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心と心  作者: コヨーテ
18/21

命さんからの手紙

夏休みが始まって一週間が経過して、現在8月…蝉の鳴く声が頭に響いてイライラしてしまう季節だが…俺は体調を崩していた。


洸「う゛ぅ~…ゲホッ!!エホッ!!」


柊「洸ちゃん…本当に大丈夫?」


洸「……らいしょう……ぶっふしゅ!!!」


柊「ろれつまわってないよ…?それにしても…洸ちゃんの風邪治らないね…」


心配そうな表情を浮かべながら俺の額に冷却シートを貼ってくれる。


洸「ちべたい…けど…気持ちいい…」


柊「洸ちゃん…食欲ある?」


洸「今はないかな…寝てれば治るだろうから…寝かせてくれ…」


柊「…わかった…なにかあったら呼んでね?」


洸「ああ…」


俺は柊が部屋から出ていくのを確認してから体を起こす。


洸「…………少しくらいなら…平気だと思ったんだけどな…」


昔…といっても、中学の時から俺は"本気の喧嘩"をあまりしなくなってからか…なぜか、本気を出すと体調が悪くなる。

自分でも理由はわからないので、一度、病院で検査を受けたのだが…特に以上もないと言われている。


洸「………本当に面倒な体だな…」


俺は目を閉じて眠りにつこうとしていると、携帯のランプが点滅していた。


洸「メールか…誰だ?」


携帯を手に取り、確認すると竜悟からだった。

メールの内容は…。


竜悟のメール『風邪引いたんだってな~w夏風邪は「馬鹿」が引くって聞いたことあるしこれはお前が馬鹿ってことだよな~ww』


洸「…………」


俺は携帯を弄り、電話を掛ける。

数回コールが鳴り掛けた相手がでる。


楸『はい?』


洸「俺、洸だけど…ちょっと頼みたいことがあるんだけど」


楸『嫌ですけど』


洸「お前が作ってたウイルスプログラムで、竜悟の携帯を破壊してくれ」


楸『いきなり物騒なこと言わないでもらえませんか?ていうか、あのプログラムまだ未完成なんですけど?』


洸「構わないからやってくれ」


楸『…本当にやめておいたほうがいいんですけど…』


洸「ウイルスバスタープログラムとかあるんだろ?」


楸『そりゃ、ありますけど…あのウイルスを除去できるかわかりませんよ?』


洸「…まさかとは思うけど……お前…昔のアニメ映画と同じことになるとか言わないよな?」


楸『……たぶん、なりますよ』


洸「洒落になってないな…それは…じゃあ、簡易的なもんでいいから竜悟の携帯を破壊してくれ」


楸『いや、なんであくまでも携帯を破壊したがるんですか!』


洸「アイツが面倒なやつだから」


楸『自分から言わせてもらえば、先輩も面倒な人ですよ』


洸「ま、いいや…ただ誰かと話したかっただけだし」


楸『じゃあ、別に自分じゃなくてもいいじゃないですか…』


洸「気心知れてるからな…」


楸『宮本先輩の方が気心知れてるんじゃないんですか?』


洸「アイツは今学園で補習中だからな…」


楸『……自分で暇潰しをするのやめてもらえませんか?』


洸「ちっ…バレたか…」


楸『…はぁ…昔っから変わりませんね…なんか腹立ちます…』


洸「まぁ、悪いな…病人…だから勘弁してくれ」


楸『…病人って…元気そうに感じますけど?』


洸「だいたい治ってるからな」


楸『………そういえば…夏休み最初の日のニュースで警察官でも手に終えない凶悪犯が捕まったってやってたのって…先輩ですか?』


洸「…………」


楸『沈黙…ってことは正解ですか…ってことはあれですか?本気を出して風邪引いたんですか?アホですか?中学の時も似たようなことがありましたよね?』


洸「しゃーねーだろ?向こうは殺る気マンマンだったんだから。

つーか、本気出さなきゃ今頃死んでるからな?」


楸『はぁ…先輩が「アホ」だってことは良く分かりましたよ…まぁ、相手の凶悪犯が死ななくてよかったですね』


洸「まぁ…な…」


