学園長なのに…
7月下旬、終業式を終えて現在教室でHRをしていた。
霧香「それじゃ、テスト返すよ~」
先生が生徒各自にテスト用紙を返却する。
霧香「…さて、わかってると思うけどあたしの仕事を増やしてくれた馬鹿は速やかに手をあげろ~」
竜悟「あっはっはっは!!誰なんだろうな~!」
榎梨「まったく、先生の仕事を増やすなんて酷いことする生徒がいるんだね~」
霧香「…いや、君らだからね?」
竜悟・榎梨「「………はい??」」
霧香「いやいやいやいや、なに自分達は関係ない感じの雰囲気だしてんの?君ら二人だけだよ?赤点とったの」
竜悟「いやいや!!俺はそんな赤点なかったっしょ?!」
霧香「確かに、君今回の赤点は1つだったけど…今まで赤点取りまくってたから他の先生方がもっと厳しくしろってうるさくてね…まぁ、自業自得だ。
宮本は赤点4つ…わかってると思うけど剣道部の大会には出られないからね?」
榎梨「……ぁぃ…」
完全に目が死んでいた。
勉強をちゃんとしなかったんだから当たり前だ。
そう思いながらため息を吐く。
柊「洸ちゃんはテストどうだったの?」
洸「ん?あ~…まぁ、普通だな」
俺のテスト用紙は平均点より少し高いくらいの点数が書かれていた。
勉強はやらないと命さんに迷惑がかかるから真面目に取り組んでいる。
だけど、基本平均点より少し高いだけの点数をとれればいいと言った感じ、それより上を目指そうとは思わない。
洸「柊は?」
柊「私は…はい…」
洸「おお…高得点ばっかりだな…英語は平均点だけど…」
柊「英語は苦手だから…」
そう言って少し恥ずかしそうにしている。
なにに対して恥ずかしがっているのかはわからないけど…俺は聞かないことにする。
霧香「はいはい、し~ず~か~に~!!あんたらはやく帰りたいんじゃないの?」
先生の言葉に教室が静かになる。
霧香「はい、それで…明日からはあんたたちが待ちに待った夏休みだ!海やら山やら夏祭りやらに行ったりして青春を謳歌したまえ!!だからと言って回りの人に迷惑かけたり面倒ごとを起こしてこれ以上あたしの仕事を増やさないように!
あとは補習組の雨宮、宮本は明日も学園に顔出してね。
出さないと強制的に留年させるから。
以上、解散!!」
サラッと理不尽なことを間にはさんでるよこの先生…竜悟はやれやれといった感じで榎梨は机に突っ伏していた。
霧香「あ、そうだコー!」
洸「嫌です」
霧香「まだなにも言ってないんだけど…」
洸「どうせ、その二人の勉強を見てあげてだのなんだの言うんでしょ?テスト前に見ましたけど真面目にやんなかったし」
霧香「はぁ、そんなんじゃないよ…あの二人が真面目にやらないのはわかりきってるしね」
洸「じゃあ、なんですか?」
霧香「稲叢にあの宮本が大会出られないって伝えてきてくれって話」
洸「……?なんで俺なんですか?」
霧香「最近はよく話すんだろう?彼女に聞いた。
そういうわけだから、よろしくね」
洸「え?ちょっと!!」
霧香「頼んだからね~」
そう言いながら先生は榎梨と竜悟を引っ張って教室を出ていく。
洸「……」
柊「洸ちゃん…どうするの?」
洸「…行くしかないだろ?つーか、先輩がまだ学園にいるかどうかだよな…悪いけど、先帰っててくれるか?」
柊「うん、じゃあ先帰ってるね」
洸「ああ」
俺は柊と別れたあとため息を吐きながら3年の教室に向かう。
洸「そういや3年の教室に行くの初めてだな…」
学年がひとつ違うだけなのに2年生とは雰囲気がまるで違う。
なんか…緊張してきた…。
洸「は、はやく先輩に伝えて帰ろう…」
3年生のクラスの独特の雰囲気に俺は少し早足になる。
と、そこで見知った顔の人物がいた。
俺はその人に声を掛ける。
洸「学園長!」
四季「…んあ?」
振り返ったその人を見て絶句(?)した。
洸「…なに煎餅食ってんだあんた…仮にも学園長だろ…」
四季「声を掛けてきたと思ったらいきなりなんじゃ…お主は3年生のクラスがある階にまで来て、妾に説教しに来たのか?」
洸「いや、違うけど…煎餅食いながら歩いてたら気になるんだよ」
四季「おふひも、めんふぉいふぁふふぁふぉう」
洸「は?なんつった?つーか、口の中のもん飲み込んでから言ってくれ。
なに言ってるのかさっぱりだから」
四季「…んぐっ…お主もめんどいやつじゃのうって言ったんじゃよ」
洸「…あんたほどでもないけどな…そんなことより」
頭を掻きながら本題に入る。
洸「稲叢先輩がどこにいるか知ってるか?」
四季「稲叢…ああ、椿なら剣道場におるとおもうぞ?」
洸「剣道場?なにしに行ったんだろ…」
四季「知らぬよ、妾はあやつと友人ではないゆえな」
洸「?じゃあ、なんで剣道場にいるって…?」
四季「あやつとは一応じゃが、3年間一緒のクラスだったのでな、なにかしら考え事をするさいによく剣道場に行っているのをよく見からの」
洸「まぁ、いいや…とりあえず剣道場に行ってみるよ」
そう言いながら俺は歩き出す。
四季「待て」
洸「ん?」
四季「面白そうじゃから妾も行くぞ」
そう言いながらとても楽しそうに笑顔を浮かべる学園長。
まぁ、断る理由もないので了承して剣道場へ。
ー剣道場ー
洸「さて、先輩はどこだろ?」
