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心と心  作者: コヨーテ
2/21

昔馴染みに再会です。

私は人間が嫌いです。

いえ、嫌いと言うより怖いと言った方が正しいでしょうか……。

お父様とお母様が亡くなってから様々な人達と

出会いました。

そのだれもかれもが己の欲望や野心に道溢れていました。

私は知らない内に相手がどんなことを考えているか、

どんな気持ちなのかをわかるようになりました。

それ故に私は人と言うものがとても恐ろしくおぞましい存在なのだと、思い知らされました。

回りの人たちは自分の事ばかり考えて他の人を(ないがし)ろにするのを厭わなかったからです。

その自分勝手な感情にどんどん私と言う一個人の人間が崩壊してる事なんか誰も考えもしないでしょう。

だって……それが人間の本質と言うものなのだから。

私はずっと心の中で叫んでいたはずなのに、いつしか

叫ぶことを止めてしまいました……。

あの人と出会ったのは……そのすぐ後でした。


命『行くとこがないなら、家に来な』


そう言って笑って真っ直ぐな裏表のない言葉を私に

ささやいてくれたのです。


柊「……ん…昔の夢?……なんで…今になって……?」


私は時計を見てまだ起きるには早い時間だと気づく。


柊「……起きるには早すぎるかも知れませんね…でも、

あの人…洸ちゃんは……起こしたほうがいいですよね……」


私は命さんにお願いされていたことを思い出す。


命『ああ、そうだ柊お願いがあるんだけど』


柊『…はい…なんで……すか……』


命『彼…洸のこと……よろしく頼むよ』


柊『……??』


命『彼はね…誰かに助けを求めるのが下手くそだから……正直な話、誰かが彼の側でちゃんと助けてやらなきゃならい』


柊『……』


命『まぁ、何が言いたいのかと言うとね……

彼は君以上に不器用だから、君が手綱を取ってやってくれってことさ』


そう言って仕事に行ってしまった。

私以上に不器用ってどうゆうことだろうと思ったけれど…今は違う問題が発生している状態なのです。

しかも、二つも……。

一つは、洸ちゃんをどうやって起こすかと言うこと…

そして、もう一つ……これが一番の問題です。

これからご飯をどうしよう!!?

今までは、命さんに頼りきっていましたし……それに

命さんが家に居なかったのって長くて二日でしたし…

その時は店屋物でなんとかなりましたけど……

今回の仕事はいつ帰ってくるか分からないらしいですし……。


柊「…?この匂いって……」


私が悩んでいると仄かに香る美味しそうな匂いがすることに気づきました。

私は急いで着替えてから恐る恐る階段を下ります。

そこにいたのは料理をしていた洸ちゃんでした。


洸「ん?ああ、起きたのか?おはよう」


柊「……???」


~視点変更 洸~


俺は起きてきた柊に挨拶をしたのだが…なぜか困惑している。


洸「ん?どうしたんだ?」


柊「……なん…で……」


洸「……んん??」


柊「……そ…れ……」


洸「……それって…」


柊が指を指した方に顔を向ける。フライパン?フライパンがどうか……。


洸「いや、ないな……」


柊「?」


洸「いや、こっちの話」


フライパンじゃないとなると…………。


洸「料理のことか?」


柊は小さく頷く。


洸「もしかして、命さんから聞いてないよ?」


柊「???」


反応を見てわかるように聞いてないな……。

あの人は本当に適当な性格してるからな~……

そう思い柊に説明をする。

俺が命さんから柊が料理をできないから

俺がするように頼まれたことを話す。


洸「てな訳で、朝御飯作ったから食べてくれ」


柊「…………」


柊は開いた口が塞がらないと言った様子で呆然と

していた。


洸「……別に毒なんか入ってねーぞ?」


柊「……うた……がって…ま……せん…ただ……おど……ろい……た……だけ…です」


洸「ははは、そっかそっか!ああ、弁当も作ってあっからゆっくり食えよ?」


柊「はい……(やっぱり……彼からはなにも感じません…彼は今何を考えているんでしょうか……?

