勉強会…?
稲叢先輩を連れて家に帰って来た俺は現在頭を抱えていた。
洸「………」
榎梨「…う゛あぁぁぁぁぁ~…ぜんっぜんわかんない…わかんないよぉ~…ラギ~」
柊「榎梨ちゃん…始めてから5分もたってないよ?」
榎梨は柊に教えてもらっているようだがあまり進んでいない。
竜悟はなぜか六角鉛筆のケツの部分を削っている。
椿「あの…雨宮君はなにをしてるんですか?」
竜悟「テスト用の秘密兵器作ってるんすよ!サイコロ鉛筆!知ってます?」
椿「どういう風に使うんですか?」
竜悟「選択問題で迷ったときに転がして、その時に出た数字を書いて埋めるんです。
まぁ、殆ど数学で使うんですけど…先輩ちょっと問題だして貰っていいっすか?」
椿「えっと…じゃあ、25ページのこの問題を」
そう言って選択問題を出す先輩…真面目に相手しなくてもいいのに…。
竜悟「では…よっ!!3!!答えは!?」
椿「……1です…」
竜悟「……この案は没か…」
洸「つーか、真面目に勉強しろ」
楸「先輩、この漫画の続きはどこですか?」
楠木はお菓子を食べながら俺の部屋にあった漫画を読んでいる。
洸「…俺の部屋の本棚になかったか?」
楸「なんか、ランダムに入れられててわかんないんですけど」
洸「またか…たぶん2段目の右から16番目の位置に入ってると思う」
楸「思うってなんですか…先輩が片付けてるんじゃないんですか?」
洸「俺が片付けても荒らしに来るやつらがいるんだよ…主にそこの二人だけど…」
そう言って竜悟と榎梨の方に顔を向ける。
楸「荒らされてるのになんでどこにしまったのかわかるんですか?」
洸「単純に何回かみて、そこから次どこに入れるか計算しただけだ…だから正確な位置はわからん」
楸「そうですか」
そう言って俺の部屋に向かったのかリビングを出ていく楠木。
洸「…にしても…かなり混沌な空間になったな…」
まぁだいたい予想通りと言うかなんというか…これ…テストまでにどうにかなるんだろうか?
榎梨「ラギ~っ!なんでこの点は動くの~?!なんでこの問題に出てくる兄弟は一緒に家を出ないで別々に家を出るの~?!わけわかんないんだけど~!!?」
柊「私に言われても困るよ…」
榎梨「結論からいって、数学は意味不明!!」
洸「俺からすれば、お前がなんでその頭で平均点ギリギリをとれているのか不思議なんだが…」
さっきから榎梨がやってる問題は一年で習う範囲らしい。
それなに1ページの右上にある最初の問題すら分からないと言っている。
竜悟「まー、宮もっちゃんだかね~…っとサイコロ鉛筆2号完成!」
さっき没って言ってたはずなのに2号作ってんじゃねぇよ…。
そう思ったけどあえて口にはせず、というよりもはやツッコミをするのがめんどくさくなってきていた。
榎梨「洸君さ~、さっきから文句ばっか言ってるけど…自分の勉強はしなくていいの~?」
そういいながらニヤニヤと人を弄るつもりの目をしている。
洸「安心しろ…俺はお前ら"馬鹿"二人とは違ってちゃんと勉強してるからな」
榎梨「だってさ、ラギー?」
柊「え?!私?!」
洸「…あんまりふざけてるようなら…叩き出すぞ?」
榎梨「いっ?!あ、えとっ!ごめんて!ふざけないからそんなに怒らないで!!凄く怖いから!!」
俺はため息を吐きながら椅子に座る。
そんな俺を柊が心配そうな顔で様子を伺っている。
俺は気づかないふりをしながら自分の勉強を始めることにした。
~一時間経過~
洸「…………」
榎梨「歴史の勉強ってなに?!こんなおっさん達の昔を知ってなんか将来のやくにたつの?!たたねーでしょうがあぁぁぁ!!!!!!」
若干榎梨が壊れ始める。
~二時間経過~
洸「………」
竜悟「…洸~英語の教科書貸してくんね~?」
洸「…なんで?自分の教科書はどうしたんだよ?」
竜悟「いや~、この前ジュース溢しちゃってさ~…捨てちった」
洸「…ほら、だいたいの部分にいろいろ解りやすく書き込みいれてあるからそれ参考にしとけ」
竜悟「サンキュー」
~その五分後~
竜悟「…洸…」
洸「どうした?」
竜悟「えっと…さ…ジュース…溢しちゃった!」
洸「…マジかよ……」
それから…竜悟が溢したジュースの後片付けを終えてから、休憩をする。(教科書はジュースでビショビショになっていたため捨てる羽目になった)
勉強を全くといっていいほどに進んでいないが…。
榎梨「いや~、勉強したね~!」
竜悟「ああ、勉強したな~!」
洸「………1ページ…たりとも……やって、ねぇだろうがああぁぁぁぁぁ!!!!!
