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心と心  作者: コヨーテ
19/21

一難去ってまた一難

風邪が治ってから三日が過ぎ、補習が終わった二人と会っていた。


洸「それにしても、お前ら補習長かったな?」


榎梨「まぁ、説教をされてたっていうのと夏休みの宿題をやらされてたからね~」


竜悟「宮もっちゃんがなにかと話を脱線させまくってたんだよな~!」


榎梨「いや、話を脱線させまくってたのは君で僕は関係ないからね?僕はむしろ巻き添え食らってた方だよ」


竜悟「ええ~…」


洸「で?結局宿題は終わったのか?」


榎梨「いや~それが…終わってなかったりして…」


洸「…マジかよ…暁先生が断念するとは思えないんだけど…何やらかしたんだ?」


榎梨「なにもしてないよ…霧ちゃんが用事があるって言うから切り上げられただけだよ」


洸「へー…なんだろうな?」


榎梨「実家に顔を出せって言われてるらしいからたぶんそれじゃないかな?」


洸「そうなのか?」


竜悟「らしいぜ~…ところで柊ちゃん…なに?そのTシャツ?」


柊「?へんかな?」


洸「まぁ、普通なら気になるよな…」


柊が着ているTシャツにはなぜか、『夏真っ盛り』と書かれていた。


榎梨「ラギーっていつもかわいい系の服着てなかったっけ?」


洸「柊はどちらかというと、文字…主に漢字が書いてあるTシャツを着てることの方が多いな」


確か、他にも『こたつ最高』とか『食欲の秋』とか『桜ひらひら』など…よく分からないものまであった。


榎梨「なんでそんなTシャツがあるの?」


洸「命さんが面白がって買ってきてるらしいんだけど…柊が気に入っちゃったみたいでな…ほっとくと文字T選ぶんだよな」


榎梨「あれ?じゃあさ、普段外にでる服は洸君が選んでるの?」


洸「まぁ…なぁ…」


榎梨「ほ~へ~ふ~ん」


洸「…なんだよ」


榎梨「いや~…べっつにぃ~」


…くそっ…ニヤニヤしやがって…なんか腹立つ。


竜悟「それよりさ~面白い話があるんだけど」


洸「そういう前フリは絶対面白くない話だなやめろ」


榎梨「そうだよ!竜悟君がそう言うフリをするときは9割がめちゃくちゃつまらない話だし」


竜悟「そこまで言うか!?いや、マジで面白い話なんだって!!」


洸「わかったわかった…聞いてやるよ。でも、もし面白い話じゃなかったらぶっ飛ばすからな?」


竜悟「なんで?!!…なんか…話すの嫌になってきた…」


洸「冗談なんだからそんなマジになんなよ」


竜悟「冗談に聞こえねぇーんだよ!!」


洸「ハイハイ、めんごめんご」


竜悟「……もういいや…なんでも、二学期に転校生が来るらしい」


榎梨「へ~、今年は多いね?」


洸「今年は多い…って…うちの学園そんなに転校生が来るのか?」


竜悟「ああ、うちの学園って年々新入生が減ってきてるらしいんだよな。

だから、転校生とかはかなり嬉しいんだと」


洸「生徒数見てるとそうは見えないな」


榎梨「まぁ、そうだろうね~」


竜悟「先輩が言ってたんだけど…"うちの学園って入試より転校とかの試験の方が簡単に入れるんだ"ってことらしい」


洸「試験が入試より簡単になってるってことか?」


竜悟「ああ、しかも貴族生徒だった場合はさらに簡単な問題ばっかりらしいぜ」


洸「ほ~…で?転校生が来るって言うのはわかったけど、それと面白い話とどう繋がるんだ?」


竜悟「いや、あまりに漫画みたいな感じだったから面白いってことで、実際は面白い訳でもないと今さっき気づいた」


洸「まぁ、そんな事だろうと思ったけど…で?どんな人が来るんだ?」


竜悟「超人気女子高生アイドルだ!!」


洸「?アイドルってあのアイドルか?」


竜悟「どういうアイドルか分かんないけど…たぶんそのアイドルだ」


榎梨「…超人気アイドルか…それって…もしかして『結城 ソフィアちゃん』?」


竜悟「お!流石だね~宮もっちゃん!大当たりだ!!」


榎梨「うそ!?本当に?!凄いじゃんそれ!!」


竜悟「俺っちも最初知ったときは驚いたもんだぜ~。洸も驚いただろ?」


洸「…騒いでるとこ申し訳ないんだけど…俺、その人知らないんだけど…」


竜悟・榎梨「「え?」」


竜悟「洸…いま…何て言ったんだ?よく聞こえなかったからもう一回言ってくれないか?」


洸「いや、だから俺はその結城?ってアイドルは知らないんだけど?つーか、そもそもアイドル自体興味ないんだけど」


榎梨「うそ…でしょ…?まさか、そんな事が…」


そう言って、項垂れる竜悟と榎梨…そんなに驚くことなんだろうか?