いつもは…顔を見ただけで相手の気持ちがわかるの

ですが……)」


洸(今日の晩飯なに作ったらいいかな?柊の好き嫌い

命さんに聞いておくんだった)


俺はそんな事を思いながら朝食を食べ終わり、

自分と柊の食器を洗ってから柊と家を出る。

柊は俺の方をちょくちょく見てくるが、何を言うわけでもなく……と言うより言葉をかけるとわたわたして

会話が成り立たないでいる。

正直かなり困っている。


洸「…………あっ!そうだ‼柊、携帯持ってるか?」


柊「…は……はい……もって………ます……」


洸「連絡先…教えてもらってもいいか?」


柊「……??」


洸「これから一緒に生活していくんだしさ…連絡先知っておいてもいいかな~って……」


柊「はい……」


いまいち納得していない顔をしていたが連絡先を教えてもらった。

そのやり取りを終えたすぐあとに学園につき、柊と

一時的に離れる。


洸「え~っと~……職員室職員室は~っと……」


俺は職員室を探し、歩く最初はすぐに見つかると思っていたのだが……思っていたより学園が広くなかなか見つけられない。


洸「まいったな~……職員室の場所聞いてから離れるんだった~……つか、金持ちが多い学園なのは聞いてたけど……ここまでくるとすっげーな……」


しばらく歩き回ってようやく、職員室を発見した。

見つける時間が遅かったためもう既に一時間目が始まっている。


洸「……怒られるよな~…まぁ、過ぎたことをうだうだ言っても仕方ないし……入るか…失礼しまーす……

あり?誰もいない……会議……なわけないわな…授業中

だし……偉い感じの先生とか生徒指導の先生まで

いないとなると……どうしよう…」


俺が悩んでいると、誰かの話し声が聞こえてきた。

どうやら先生と女子の生徒みたいだ。


先生「まったく、お前は本当に問題ばかり起こしおって‼」


女子生徒「………………」


先生「聞いているのか?!おい‼」


女子生徒「聞き飽きたし、聞きたくねーですよー

そもそも、先生方が勝手に僕を問題児扱いしてるだけじゃねーですか……相手の男子が先に手を出してきたのに」


先生「相手は大企業の御曹子だったそうじゃないか」


女子生徒「それ、全然理由になってねーですよ?」


先生「御曹子に手を挙げた時点でお前の方が悪いってことだ‼」


女子生徒「はぁ……結局金ですか…くだんねーっすね…

大人って……本当くだんねー……」


う~ん……何やら険悪な感じなご様子だな。

見つかったらこっちにも飛び火しそうだ……

だからと言って転入そうそう何処にも居ないってのも

問題だよな~……どうしよう。

そんな事を考えてるうちにお二方と接触しました。


先生「……」


女子生徒「……」


洸「……おはよう…ございま~す……??」


先生「なんだお前は……授業中だぞ」


洸「いや、転入してきたので職員室でクラスを聞こうと思ってたんですが……その……学園で少々迷子になってたので…遅れたのです」


先生「……名前を言え…」


洸「神前 洸です」


女子生徒「!!」


先生「神前……合同クラスか…ちっ…面倒系の生徒か」


合同クラス?何だろう?しかも舌打ち?そう俺が考えていると

女子生徒が俺の腕をつかんで走り出した。


女子生徒「行くよ‼」


洸「は?ちょっ!!?なに!?」


先生「なっ!!?おいコラ!!戻ってこい宮本!!」


女子生徒「お断りっすよー‼」


洸「なんで俺まで連れてくんだよー⁉」


そう言って俺を引っ張りながら先生から猛然と立ち去る。

それから連れられるがままに立ち入り禁止の札が

かかった扉を開ける女子生徒がようやく俺の腕を放してくれた。


洸「ふぅ……なんなんだよ…突然」


女子生徒「あはは、すいませんねーどうも不器用な

性格をしてるもんで、気にしねーでくだせー」


洸「これ…絶対後で怒られるよな~……」


女子生徒「まったく、全然変わってねーですねー洸君は」


洸「……え?」


女子生徒「もしかして、気づいてねー感じですか?

宮本です 宮本 榎梨(みやもと えり」


洸「……宮本?…宮本って……あの宮本?」


榎梨「どの宮本かわかんねーですけど多分それです」


洸「マジかよ……」


宮本 榎梨……小さい頃よくじいさんの道場で一緒に

剣道をしていた女の子だ。

親の都合で引っ越して以来連絡も取っていなかったが

まさか、この学園で再会するとは思わなかった。


洸「……正直、驚きが隠せねーなこりゃ…まさか宮本がいるとは…」


榎梨「洸君こそ、こっちに来たんだね~僕は正直かなり嬉しい気持ちでいっぱいですよ」


洸「…相変わらず特徴のある喋り方をするよな~お前は」


榎梨「そこはほら、ご愛嬌ってやつじゃねーですか?」


洸「使い方あってんのか?それ」


榎梨「さぁ?わかんねーですよ」


洸「……話は変わるが、さっきなんで先生と一緒にいたんだ?」


榎梨「う~ん、いきなりそこか~……」


洸「いきなりじゃないけどな」


榎梨「実はね~僕は剣道部の部員なのですよ」


洸「そうなのか、それで?」


榎梨「部員の後輩君が~何を思ったか彼女になれと

言ってきやがったんで~断ったんだけど…逆ギレしてきたから返り討ちにしたら…呼び出しくらったんですよ」


洸「……」


榎梨「どうしたの?鳩がレールガンでもくらったような顔して」


洸「いや、そんなんくらったら鳩が消し飛ぶわ……

じゃなくてコクられて振ったら呼び出しってこの学園どうなってんの?」


榎梨「この学園自体がもともと大企業の子供やら政治家の子供やらを通わせてたらしいんだけど最近になって庶民である僕達を受け入れようってなったらしいよ~、んで先生の大半がそんな生徒に尻尾振って

