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心と心  作者: コヨーテ
15/21

テストのための人探し

7月上旬…修学旅行が終わると次に待っているのは期末テストの時期に突入して学園は少々ピリピリした空気が流れている。


~ホームルーム~


霧香「君らも知っての通り、学園はテスト期間だ!部活動は停止だから、部活動に力をいれてる脳筋共もきちんと勉学に勤しむように!以上!!解散!」


先生が教室を出ていくと途端に教室内が騒がしくなる。


洸「うっし!そんじゃ、帰るか柊」


柊「うん」


俺たちはいつも通りに帰り支度を終え帰ろうとすると目の前に榎梨が立ちふさがった。


榎梨「ふっふっふ…ここを通りたければ僕を倒していくことだね…」


洸「……はぁ、なにが目的なんだよ?って言ってもわかってるけど…」


榎梨「勉強教えて下さい!!」


キャラ作りを諦めたか…まぁ、いいけど。


洸「…別にいいけど、つーかお前この前から柊に教えてもらってなかったっけ?」


榎梨「そうなんだけど…気がついたらいつの間にか勉強道具が散らかって勉強が進まないんだよね~」


洸「……」


柊の方に目をやると首を横に降る。

絶対に勉強を始めたはいいけど榎梨が脱線に脱線を重ねて結局勉強していないといった感じか…。


竜悟「お!どうしたんだ~?いつもの面子が集まって~もしかして悪巧みか?」


洸「ちげーよ…テスト期間だから勉強教えてくれって言われてただけだ」


竜悟「あー…なるほどな~」


洸「お前はどうする?」


竜悟「ん~…俺っちは正直諦めてっからな~」


洸「なんだったらヤマだけ貼っといてやるけど?」


竜悟「そうだな~…そこまでしてくれるんなら、たまには頑張ってみようかな」


洸「じゃあ、俺は他にも手伝ってくれそうな人を探してくるから先に行っててくれるか?」


榎梨「洸君が教えてくれるんじゃないの?」


洸「教えるけど、それだと俺がわかんなかった時困るだろ?多分すぐみつかると思うからさ」


榎梨「はやく来てね~」


洸「おう、またあとでな」


そう言って榎梨たちと別れて手伝ってくれそうな人を探すことにした。


洸「つっても、誰に頼もうかな?」


そんなことを呟きながら歩いていると見覚えのある後ろ姿が目にはいった。

俺はその人に声を掛ける。


洸「稲叢先輩!」


椿「え?あ、神前君」


先輩も俺に気づきこちらに向かってくる。


洸「こうして話すのは久しぶりですね」


椿「そうですね。学年が違うとお会いする機会も少ないですし」


洸「……」


椿「……」


ど、どうしよう…久しぶりすぎてなにを話していいかわからない。


椿「え…っと…神前君」


洸「な、なんでしょう?」


椿「その…修学旅行はどうでしたか?」


洸「あ…えと、いろいろトラブルもありましたけど、楽しかったですよ?」


椿「そうですか。それはよかったです。ところで…神前君はまだ帰らないんですか?」


洸「はい、ちょっと人探し的なことをしてまして」


椿「人探し…ですか?」


洸「はい、テスト期間なので榎梨と竜悟の勉強をみることになったんで、負担を軽減したいな~と」


椿「……」


俺の言葉を聞いた先輩はキョトンとした表情をしている。


洸「あの…どうしたんですか?」


椿「たいしたことではないんですが…神前君、エリーのことを名前で呼ぶことにしたんですね」


洸「…まぁ、いろいろありまして…昔みたいに名前で呼んでほしいって頼まれたんです」


椿「それだけですか?」


洸「…はい?それはどういう…?」


椿「エリーと神前君がお付き合いをすることになったとか」


洸「……どうしてそう思ったんですか?」


椿「仲良しで、いつの間にか名前で呼んでいる。私の知る限りそれはお付き合いを始めた男女の通過儀礼と言うものではないでしょうか?」


洸「え~っと…それは、なにから得た知識ですか?」


椿「少女漫画や少年誌などの恋愛ものです!」


洸「……」


スッゴい自信満々に言う先輩。

その自信はいったいどこから出てくるんだろうか?