洸「柊は知ってるのか?そのアイドルのこと」


柊「知ってるっていうか…テレビによく出てるよ?…って、そう言えば洸ちゃんあまりテレビ観なかったね」


洸「まぁ…ニュースとか観てても同じようなことばっかり報道してるからな」


榎梨「ドラマは観ないの?」


洸「ドラマは…なんて言うか、最近面白いのやってないからな…」


竜悟「CMとかにも出てるぞ?」


洸「CM中は基本的に家事してるからな」


竜悟「全滅…だと…?!」


洸「まぁ…すごい人がくるっつーのはわかったよ」


竜悟「凄いなんてもんじゃねーんだよ!!!

最初はネット内の歌ってみたとか踊ってみたとかで出てたんだけど、その完成度の高さとか歌の上手さであっという間に人気が広がって、その一週間後にはスカウトされてアイドルデビューだぜ!!どうだ?!スゲーだろ!!?」


洸「…お…おぉ…そりゃ、すげーな…」


竜悟が興奮気味に語っているが俺はその姿にかなり引いている。

つーかなんでお前が威張ってんだ…。


榎梨「で?どこのクラスに入るの?」


竜悟「年齢的に1年生だろうけど…どこのクラスかはまだ調査中だ」


洸「……いつも思うけど、いったいどうやって調べてんだ?」


竜悟「それはおしえられねぇ~なぁ~」


洸「じゃあ、いいや」


竜悟「え゛」


洸「そう言えば、榎梨の弟が帰って来るとか言ってたよな?結構前の話だけど」


榎梨「うん、大会一回戦敗けで夏休みが終わる頃にこっちの学園に転校手続きに帰って来るって言ってた」


洸「前から気になってたけど、どんなやつなんだ?」


榎梨「う~ん…一言で言うなら…"超シスコン"かな~?」


洸「そうなのか?俺はてっきり…」


竜悟「ちょいちょいちょい!!!俺っちほったらかしで話進めんなよ!?」


洸「なんだ?お前教えるつもりないんだろ?」


竜悟「すんません、俺っちが調べたんじゃないから知らないだけです。マジすんませんでした」


洸「じゃあ、誰が調べてんだ?」


竜悟「新聞部の部長だよ。俺っちもどうやって調べてるのか聞いたけど教えてくんなくてさ~」


洸「…お前…新聞部だったのか?」


竜悟「あれ~?食いつくのそこなんだ~?」


洸「いや、なんか意外だったから…アホなのに(ボソッ)」


竜悟「聞こえてるぞ…」


洸「…べつに間違ったこと言ってないだろ?」


竜悟「開き直りやがったなこんにゃろう…まぁ、べつにいいけど…俺っちも宮もっちゃんの弟とか気になるし」


洸「で、どこまで話してたっけ?」


柊「洸ちゃんが俺はてっきり…っていったあとで雨宮君が割り込んだよ?」


洸「そうだったな」


榎梨「それで?てっきりなんなの?」


洸「ああ、榎梨の性格を考えると弟とか引っ張り回して弟は姉を怖がるんじゃないかなぁ~ってな?」


榎梨「流石にそれはないよ…僕をなんだと思ってるの?」


洸「暴走特急」

竜悟「怪獣?」

柊「元気な子?」


榎梨「…洸君に聞いたのになんで竜悟君とラギーまで答えてるの?」


竜悟「なんとなく」


柊「つられちゃってつい」


榎梨「ていうか、竜悟君…怪獣ってなに!?」


竜悟「え?俺っちそんなこと言った?!」


榎梨「誤魔化さないで!!」


竜悟「あばばばばばばばばばばばキコエナーイ」


その後もしばらくの間榎梨と竜悟の争い会いが続いた。

そして、だいたい二時間くらいが立った頃お互い力尽きてげんなりしていた。


榎梨「ぜぇー…ぜぇー…も、もう…いいや…なんか…無駄に…つか…れた…」


竜悟「はぁー…はぁー…どう…かん…だぜ…洸…ちょっと…み、水…もら…ても…いい、か…?」


洸「ん?おわったのか?」


柊「そうみたいだね」


俺と柊は榎梨と竜悟が騒いでいる間、二人でゲームをやっていた。

誰もが知ってる髭の配管工のおじさんがでるゲームだ。


洸「で、水だったな?」


竜悟「うい…」


俺は冷蔵庫から二人分の水を出し二人に渡す。


洸「時間的にそろそろ買い物行くけど、お前らはどうする?」


榎梨「遠慮しとく~…」


竜悟「以下同文~…」


洸「柊は?」


柊「う~ん…外暑そうだしな…」


洸「柊…そう言って、夏休み中ずっと外に出ない気か?学園始まったらしんどくなるぞ?」


柊「う゛…じゃあ、行く…」


竜悟「…前から思ってたけど…洸ってA型?」


洸「いや、よく間違えられるけどB型」


竜悟「みえねーなー」


洸「ははは、それもよく言われるよ!じゃ、行ってくるわ~」


榎梨「お菓子よろしく~」


洸「ハイハイ」


柊「行ってくるね」


榎梨・竜悟「いってらー」


俺と柊は二人で商店街に向かう。


洸「……」


柊「……」


さっきまで、話していたのに二人だけになったとたんに、お互いに口数が少なくなっていた。

なんでだかわからないけれど、なにか気まずい感じがする。

そんな俺の視線に気づいたのか柊が聞いてくる。


柊「洸ちゃん?どうかした?」


洸「え?ああ、いや…なんて言うか…二人だけで外を歩くのって久しぶりだなと思って」


柊「…そういえば…そう…だね」


洸「……」


柊「……」


少し話しては黙りまた話しては黙るそんな事を何回も繰り返す。


洸(どうしよう…なんでか分かんないけどなんかうまいこと言葉が出ない)


どうしたものかと考えているうちに商店街に着く。


洸「…さてと、今日はなに作ろうかな?」


柊「考えてなかったんだ?」


洸「ああ、特になにも考えてなかったからな~どうしようか?」


柊「私に聞かれても…どうしよう?」


洸「……しゃーない、店先のもんみて決めるか」


柊「そうだね」


そう言って二人で歩き出す。

口数が少ないのは変わらないけれど、商店街をみて回っているのであまり気にはならない。

それから、ある程度買い物を済ませる。


洸「だいたい買うもんは買ったよな?」


柊「うん、榎梨ちゃんたちのお菓子も買えたしね」


そんな話をしていると、後ろが騒がしくなっていることに気づく。


洸「なんだ?」


後ろを振り返ると、帽子を深く被っている人がこっちに向かって走ってきているのがわかる。


帽子の人「そこどいて!!」


洸「どいてって…ちょっ?!足はやっ!?」


避けようと思ってたけど帽子の人の足があまりにも速いため避けきれない!!


ドン!!