なんなんだお前ら!?やる気あんのか!?竜悟は俺が誘ったから別にどうなろうが知ったこっちゃねぇけどな…榎梨!お前は自分から勉強教えてくれって言ったんだからちゃんとやれや!!!」
楸「先輩、うっさいです」
洸「…冷蔵庫に入ってるシュークリーム食っていいから今は口挟まないでくれるかな?」
楸「は~い」
つーか、楠木が口挟んで来たから怒りが完全に削がれた…。
洸「…はぁ、もういいや…アホらしくなってきた…」
そんなことを言いながら外を見ると日が傾きはじめていた。
洸「…完全に時間の無駄遣いじゃねぇか……」
榎梨「洸君、ドンマイ☆」
俺は黙ったまま席をたち榎梨にデコピンを食らわせる。
榎梨「いった?!!!洸君めっちゃ痛いんだけど?!!」
俺は変わらず無言で夕御飯の支度を始める。
榎梨「……え~っと?あれ?洸君?」
洸「………」
榎梨「おーい?洸く~ん」
竜悟「返事がない、ただの洸のようだ」
洸「………」
竜悟「………」
榎梨「……」
柊「洸ちゃん…」
洸「ん?」
柊「えっと…今日の夜ご飯は…なに…かな?」
洸「肉じゃが、なんかこの前テレビでやってて食いたくなったから」
榎梨「へー…それどんな番組?」
洸「………」
榎梨「あれ?洸君?」
竜悟「なぁ、宮もっちゃん…もしかしてだけど…」
榎梨「なに?」
竜悟「勉強をサボってる俺っちたちとだけ会話しないつもりなんじゃないか?」
榎梨「…いや、まさか…」
楸「先輩、この漫画の続きは?」
洸「今はそこまでしか出てないな。次の巻は来週くらいには出ると思うけど?」
楸「…そうですか」
残念そうな表情を浮かべる楠木に質問をする。
洸「楠木、夕飯食ってくか?」
楸「……一応食べることにしといてください」
洸「はいはい」
竜悟「俺も食いたい!!」
洸「………」
ー視点変更 楸ー
楸「……」
神前先輩が少し不機嫌になっている。
理由はあの二人の先輩方のせいだろう。
榎梨「…これ、ガチのやつだね…」
竜悟「ああ、早めに謝った方がよさそうだな…」
榎梨「……どうやって謝るの?なんか洒落になってない感じの黒いオーラが出てるんだけど…」
竜悟「…なんか声掛けたら殴られそうだな…」
そんなことを話し合っている暇があったら謝ればいいのに…そう思うけど自分は黙りを決め込みことのなり行きをみまもる。
洸「…ふむ…柊~材料足りないからちょっと買い物行ってくるわ~」
柊「あ、うん。いってらっしゃい」
そう言って神前先輩が外に出ていくと二人の先輩たちは肩の荷が降りたという表情を浮かべ、あと二人の先輩は心配そうな表情を浮かべていた。
榎梨「…ねーひーちゃん?いまなんかバカにされた気がしたんだけど?」
楸「誰にですか…ていうかその呼び方やめてください」
勘がいい人だな…ちょっとビックリしたけど自分は表情に出さずポーカーフェイスで対応する。
榎梨「おかしーなー…」
竜悟「そんなことより、洸が戻って来る前にどうやってあいつの機嫌を治すか考えよーぜ?」
椿・柊((勉強を真面目にすれば機嫌が治ると思う…))
とか思ってそうな顔で苦笑いをしている先輩たち。
自分は正直どうでもいいと思うけど…このまま神前先輩の機嫌が悪いままの方が面倒くさそうだな…。