楸『なんか歯切れが悪いですね』


洸「そうか?そうだな…お前の関西弁が聞けなくて少し寂しいからかもな~」


楸『…喋りませんよ…馬鹿馬鹿しい…じゃあ切りますよ?』


洸「おう…悪かったな」


楸『悪いと思うなら掛けてこないでください…』


そう言って楠木は電話を切る。

いつの間にかくしゃみも寒気もしなくなってきていた。


洸「……明日にはもう完全に治るな…」


そう思いながら俺はベッドに入り眠ることにしたのだった。


その日昔の夢をみた。

小さい頃の…いつの間にか忘れていた記憶の夢…。


爺さんに引っ張り回されて色々な場所を巡っていた日々で…俺は一人の女の子と出会った。


その女の子が泣きそうな顔をしていたので俺は思わず声を掛けた。


洸「…どうしたの?」


女の子「……ぐすっ…」


話を聞くと親とはぐれて迷子になっているらしい。

声を掛けた手前放っておくわけにもいかず、一緒に親を探すことにした。


女の子はずっと半泣き状態だったので俺はその子のかわりに声を出して親を探していた。


洸「━━のお父さんお母さーん!!いませんかー!!娘さんが迷子ですよー!!」


その子の名前を出しながら呼び掛けても全然見つからなくて…それで……それで?あれ?どうしたんだっけ?思い出せない…女の子の名前も親を探してどうなったのかも…。


記憶が所々靄がかかっていて思い出すことができない。


ただ……その時なにかがあって…俺は記憶が飛んでしまったのだろう。


そう思いながら意識が浮上していく感覚がして、俺は目を覚ました。


洸「……」


柊「洸ちゃん?起きたの?」


洸「………柊…うん…起きた……なんか…懐かしい夢をみた気がするんだけど…」


柊「懐かしい夢?」


洸「うん…小さい頃の夢をな」


柊「そうなんだ…そういえば洸ちゃんの子供の頃の話ってあまり聞いたことないね?」


洸「まぁ…な…昔のことってあまり覚えてないからな…」


柊「そうなの?」


洸「うん…小さい頃事故にあったらしくて…記憶が断片的に欠けてるんだよ」


柊「それって…どんな事故だったの?」


洸「わかんないな…俺も命さんから聞くまで自分が事故にあっていたことさえ思い出せないでいたし」


柊「そう…なんだ…」


洸「ところで柊」


柊「なに?洸ちゃん」


洸「腹減ったんだけど…なにか食べるものある?」


柊「……ふふっ…そういうと思って、お粥を持ってきてたんだよね」


洸「おお~…柊が作ったのか?」


柊「レトルトだけどね…」


洸「レトルトでも助かるよ!ありがとな!」


柊「うん」


洸「それじゃあ、いただきまーす!!」


その後、お粥を食べ終えて伸びをする。

朝の気だるさなく風邪が治ってるのがわかる。


洸「………ふむ…」


柊「洸ちゃん?どうしたの?」


洸「いや、なんでもないよ」


若干体に痺れを感じるけれど多分平気だろうと思い黙っていることにした。


柊「そういえば、さっき稲叢先輩から電話きてたよ?」


洸「ああ、ありがとう。先輩なんだって?」


柊「洸ちゃんが寝てるって話したらまた日を改めて電話するって」


洸「そうか、なんだったんだろ?」


柊「あとは、命さんから手紙がきてたよ?」


洸「うへぇ…命さんからか…」


柊「どうかしたの?」


洸「いや…べつに…」


命さんからの手紙は別にいいのだが…あの人の出す手紙って必ずなにかしらおかしいことになっている。


洸(この前はなぜか"た"抜き言葉風にしてたし…)


それだけならいいけれど、あの人は字が驚くくらい汚い。

英文を書くときは綺麗に書けるのになぜか日本語…それもひらがなとカタカナがやたら汚い。

言うなれば怪文書になっているレベルだ。


洸(今回はまともであってほしい…いちいち解読するのは骨がおれる…)


そう思いながら俺は命さんからの手紙を確認する。


洸(…よ…読めない!!なんだこれ…何ヵ国語あるんだこれは…嫌がらせか!?)