帽子の人「きゃっ!!」

洸「うおっ!!」


とまぁ、漫画の展開みたいにぶつかってしまう。


帽子の人「いったぁ~…ちょっと!どいてって言ったでしょ!なんでどかないのよ!!」


洸「いつつ…いや、避けようと思ったけどそっちの足が思った以上に速くて避けきれなかったんだ…」


帽子の人「なに?人のせいにするつもり?」


なんか面倒くさい人だな…そう思いながら立ち上がる。

俺は帽子の人から目を反らし持っていた袋の中身を確認する。

卵は…良かった…割れてない。


帽子の人「ちょっと!なに目を反らしてるの?!人にぶつかっておいて謝罪のひとつもないの?!」


洸「いや、ぶつかって来たのはそっちだし」


帽子の人「貴方ね、私が誰だかわかって言ってるの?」


洸「いきなり、噛みついて来るような人に知り合いはいない」


帽子の人「いいわ、私が誰だか教えてあげようじゃない!」


洸「いや、興味ないし」


帽子の人「そこは興味持ちなさいよ!話が終わっちゃうじゃない!」


洸「終わってもいいと思う。つーか、終わってくれ頼むから」


帽子の人「眼見開いてよーく見なさいそして驚きなさい!」


俺の話などお構いなしに帽子をいきよいよくとる。

俺は結局取るのかよ…とため息を吐きながら帽子の人をみる。


帽子の人「……どうよ?」


洸「どうよと言われても……金髪?」


帽子をとった際に一番最初に眼がいったのは腰くらいまで届く長さの金髪だった。


帽子の人「金髪ってなによ?もっとあるでしょ!?"え!?なんで有名人がこんなところに?!"とか!」


洸「有名人なのか?」


柊「……あ」


洸「ん?どうした?」


柊「洸ちゃん…この人…さっき話してた…

結城ソフィアちゃん…」


洸「……竜悟が話してた?」


柊が頷く。

その様子を見てニヤニヤしている帽子の人…もとい結城ソフィア。


ソフィア「そう…なにを隠そうこの私が超人気アイドルの結城ソフィアよ!どう?わかったかしら?私がどれだけ凄いのかが!」


洸「そんな事言われても…俺はあんまり知らないんだよな…アイドルとか興味ないし」


ソフィア「なん…ですって…世の中に私を知らない人間がいるだなんて…ありえない!」


洸「いや、普通いるだろ…知らない奴の一人や二人くらい」


ソフィア「そんな事あるわけないじゃない!!」


洸「そんなことより、その有名人がこんなところでなにやってんだ?」


ソフィア「そんなことより…ですって…?」


あ…これ、話が進まないパターンだ…そう思ったのは知り合いにこの流れを作る二人アホがいるからだろう。


ソフィア「そんなことってなによ!そんなことって!!私は貴方みたいな暇人じゃないのよ!!今だって…って、あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


洸「っっ!?」


声でか!?耳がキーンと耳鳴りが起こるほどのとてつもなくでかい声をあげる。


洸「…いきなりでかい声出すなよ……耳いって~」


ソフィア「そんなのはどうでもいいわ!貴方どこか隠れらるところとか知ってる?!」


そう言って俺の胸ぐらを掴む。


洸「は、はぁ?なんで?」


ソフィア「追われてるのよ!」


洸「追われてる?誰に?」


ソフィア「アイドルが追われてるって言ったら"おっかけ"か"マスコミ"って相場が決まってるでしょ?!」


洸「決まってるのか?」


柊「私に聞かれても…」


洸「つーか追われてるようには見えないんだけど?」


ソフィア「それは、私の足で振り切ってるからよ」


洸「じゃあ、隠れる必要なくね?」


ソフィア「そういうわけにはいかないのよ…

マスコミ連中が私を血眼になって探してるみたいだし…そんなにアイドルのゴシップ記事を書きたいのかしらね?」


洸「ほ~…アイドルも大変だな」


ソフィア「で?隠れる場所に心当たりはないの?」


洸「隠れるっつったってな…」


柊「…家に…くる?」


ソフィア「え?いいの?」


洸(…あの柊が自分から誘うなんて……これも成長してるってことかな?)