楸「…先輩方が勉強しないから神前先輩は怒ってるんじゃないですか」
呟くようでいてギリギリ聞こえる声の大きさでいう。
榎梨「……」
竜悟「そうなんだけどなぁ~なんつーの?集中できねーのよ」
楸「いいわけはいいから勉強してください。じゃないと、先輩方自信どうなっても知りませんよ?」
竜悟「ありゃ~…後輩にしかられちった~」
男の方の先輩は凄く適当な感じの受け答えを返してくる。
一方で宮本先輩はなにかを考えている様子。
榎梨「……ねーねーひーちゃん」
楸「…なんですか?」
呼び方が気になるけど今は先輩の話を聞こう。
榎梨「ひーちゃんは洸君が嫌いって言ってたのにどうして洸君に付き合って勉強会に参加してるの?」
楸「…それは神前先輩が作ったお菓子を食べるためですけど?」
榎梨「…本当にそれだけ?」
楸「それだけです。なんなんですか?突然」
榎梨「いや~、ちょっと気になってね。
洸君のことを嫌いって言ってるのにひーちゃんは洸君の頼みごととかあんまり断らないみたいだし…」
楸「……はぁ、あのですね…神前先輩とは、同じ中学の先輩後輩の関係ってだけですよ?」
榎梨「でもさ、同じ中学でも上下の知り合いってそうはないんじゃないの?部活動で~、とかならわかるけど…ひーちゃんは剣道部って感じじゃないし」
この先輩やけに食い下がるな…どうでもいいと思うけどな…。
楸「別にいいじゃないですか…」
榎梨「……僕はさ~隠し事してて…それを必死に隠してる人を見るとその隠し事を意地でも聞き出したい性格なんだ~…」
なんて面倒くさい性格をしてるんだこの先輩は?!
榎梨「ヒッヒッヒ…ひーちゃ~ん…隠してることを話してもらおうじゃ~ないか~」
そう言って悪い笑みを浮かべながらジリジリと近づいて来る。
ていうかこの先輩…雰囲気がコロコロ変わってなんというか何を考えているのかわからない…。
楸「…神前先輩に聞けばいいじゃないですか……」
そう言うと苦々しい表情に変わり項垂れる。
榎梨「……あのね~…ひーちゃん…正直ね…僕は現実逃避の真っ最中だったの…洸君に謝ろうにも…彼は話を聞いてくれるかもわかんないし…あ~…もうどうしたいいんだろう」
楸「…そもそも、ことの発端は先輩方が勉強をしなかったからじゃないんですか?」
竜悟「あ~…本当に洸になんて謝ろう…」
楸「いや、だから…」
榎梨・竜悟「「こまったな~……」」
駄目だこの人たち、はやくなんとかしないと…ってもう手遅れか。
駄目だ…なんか頭いたくなってきた…。
椿「…あの~、宜しいですか?」
楸「…え?」
話していると…静にしていた先輩(名前覚えてない)が話しかけてきた。
榎梨「ぶちょー?どうしたんですか?」
椿「神前君は御二人のことを心配して、勉強を教えようと思ったのではないんですか?」
榎梨「えと、そもそもこれは僕が言い出したことで…」
椿「エリー?」
榎梨「はい?」
椿「自分から申し出ておいて……そんな風に中途半端な考えでいるとは…どういう了見ですか?」
榎梨「ッッ?!?!?!?!」
椿「エリー……お説教…ですね♪」
榎梨「い、いやぁ…ちょちょ、ちょっと?まぢで、怖いんですけど?」
椿「ふふふふ…」
そう言って宮本先輩の首根っこを掴み引きずって奥の部屋に連れていかれた…断末魔のような声が聞こえたけど、気にしないようにした。