洸「…先輩って漫画とか読んでたんですね……意外です」


椿「そうですか?」


洸「はい、なんていうかもっとこう…純文学的な本とか読んでそうなイメージがありましたから」


椿「純文学も好きですよ?それに最初は嫌々ながらと言いますか…友人に絶対に読んだ方がいいと強引に押し付けられるように読み始めたんです。

それからは、自分でもびっくりするぐらいのめり込んでしまっていて…最近では漫画雑誌そのものも買っていますよ」


洸「そうなんですか。それじゃあ、もしよかったらオススメを教えて下さい」


椿「ええ、構いませんよ。それよりもなんですけど、神前君…用事はいいんですか?」


洸「ああ!!そうだった!それじゃあ先輩!俺は行きますね?」


先輩に言われ俺は目的を思い出して話を切り上げる。


洸「また、お会いしましょう」


そう言って俺は歩き出すと袖を捕まれる。

驚いて目をやると先輩がなにかを言いたげにこちらを見ていた。


洸「…えと、先輩?どうしたんですか?」


椿「神前君」


洸「…はい」


椿「時間を取らせてしまったお詫びにお手伝いしましょうか?」


洸「…はい?」


まったく状況が理解できない…さっき用事は?と聞いて送り出す感じになっていたのにいきなり手伝いたいとか、話に脈絡が無さすぎてなんか混乱してきた。

いっそのこと聞いてみるか?

そう思い、俺は先輩に聞くことにした。


洸「…先輩」


椿「はい」


洸「脈絡が無さすぎてどうしてそういう結論に至ったのか俺にはよくわかんないんですけど…よろしければ、分かりやすく説明してもらえませんか?」


椿「…?」


洸「へ?」


椿「…??…??」


ほ、本気でわからないって顔してらっしゃる!?


洸「……えと、先輩」


椿「はい?」


洸「さっき話の流れ的に俺を送り出す感じの常態だったじゃないですか。それなのに急に手伝ってくれるって言うから、どういったことを考えてるのかな~って」


椿「………?……ああ…そういうことでしたか」


ようやく理解できたと苦笑いをする先輩。


椿「えと…ごめんなさい。実はたまにこういったことがあるんです…友人にも怒られたことがあるんですよね…なぜか、言ってる台詞と行動が噛み合わなさ過ぎるって」


洸「そうなんですか…」


椿「はい…自分でも直したいと思ってはいるんですが…なんと言いますか…私は少々感情の表現が得意な方ではないといいますか…」


必死に言葉を探している様子を見るとかなりテンパッているようだ。

まぁ、話を聞いて大体理解できたけど…。


洸「え~っと…?つまり、思ってることが表情に出づらいってことでいいんでしょうか?」


椿「はい。その解釈で構いません」


他にもいろいろ聞きたいことはあるけど…まぁ、それは追々聞くとして…手伝ってくれるって言ってるしお言葉に甘えさせてもらおう。


洸「とりあえず、先輩は勉強を手伝ってくれるってことでいいんですね?」


椿「あ、はい」


洸「じゃあ、話は勉強をしながらってことで…あとは…」


勉強を手伝ってくれる人を探しに行こうと思ったけど、話し込んじゃってるし…もう、帰ってる最中かな?

そう思いながら携帯を取りだし電話を掛ける。


洸「……」


しばらく電話の呼び出し音がなり電話をかけた相手が出る。


楸『はい?どちら様ですか?』


洸「もしもし?オレオレ!」


楸『…間に合ってます』


ブツッ!ツー、ツーと電話が切られた音がしてもう一度かけ直す。

電話の主はすぐに出た。


洸「お前なぁ…わかってて電話切るってどーなの?」


楸『はぁ…めんどくさいから相手したくなかったんですけど…なんですか?面倒事なら切りますよ?』


若干怒り口調で言ってくる楠木…なんでこんなに機嫌悪いんだろうか?