綴られていたのは訳のわからない語源がごちゃ混ぜになっている文章だった。

かろうじて読めるのは英語になっているところと日本語になっているところくらいだ。

だけど字が汚いからどっちにしろ解読しなければならない。


柊「洸ちゃん?どうかしたの?」


洸「うん…まぁ…あると言えばあるし…ないと言えばない…かな?」


つーか、どうすんだこれ…ほとんど読めないうえに、何語だかわからない文字混ぜられて…さらには、字が汚いとか…地獄だ…。


洸「なんか…頭痛くなってきた…」


それから数時間が経過して…なんとか命さんの手紙を解読した。(正直途中で何度この手紙を破ろうかとおもったことか…と、言っても最終的に楠木に丸投げして訳してもらったけれど…)

で、命さんからの手紙はこうだ。


命の手紙

「洸へお元気ですか?私は今イギリスで仕事をしています。

正直仕事なんて面倒くさいから今すぐ帰って柊共々抱き締めてあげたいんですが、そういうわけにもいかず、悪戦苦闘しています。


最近の柊は昔に比べてかなり明るくなって私は嬉しい限りです。


洸は…今までと同じかな?

誰に対しても近いようで遠い関係を築いているのかな?


私はそんな君が心配でなりません。

……なんか、敬語書くの面倒くさくなったからここから先はもう書きたいように書くけど、君は私からみればかなりの馬鹿だ。


どうしようもないくらい不器用で、他人ばっか心配して、自分のことなんかどうなってもいいとか考えたりしてるんだろうけど…そんな事を考えてる暇があるんなら自分の幸せを考えろ馬鹿たれ!!


弱音を吐かないことが格好いいとか考えてるならそれはただの勘違いドM野郎でしかないぞ?


人からみれば君は優しくて、思いやりがあって、まわりを良く見れている"優しい人"なんだろうけど、知っている人からみればただの自己犠牲だ。


君はいつもそうやって誰かを助けていたんだろう。

とは言っても君は無自覚だったりするんだろうけど…。


君は一人じゃなだろう?柊がいるし、榎梨や楠木さんや稲叢のお嬢様、西城さんの息子さんや雨宮の息子さん…

それに霧香や学園長だっているんだ。


ひとりでなんでもできる気になってないで、誰かに助けてもらうことを覚えなさい。


まぁ、説教はここまでにして…私は元気だから心配しなくてもいい…とか言わなくても心配なんてしてないんだろうけどね。


柊のことをよろしく頼むよ。

御盆にはたぶん帰れると思うからよろしくね」


洸「………まったく…命さんもなんだかんだ言って心配性だな…ん?」


命さんからの手紙(楠木の和訳文章)をみるとPSと書いてあり続きがあるようだった。


洸「なんだろう?『PS…そう言えば私がなくした二千円札が何処にあるかしらないか?』…知らねーよ!!」


俺は持っていた手紙を命さんの部屋にあるシュレッダーにかけるのだった。

あと、風邪は気がついたら完全に治っていた。

おまけ


柊「洸ちゃん、風邪が治ってよかったね」


洸「ああ、にしても…こんなに長引いたのは久しぶりだな」


柊「あんまり無理しないでね?」


洸「ま、気を付けるさ」


柊「そういえば、命さんの手紙は何が書いてあったの?」


洸「気にするな、気にしたら敗けだ」


柊「??」

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