竜悟「……さて、勉強すっか…」
柊「…え?」
竜悟「なんだよ~その反応…」
柊「雨宮君…さっきまで榎梨ちゃんと一緒にふざけていたから…」
竜悟「あ~…まぁ、ねぇ…相方がいねーとふざける気にもなんねーのよ…」
変わった人だ…一見ちゃらんぽらんな感じなのに何だかんだで真面目にしている。
神前先輩の知り合いの人は大抵変わっているけれど…この人はたぶん自分が知ってるなかで"2番目"くらいに変な人だ…。
=ピンポーン=
柊「…あれ?誰だろう…」
竜悟「洸じゃねーの?」
柊「洸ちゃんはインターホンを押す必要ないと思うんだけど…」
そんな話をしている先輩方、そしてしばらくすると、家の扉が開く音が聞こえてリビングに顔を出したのは…長身の男の人が立っていた。
柊「西城…先輩?」
虎鉄「神前から勉強をしているから手伝ってくれと聞いていたんだが…神前は何処かに行ったのか?」
柊「洸ちゃんなら夜ご飯の買い出しに行っちゃいましたけど…」
虎鉄「入れ違いだったのか…まあいい、しばらく待っているとしよう」
そう言って椅子に腰掛けて勉強道具一式をだすデカイ人。
楸「…あの、上島先輩…あの人は誰ですか?」
柊「西城 虎鉄先輩だよ?学園の3年生」
楸「………不良にしかみえない…(ボソッ)」
神前先輩の知り合いにこんな厳つい人が…あの人の交友関係はいったいどうなっているのやら…。
虎鉄「ん?お前…リュウか?」
竜悟「…げぇ…テツ…」
虎鉄「げぇとは…ご挨拶だな…」
竜悟「うっせー…つーかなんでお前がいるんだよ?」
虎鉄「さっき言っただろ?神前に呼ばれたんだ」
頭を抱えて盛大にため息を吐くチャラ男先輩。
柊「…二人は知り合いなの?」
竜悟「…幼馴染みだよ…」
柊「そうなんですか?」
虎鉄「最近はあまりあっていないがな」
竜悟「…はぁ~…めんどくせぇ…」
虎鉄「そう言うな、そもそもお前は勉強できる方だろう?」
竜悟「俺にも色々事情があるんだよ…」
虎鉄「…お前…まだ親父さんと仲直りしてないのか…」
竜悟「うっせーなー!!学園サボってるクセに俺に説教してんじゃねー!!!」
虎鉄「…オレがどうしようがオレの勝手だろう?」
竜悟「なんかを悟ったような感じの口ぶりが余計に腹立つんだよ!!!」
すごいなこの二人…話が飛び飛びなのに会話が成立してる。
それから、神前先輩が戻って来るまで先輩方の喧嘩とお説教が続くのだった。
ちなみに自分が帰った後の話だが…勉強は結局捗らなかったらしい。
成績について
洸の成績は中の上で本人曰く授業を受けていれば点数は取れるという優等生。
柊の成績は学年の10位以内に必ず入っているらしい。(しかし英語は苦手らしい)
榎梨の成績は下の中くらいで赤点ギリギリの点数を取っている。
そのため、母親から怒られているらしい。
竜悟の成績は赤点を取ることがしばしばだが、本来なら成績は上位に食い込むほどだとか。
椿の成績は学年順位の5位で成績優秀。
虎鉄の成績は学年3位でよく不良なのに頭いいとかありえないと批判を受けている。
楸の成績は1年生の首席でかなり頭がいい。
本人は成績など興味がなく別に凄いことはしていないと語っている。