いいなりになってやがんですよね~」


洸「それで?」


榎梨「…それから、剣道で勝負して勝ったら言うことを聞けとか言い出してきやがってですねー……

コテンパンにしたら……泣いちゃって」


洸「……そりゃ、そーなるわな」


宮本は小学生の時から剣道がやたら強かった。

その実力は小学生でありながら高校生の人を相手にして10秒で決着をつけるほどだ。

出鱈目過ぎて新聞にも掲載されていたこともあった。


榎梨「まぁ、僕に勝てるのは神道って言われてた洸君だけだしね~」


洸「っ!!……恥ずいから…やめろ…それに昔の話だろ?」


榎梨「照れねーでくだせーよ~」


洸「そんな事より、この後どうすんだよ?」


榎梨「合い挽きでもしましょーか?」


洸「やなこった」


榎梨「つれねーですねー…」


洸「はぁ、転入早々サボったなんて命さんになんて言やいいんだ……」


榎梨「ん?みこちゃん?おばさんじゃなくて?」


洸「あー……まぁ、隠すことでもないか…」


俺は宮本に引っ越して来た理由を話す。


榎梨「そーでござんしたか……洸君…」


洸「ん?なんだよ」


榎梨「トイレに行ってもいいっすか?」


洸「…………いけば?」


榎梨「……すいませんまちげーました」


洸「そうか…で?何が言いたいんだよ?」


榎梨「あ、えと…じゃあ、洸君…君は今…お腹すいてる?」


洸「なんの話だよ?」


榎梨「あはは……」


言いたいことはわかっている…こいつなりに俺を

元気付けようとしてるのだろう。

でも、相手を慰めるのに向いていない宮本はいつも

オロオロしてしまう。

普段は頭の中お花畑なのにこう言う状況になると

途端に不器用になる宮本を見て思わず笑みがこぼれる。


洸「まったく、変わらねーなお前は……」


榎梨「ムッ、変わってるでしょーが!!美人さんになってるでしょーが!!ナイスバデーになってるでしょーが!!」


洸「可愛いのは認めるが、少なくともナイスバデーではないな」


榎梨「胸か!?胸見て言ったんか!!?ひっでーすねー!!」


洸「み、見てねーわ‼」


榎梨「あー‼言葉につまった!!やっぱり見てたんじゃん‼」


洸「お前がいきなりナイスバデーとか言うからだろうが‼」


榎梨「開き直んないでよ‼」


洸「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!!」


榎梨「ム~」


洸「ぬ~」


榎梨「……ぷっ」


洸「……ははっ…」


そんな言い合いを繰り広げてそのうちどちらからでもなく笑いだす。


榎梨「洸君…これからまた、よろしくおねげーします」


洸「ああ、よろしくな」


俺と宮本はお互いに笑って握手を交わした。

そのあと宮本が同じクラスと聞いて二人で教室に戻り

二人で怒られるのだった。

人が苦手で口下手な従妹(?)少女。


上島 柊


一人称 私


12月3日生まれ 16才


RH-のA型


158㎝ 48㎏


スリーサイズ 83、55、87


好きな食べ物 ハンバーグ 甘いもの全般


嫌いな食べ物 辛い物全般 炭酸飲料


趣味、特技 読書、押し花、絵を描くこと


詳細

洸の叔母である命に養女として引き取られた少女。

人の感情の変化に敏感で初めて会う人や邪な考えを

もって近づいてくる人が多かった為対人恐怖症に

なってしまっている。

最近ではマシになった方だと言うことらしい(命談)

人付き合いが極端に苦手で、口下手である為に

思ったことを口に出来ず、直ぐに口ごもってしまう。

運動が苦手で、特に走るのが苦手。

なぜか洸の感情だけは読み取れないらしい。

恋愛に憧れる普通の少女なのだが、感情を読み取ってしまうため今まで恋愛をしたことがない。

引き取られる前は日本人の母とフランス人の父と

三人暮らしだった。

日本人の母の血が濃く出ているため髪は黒だが耳の編み込み部分が銀髪なのと瞳の色が緑なのは父親譲り。

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