なんか、娘の成長を喜ぶ父親の気持ちがわかった気がする。

そんなことを考えていると柊が聞いてくる。


柊「いいよね?洸ちゃん…洸ちゃん?」


洸「え?ああ!うん!俺は構わないぞ」


俺と柊の会話を聞きながら結城ソフィアが首を傾けながら聞いてくる。


ソフィア「…貴方たち兄妹なの?あんまり似ていないようだけど…」


洸「ああ、兄妹じゃないからな」


ソフィア「え?でも、会話を聞く限り同じ家に住んでるのよね?」


洸「そりゃ同じ家に住んでるし」


ソフィア「それってもしかして…同棲?」


洸「違う」


柊「私と洸ちゃんは従兄?なの」


ソフィア「なんで、ちょっと疑問系なの?」


柊「えと…それは…」


洸「今はいいだろ…それより行くならとっとと行くぞ?マスコミ?とかに見つかりたくないんだろ?」


ソフィア「…まぁ…いいか」


洸「あと、目立ちたくないなら帽子もちゃんと被れよ?その髪は嫌でも目立つだろうしな…っと、その前に少し雑貨屋みていいか?」


ソフィア「…私早く隠れたいんだけど……」


洸「時間はとらせねーよ」


そう言って俺は近くの雑貨屋ぱぱっと買い物を済ませて戻る。


洸「ほらよ」


俺は買ったものを結城ソフィアに渡す。


ソフィア「なにこれ?メガネ?」


洸「…アイドルっつってんのに帽子しか被ってないからな…そんなのでも、ないよりはマシだろ?」


ソフィア「………」


洸「あ、レンズはただのガラスだから気にしなくてもいいぞ?」


ソフィア「え?ああ、うん…ありがと…」


洸「じゃ、さっさと行くか」


そう言って俺は歩き出す。


ソフィア「………へんなの(ボソッ)」


洸「なんか言ったか?」


ソフィア「べつに!っと、そうだ!貴方たちの名前まだちゃんと聞いてなかったから教えてもらえないかしら?」


洸「いまさらかよ…」


柊「いいんじゃない?それじゃあ私から

私は上島 柊、よろしくね」


あの柊が自分から自己紹介まで?!ヤバい…なんか嬉しくて泣きそうになってきた…。

…俺、子供とか出来たら絶対親バカになるな…。


柊「洸ちゃん?」


洸「ん?ああ、俺は神前 洸。で、俺からもいいか?」


ソフィア「なに?」


洸「呼び方はどうしたらいいかってことなんだけど」


ソフィア「私の呼び方?べつになんでもいいわ。

あ、そうだ、いっそのことソフィア様って呼んで貰おうかしらね~」


そう言って不適な笑みを浮かべている。


洸「……じゃ、それでいいや。行くぞソフィア様」


ソフィア「え"本当に呼ぶの?冗談のつもりだったんだけど…」


洸「そう言うなよソフィア様。俺だって嫌々言ってるんだぞ?ソフィア様。

だけど、そっちが呼べって言うから仕方なく言っているんだぞ?ソフィア様」


ソフィア「ちょっ?!本当にやめて!!ゴメン!私が悪かったから!」


洸「そう遠慮すんなってソフィア様」


ソフィア「やーめーなーさーいー!!」


洸「よし、なかなかに楽しんだしなんて呼べばいい?今度は真面目に答えろよ?」


ソフィア「……ソフィ…もしくは、フィーとでも呼んでくれたらいいわ」


洸「その呼び方でバレたりしないのか?」