洸「たいした用事じゃないんだけど…テスト期間だろ?だから勉強会でもどうかな~ってさ」


楸『必要ないです。て言うか先輩は自分が頭いいの知ってるでしょ?!』


洸「……俺は頭よくないけど?」


楸『先輩のことは言ってないですよ!!』


洸「お前さぁ、一人称が自分だからたまにややこしくなるんだよなぁ…お前中学の頃はわたし~とかウチ~とかわっち~とかアカシックレコード云々とか言ってたのに」


楸『サラッと人の黒歴史の一部を挟まないでください!!』


洸「あれ黒歴史だったのか…つーかお前元々関西にすんでたんだからウチとかでいいだろ…なんで隠すんだよ?」


楸『先輩には関係ないです!なんと言われようとも自分は行きませんからね!!』


洸「…家に来れば俺が作ったお菓子をご馳走しようと思ってるんだけど?」


楸『う…い、行かないっていったら行きません!!』


洸「おいしいミカンゼリーとかミルクプリンがあるんだぞ~」


楸『ぐぬ…ぬぅ…』


洸「新作のお菓子も用意しているんだぞ~」


楸『……い、行きます…』


俺は心のなかでガッツポーズをして家の住所を伝えてから電話を切る。


洸「これで、二人っと…あとは」


椿「…神前君?今度はどなたに掛けるんですか?」


洸「ああ、まぁ…もう一人頼れそうな人に」


携帯を操作してもう一人の頼れる相手に電話を掛ける。

電話の主は思いの外すぐに出た。


虎鉄『おう、どうした?お前の方から掛けてくるなんて珍しいな』


洸「あはは、実はちょっと手伝って欲しいことがありまして」


虎鉄『ああ、お前にはなんだかんだで世話になってるからな』


洸「…そうでしたっけ?」


虎鉄『ああ、たまにだが店を手伝ってもらってるだろう?』


洸「あ~…なるほど」


そういえば、ちょいちょい頼まれてたことがあったっけ…2~3回くらいの二時間ちょっとしか手伝った覚えないけど。


虎鉄『それで?なにを手伝って欲しいんだ?』


洸「テストが近いのでテスト勉強を」


そう言った瞬間、虎鉄さんの方で空気が凍ったような気がした。


虎鉄『なるほど…テストか…しかし、お前、なぜオレに頼もうと思ったんだ?』


洸「へ?なぜって…?」


虎鉄『自分で言うのもなんだが…見た目は完全に不良だぞ?それなのにどうして勉強ができると思うんだ?』


洸「…ちょっと、待ってくださいね?」


虎鉄『?ああ』


俺は一端耳から携帯を放し稲叢先輩の方を向く。


洸「先輩、虎鉄さんって頭いいですよね?」


椿「え?あ、はい、確かに西城君は3年生の中でもトップクラスの成績ですけど…電話の相手って西城君なんですか?」


俺は苦笑いを浮かべながら頷き携帯を耳に当てる。


洸「学年トップクラスの学力があるって教えてもらったんで、お願いします!」


虎鉄『教えてもらったって…近くにだれかいるのか?』


洸「…稲叢先輩がいますけど?」


虎鉄『っ!…なるほど、お嬢か…』


お嬢?知り合いなのは聞いてたけれど…どういう知り合いなんだ?気になる…って!今はそんなことどうでもいいか。


洸「え~っと?手伝ってもらえるでしょうか?」


虎鉄『……まぁ、いいだろう…今回は気にしないでおいてやる。

神前、少しお嬢と代わってくれないか?話しておきたいことがあるんだ』


洸「わかりました。先輩!」


椿「え、はい」


俺は稲叢先輩に携帯を渡す。


椿「えっと?」


洸「虎鉄さんが先輩と代わって欲しいそうなので」


そう言うと先輩は少々悩んだ後俺から携帯を受け取りお礼を言ってから携帯を耳に当てた。


ー視点変更 椿ー


椿「もしもし?」


神前君から携帯を受け取り電話の相手と話すと懐かしい友人の声が聞こえて来ました。


虎鉄『よう、お嬢…元気だったか?』


椿「西城君…はい、元気です…そちらもおかわりないようでよかったです」


虎鉄『ああ、おかげさまでな…ところで、神前と一緒にいるということは、お嬢も誘われたのか?』


椿「いえ、私は自分からお手伝いをしたいと思い神前君に頼んだんです」


虎鉄『…そうか、昔に比べて…だいぶ、落ち着いてきたみたいだな…』


椿「……ええ、もう3年生ですから」


虎鉄『フッ、そうか…そうだな』


椿「…西城君は昔と変わりませんね」


虎鉄『ああ、変わったのは親父の毛髪の量くらいなもんだ』


椿「ふふ、そうですか。それでは西城君あまり長話をしてしまっては、勉強会の時間がなくなってしまいますから」


虎鉄『ああ、そうだな。それじゃあ、オレは今やってる仕事を片付けてからそっちに行くからメールで住所を送ってくれ』


椿「はい、頑張ってくださいね。西城君」


虎鉄『おう!お嬢もな』


そう言って通話が終わったのを確認してから神前君に携帯を返す。


洸「先輩、虎鉄さんはなんて?」


椿「今やっているお仕事が終わり次第こちらに合流する。それからこちらにくることに伴って住所を教えてほしいとのことでした」


洸「…わかりました。それで、どうでした?虎鉄さんと久しぶりに話をしたんでしょう?」


椿「ええ、とても有意義な気分です。ありがとうございます。神前君」


洸「そう言って貰えるなら何よりです」


神前君は携帯を受け取ると少し操作をしてから歩き出す。


洸「それじゃあ先輩、いきましょうか」


椿「はい、神前君」


それから私は勉強会のお手伝いをするために神前君について行くのでした。

~楸について~


楸は洸のことを嫌っているのだが、洸の作るお菓子は好き。

中学の頃に洸と出会ってしばらくした頃にお菓子を貰ってそれ以来、洸が作る新作お菓子の味見を文句を言いつつも絶対に食べに来ている。


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