四季「…気になっておるんじゃがお主、椿のことは先輩として接しているのに妾に対してはなにかと雑じゃのう?」
洸「そうか?っつーかあんたは学園長だろ?接し方が違うのはしょうがないことだと思うけど?」
四季「妾が言いたいのはそういうことじゃなくてじゃな…お主、椿には敬語を使うじゃろ?」
洸「まぁ、先輩だしな」
四季「妾も先輩なんじゃが?」
洸「……ああ、そういうことか。なんつーか、あんたは先輩ってよりもどちらかというと…楠木みたいに感じるんだよ」
四季「なんじゃ、妾を年下扱いか失礼なやつじゃのう」
洸「そんなこと言われてもな…」
そもそも学園長は年上だが、雰囲気や楠木くらいの伸長のせいであまり年上にみえないんだよな…。
なんつーか、無理して大人ぶってるというか…。
椿「あれ?神前君?どうしたんですか?」
俺と学園長が話していると稲叢先輩が剣道場の更衣室から出てきた。
洸「ああ、先輩」
椿「…そちらは?」
四季「……」
洸「同じクラスっつってなかったっけ?」
四季「…まぁ、妾は基本的に教室にいないからのう」
そんなことをいいつつも少しショックを受けている様子。
そういえばそんなこと言ってたな…忘れてたけど。
俺と学園長が話している様子を先輩は首を傾げながら見ている。
洸「…稲叢先輩、この人は学園長です」
椿「はぁ…学園長ですか…………え!?学園長ですか!?」
メチャクチャ驚いてるな…本当に3年間同じクラスだったのか?
そう思いながら学園長を見るとさっきより若干凹んでいた。
椿「どうして、神前君とその…学園…長?が一緒にいるんですか?」
洸「あーっと…その…なんていうか…成り行きで?」
そう言いながら学園長を見るとまだ凹んでいた。
四季「……」
洸「まぁ、それよりも先輩に言伝てがありまして」
椿「はぁ…なんでしょう?」
洸「榎梨のことで…」
椿「ああ、そうでしたか…」
そういうと、先輩は言わなくてもわかると言った表情を浮かべている。
洸「なんか、言わなくても良さそうですね…」
椿「まぁ、そうなるんじゃないかと思っていましたから…本当にしょうがないですねぇ…」
そう言いながら苦笑いをしている先輩。
椿「大会には出られないでしょうから、エリーの大会登録を取り下げないと…ああ、神前君、エリーのことを伝えてくれてありがとうございます。
それから学園長もまた今度お話しましょう」
そう言って稲叢先輩は剣道場を出ていった。
洸「…学園長?」
四季「……」
洸「ダメか…」
完全に意気消沈していた…学園長であることすら認知されてないんだから当然か。
終業式の挨拶も教頭がやってたし…。
まぁ、このまま放っていくわけにもいかないし………どうしたものか…。
洸「…お~い、学園長~さっさと戻ってこ~い」
四季「妾は学園長なのに…なんで……」
なんかぶつぶつ言ってるし…めんどくさいな…。
俺はため息を吐きながら学園長を肩に担ぎとりあえず学園長室につれていくことにした。
ー学園長室ー
洸「……」
四季「そもそも、妾は教室にいることもないし当然と言えば当然じゃがもっとこう…なにかしらあるじゃろうに…」
まだぶつぶつ言ってる…いつまで凹んでんだか…。
俺は学園長室にあった雑誌(なんでこんなのおいてあるんだ?)を手に取り、その雑誌で学園長の頭を少し強めにひっぱたいた。
四季「うがっ?!!」
洸「あ…やっべ…強すぎた……お~い…生きてっか~?」
四季「……お~ぬ~し~な~……いきなりなにするんじゃ!!?おでこを机にぶつけてしまったではないか!この阿呆がー‼」
洸「いや、悪いとは思ってる…」
四季「…それよりも妾はいつのまに自室に戻ってきたんじゃ?」
洸「それすら気づいてなかったのかよ…」
余程ショックだったらしい。
洸「まぁいいや、じゃあ俺は帰るからな?」
四季「待て、お主は傷心している妾に言うことはないのか?」
洸「ないな、そんなのがあるなら俺が知りたいわ」
四季「ぬ~…お主は酷いやつじゃのう…」
洸「なんでだよ…」
四季「説教してくれる!!そこに座れ!」
その後、俺はしばらくの間学園長に説教されるハメになり、説教が終わる頃には日が沈み夜になっていた。
洸「…………まさか……8時まで説教をされるとは…」
学園長は説教が終わるととても満足そうな顔をしていた。(説教の最中に若干ワケわからんことも話していたが…本人は説教中になに言ったのか覚えてないらしいからツッコまないでおこう)
携帯を見ると、柊からのメールや着信が2桁分来ていた。
洸「……ま、こんな時間まで帰らなかったら心配するよな…」
俺は柊にすぐに帰るからとメールを送り、帰ろうとしていると後ろから複数人に見られているような気配を感じた。
洸(…だいたい4、5人…殺気だっていることを考えると身内じゃないな…)
俺は後ろの連中に気取られないように少し早足になる。
男「お~いぃぃ~にいちゃ~ん?」
洸「…………」
男「おいぃ?む~しすんなよぉ~」
薄気味悪いしゃべり方をする男が俺の前に現れる。
どうやら後ろの連中とグルのようだ。
洸「…………」
男「にぃちゃんよ~おぉ~?すこ~しばかりぃ~俺達とぉ~付き合ってもらえるかなぁ~」
男は含み笑いをしながら喋って来てかなり気持ちが悪い。
洸(…デカいな…190くらいか?)