ソフィア「バレないと思うわよ?その呼び方してるのって家族だけで、公の場ではそう呼ばれてるって話もしたことないし。

それに、アイドルがそんな風に呼ばれてるなんて誰も思わないはずだし」


洸「なるほどな、だったらいいか」


柊「それじゃあ、よろしくね!フィーちゃん」


ソフィア「ええ、よろしくねヒーちゃん」


歩きながら自己紹介を済ませて商店街の入口付近に差し掛かる。

するとそこにはなにやらカメラを所持している人が沢山いた。

俺たちはすぐ近くの路地に隠れて様子をうかがう。


ソフィア「(まさか、入口に張り込んでるとはね…)」


洸「(でも、ここを通らないと商店街を出られないしな…他の道だと俺は絶対迷うし…)」


柊「(どうするの?)」


洸「(う~ん…そうだ!)」


俺は携帯を取りだし電話をかける。


ソフィア「(ちょっと!なにしてるのよ?)」


数回コールがなり電話の相手がでる。


洸「(こちら、コードα…コードΣ応答せよ)」


楸『悪戯なら他所でやってください』


ブツッ!ツー…ツー…。


俺はもう一回電話をかける。

その相手は今度はすぐに電話にでる。


楸『…なんですか?用があるなら手短にお願いしたいんですけど?』


洸「(悪い、正直こっちは切羽詰まってたからつい)」


楸『…どうでもいいですけど…なんでさっきから小声で話してるんですか?』


洸「(まぁ、それを説明すると少々長くなるかな)」


楸『…仕方ないので聞いてあげます』


洸「(おっけ)」


俺は今おかれている状況をかいつまんで説明する。


洸「(…っつーわけだ。それで楠木、お前に偽の情報を商店街前に張り込んでる奴らに送ってほしいんだけど…出来るか?)」


楸『それくらいならべつに余裕ですけど…それより先輩、その人…本当に結城ソフィアって言ったんですよね?』


洸「(そうだけど…なんだ?サインならあとで家に来て自分で頼めよ?)」


楸『…いえ、なんでもありません。じゃあ、偽の情報流すんであとは勝手にやってください』


洸「(ああ、ありがとう。ヒサ)」


楸『っっ!!!ちょっ?!それ!!昔の呼び方!!やめてくださいよ!!』


洸「(にひひっ!悪い悪い、じゃ、頼んだぜ)」


楸『っ~~!!……今度…先輩の手作りケーキ…10人前で…勘弁してあげます…』


洸「(はいはい)」


俺は苦笑しながら電話を切る。


洸「(…2分くらい立ったら商店街前に張り込んでる奴らが居なくなるはずだから、それまでちょっとだけ待機だな)」


ソフィア「(…貴方……何者なの?絶対一般人じゃないわよね?)」


洸「(それは、またあとでな)」


その後、俺たちはマスコミ連中が居なくなったのを見計らい商店街をあとにするのだった。

おまけ


竜悟「鳥になりたい…」


榎梨「……」


竜悟「なんか言ってくれない?」


榎梨「面倒くさいからやだ…」


竜悟「宮もっちゃん…なにかおもしろい話してくれない?」


榎梨「それ…話のふりで一番最悪なやつだからね?」


竜悟「あ~…暇だ…洸たち早く帰ってこないかな~」


榎梨「とりあえず、テレビ観てるから静かにしてて」


竜悟「はい…すんません」

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