのに手伝いとかしてるのか?」


竜悟「ああ、この町の不良は昔ながらの不良が多いんだよ」


虎鉄「まぁ、たまに外から来た連中が暴れていることもあるけどな。

それも、この辺りのグループが被害を出さないようにしている。

だからこの辺は基本的にいい連中しかいないぞ?」


洸「へ~…でも、それと生徒会長となんの関係があるんですか?」


虎鉄「…実は……その不良グループを潰して回ってるのがその生徒会長なんだ」


洸「……生徒会長がって…その人そんな強いんですか?」


虎鉄「オレが2年の時にちょっとしたことでそいつと喧嘩になったんだが…一発も当たらなかった。

あれほど完膚なきまでに敗北したのは初めてだったと今でも覚えている」


洸「……そんな人を俺に捕まえてくれって…無理があるんでけど…」


虎鉄「そうか?オレはお前ならなんとか出来るんじゃないかと思っているんだが…」


洸「思っているんだが…とか言われても…そもそも顔も知らない人を見つけるとか…どうしようもないんですけど?」


椿「一応写真があるので確認しますか?」


洸「あるんだ…じゃなくて、なんで写真もってるんですか?!」


椿「いえ、こんなこともあろうかと」


洸「…いや、想定しませんよ…ていうか出来ませんよ?!」


椿「心頭滅却すればなんとやらです」


洸「使い時違いますよねそれ!?……もういいや…じゃあ写真みせてください」


椿「はい、こちらです」


先輩はいつの間にか写真を手に持っていた…どこから出したんだろう…?

そう思いながら俺は写真を確認する。


洸「……」


写真を確認したあと俺は先輩に聞き返した。


洸「…この人が本当に…生徒会長なんですか?」


椿「え?はい、そうですけど…なにか気になることでも?」


俺は額に手をあてて天を仰ぐ。

そして楠木を呼ぶ。


洸「楠木…こっちこい」


楸「はぁ?先輩、悪いんですけどこっちも忙しいんですが?この残念ブロンドをねじ伏せなきゃいけないんで!」


ソフィア「だから、残念ブロンド言うな!!ひんぬー!!」


楸「はぁ?!あんた歯を食いしばれ!!そのアホな頭蓋をカチわってやる!!」


洸「……ヒサ!!いいからこっちこい!!!」


楸「っっ!!!!」

ソフィア「ひっ!!!」


洸「…あっ……悪い…」


楸「い…いえ…ごめんなさい……こう…先輩…」


洸「……いや、悪いのは俺の方だから…」


…なにやってんだ俺は……今では少しマシになったけれど、ヒサは男が苦手だ…その理由も知っている。

それなのに俺はヒサのトラウマを刺激してしまった。


柊「洸ちゃん?」


俺の様子を心配そうに伺う柊に俺は大丈夫だと伝えるように笑顔を浮かべる。

だけどきっとひきつってて酷い顔になっているだろう。


洸「……ヒサ…こっちに来てくれるか?」


楸「は…はい……」


怯えながらも近づいて来てくれる。


洸「……ヒサ」


俺はヒサに手を伸ばす。

ヒサは少し身体を震わせたけどおとなしくしている。

俺はそんなヒサの頭を撫でる。


洸「……ヒサ…怒鳴ったりしてごめんな?」


楸「……いえ…こちらこそ…ごめんなさい…」


そんな俺たちの様子をニヤニヤしながら榎梨と竜悟が見ているのに気づき俺は慌てて手を退ける。


楸「あ……」


洸「…え?」


なんでそんな残念そうな顔するんだこいつは…。

なんか捨てられた子犬みたいな目をして…俺にどうしろというんだ。


榎梨「洸君撫でてあげないの~?」


竜悟「撫でてやれよ~?こうせんぱぁ~い」


洸「うっさい!!叩き出すぞお前ら!!」


榎梨「きゃー!洸君がおこった~!」


竜悟「にっげろ~!」


洸「すぅ~…ふぅ~……っ!」


俺は大きく息を吸い込み吐き出す。

そしてアホ二人を速攻で捕まえてお説教タイムを挟み、その後正座させて放置する。


洸「…気を取り直して…ヒサこの写真見てくれ」


楸「……先輩…この人」


洸「…だよな」


俺とヒサが話していると稲叢先輩が聞いてくる。


椿「あの…どうかしたんですか?」


洸「えっと…この写真の人なんですけど…この人……中学の時の先輩です」


虎鉄「そうなのか?!」


楸「っ!!」


洸「え、ああ!はい…」


ビックリした…ふだん落ち着いた感じに喋ってるからいきなり大声出されると心臓に悪い。

俺は小さく深呼吸をして話を戻す。


洸「…正直俺はこの人が同じ学園の生徒会長をしていたことが一番驚いてますよ…あの人結構めんどくさがりだからそういうのやりたがらなかったし」


椿「そうなんですか?」


俺は頷き話始める。


榎梨「え?回想入るの?」


洸「………」


楸「台無しですね」

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