俺は男を観察しながら間合いをはかる。
男「おまえらぁもぉ~でてこいよぉ~」
男の声を合図に後ろの連中もワラワラ出てくる。
洸(…………囲まれたか…さて、どうすっかな…)
男は依然としてニタニタ笑いながら俺を見ている。
洸「……あんたら、俺になにかようか?」
男「クヒヒ、よぉやくぅ~くちをきぃたねぇ~」
相変わらず気色の悪い顔をしている…それに少し血の匂いが混じっている。
こういうやつを見ていると吐き気がしてくる。
"思わず血が騒いでくる"感覚がする。
洸「…用がないなら通してほしいんだけど?」
俺は沸き上がってくる感覚を抑えながら男に言う。
男「きみぃ~おれたちがぁ~どぉいう~集まりなのかぁ~わぁかぁるぅ~?」
洸「知らねぇな…ただ、普通のやつらじゃないことはわかるけどな…」
俺がそういうと男は満面の笑みを浮かべる。
男「クヒヒ、くふひひ、くひゅひゃひゅひゃあひゃはひゃひゃは!!!
おまえぇ…サイッコーぉぉぉぉぉぉぉ………サイッコォォォォ……きひゅひゅふう~……だからさぁ~……殺しちゃっても…いいよねぇ~???」
洸「!!」
男から尋常じゃない程の殺気を感じる。
何人かを殺したことのある殺人鬼と大差ないほどの強い殺人衝動に動かされている者が出す特有の殺気…正直かなりヤバイ!!
洸(そういや、学園長の説教の最中になんか混ざってた話のなかに殺人鬼がどーたらこーたらとか言ってたな…)
その話によると、最近学生を狙った殺人事件が相次いでいて、そのどれもが(あり得ない話だが)人の手によって四肢を引きちぎられたものだと言う。
警察官でも手に終えない凶悪犯だと学園長が言ってたし…少しくらい"本気出したとしても死なないかな"。
洸(あり得ないと思ってたけど…この体格なら納得だな…)
男「きみぃ~かぁくごぉはぁ~いいかなぁ~???」
洸「…………」
俺は男をみたあと辺りを見回す。
俺を囲んでいる連中とこの男以外の人がいないことを確認してから男に向き直る。
男「おぉ??殺されるぅ~覚悟ぉがぁ~で~きたぁみたいだぁねぇ~?」
洸「…やる気マンマンのとこ悪いけど言っとくぞ?
ゴメンな……」
俺は男にそう言った後…俺に絡んできた男とその仲間達を再起不能にする。
男「…ぁぁ……ごふっ……」
洸「……生きてるか…あんた、強いよ…でも、喧嘩売る相手は選んだ方がいい…一応、警察と救急車呼んどいたから…死にはしないはずだよ…それじゃあな…」
俺はそう言い残しその場を後にした。
抑えきれなくなって思わず手を出してしまった……
その事を考えると気分が悪くなってくる。
洸「…………やっぱ……さっさと逃げるんだったな…気持ち悪…」
その後、家に着いた俺はふらつきながらも自分の部屋に行き、眠りにつくのだった。
ちょっとした話
洸は免許を持っている。
竜悟はサイコロ鉛筆で赤点をある程度少なくできる。
榎梨は数学が得意らしい。
柊は洸が来る前までは英語は赤点ギリギリだった。
楸は勉強しなくても点数が取れる。
椿は関節技の練習で思わず虎鉄の関節をはずしてしまった。
虎鉄は商店街以外ではなにもしていなくても警察を呼ばれてしまうため、警察に何人か知り合いができた。




