仲直りとありがとう。
ラギーに言われて洸君の所に戻ったのはいいけど…未だに洸君とは話せていない…というより、話すきっかけがない。
榎梨(できれば二人っきりで話したいんだけどなぁ…)
竜悟君と一緒に行動してるからなかなか捕まえられない…。
そんな事を考えているうちに二日目に泊まる宿泊施設についてしまった。
初日と違って今度は男女別々の部屋だから会う機会も少なくなるし…どうしよう。
柊「榎梨ちゃん、洸ちゃんと話せた?」
ラギーが心配そうな表情を浮かべながら聞いてくる。
榎梨「いや、全然…て言うか竜悟君が邪魔でどうしたものかと思ってね…」
竜悟「宮もっちゃん今俺っちのこと呼んだ?」
榎梨「呼んでない…て言うかなに?なんかよう?」
若干怒り口調で聞くが竜悟君はいつもと変わらないテンションで話す。
竜悟「ん?用件は今夜裏の山道で肝試しをやるから参加するように伝えろ~って霧ちゃん先生が言ってたから伝えに来た」
柊「肝試し…」
ラギーは肝試しと言う単語に目を輝かせている。
僕は正直乗り気じゃないけど…。
榎梨「洸君は?」
竜悟「洸もちゃんと行くぜ?めっちゃ渋ってたけどな~」
洸君が行くなら…参加しようかな…ていうか今さらっと流したけど竜悟君が洸君を下の名前で呼んでるし…。
竜悟「ちなみに、クラスの何人かが脅かし約になる予定だから」
柊「それってもう決まってるの?」
竜悟「いやまだだよ?後でくじ引きして決めるんだってさだってさ。そんで男女ペアになって社の所にある霧ちゃん先生が用意したメダルを取って戻ってくるってやつだよ。ああ、わかってると思うけど男女ペアもくじ引きで決めるからそこんとこ、よろしく!」
そう言って走り去って行く竜悟君。
また別の誰かに伝えに行くようだった。
榎梨「…それにしても、肝試しか…」
柊「榎梨ちゃん?どうかしたの?」
榎梨「いや、高校生にもなってやることかな~って思ってさ~」
柊(榎梨ちゃん…声震えちゃってるけど…言わない方がいいよね…)
それから、夜食とお風呂を終えて肝試しを行うために外に出ると洸君と竜悟君が先に待っていた。
洸「お、来たか」
竜悟「あれ?加藤ちゃんは?」
柊「怖いの苦手だから遠慮するって」
竜悟「そっか~…まあ、人数的には問題はない…はずだから……ないよな?洸」
洸「俺に聞くなよ…そういうのって普通は発案者に聞くもんだろ?」
竜悟「発案者って…霧ちゃん先生?」
洸「なんで疑問系なんだよ…」
霧香「お前ら~くじ引きするから、さっさとこっちこーい!」
先生に呼ばれて集まりそれぞれくじ引きをした結果…僕と竜悟君が脅かし役で洸君とラギーはペアになっていた。
洸「柊とペアか…」
柊「洸ちゃんとペアになれて良かったけど…脅かし役…やってみたかったな~」
榎梨「もしかして…ラギー怖いの平気な人?」
洸「平気どころか…週に5回はホラー映画観るくらい大好きだな…」
竜悟「マジで⁉」
霧香「君たち話してないで、さっさとこっち来な」
洸「あ、はーい!それじゃ行くか」
榎梨「あ、洸君…」
洸「ん?どうした?」
榎梨「あ、えと…」
どうしよう…引き留めたはいいけど、なにを言っていいのかわからない…。
洸「…宮本?」
榎梨「…ごめん…やっぱ…なんでもない…」
洸「…そっか…それじゃ、いこうか」
榎梨「…うん」
洸君はなにも聞かない…いや、わかってる…彼は昔から優しいから…必要以上になにかを聞いてくることもない。
榎梨(だからかな…洸君と少し距離を感じるのは…)
それから、お化け役の生徒たちが山道の中に入り
スタンバイを始めていく。
竜悟「それじゃ、宮もっちゃん!俺っちは入り口近くでスタンバってるから、社近くの方よろしくな~!」
榎梨「え?!ちょっ!?竜悟君?!」
竜悟「それじゃ~な~」
榎梨「…ど、どうしよう…」
正直誰かと一緒に驚かすのかと思ってたのに…。
榎梨「う~…お化け役なら怖くないと思ってたんだけど…」
思った以上に薄暗くて気味が悪い…。
榎梨「…でも、頑張らないと…だよね…」
そう思いながら僕は準備を始めることにした。
ー視点変更 洸ー
霧香「はい次のペアさっさと行ってこ~い!」
洸「…ふぁ…あぁ~」
柊「洸ちゃん…眠いの?」
洸「ん?いや、なんつーか…待ってんの飽きてきたな~っと思ってな」
柊「洸ちゃんってくじ運いいほう?」
洸「…どちらかと言えば…いいほうかな?寺でくじ引いても大抵大吉しかでないし…」
柊「じゃあ、今度は悪い方にくじ運が働いちゃったんだね…」
ジト目で俺を見てくる柊に俺は苦笑いを浮かべながらふと、あることを思い出した。
洸(…そういえば…宮本ってお化けとか苦手じゃなかったっけ?)
そうだ、宮本はお化けが大の苦手だった。
洸(……あいつ、お化け役とか引いてたけど…)
なんか心配になってきた…はやく順番まわってこないかな…。
そう思いながらそわそわしながら待っていると……
「&¥%◆■#♯★●%※▲#@%▼■●▲&□!!!(声にならない叫び)」
洸「っ!?まさか…」
声を聞いた俺は思わず走りだし山道の中に入っていく。
霧香「…なんだぁ?今の声は?…て、コー!?おーい!」
暁先生の声が聞こえたが、俺は構わず走っていく。
洸「っ!竜悟!!」
山道に入ってすぐに竜悟を見つけて声を掛ける。
竜悟「おっ!う~ら~め~し~…」
洸「お前、宮本がどこにいるかわかるか!?」
竜悟「うおぅっ!?!ちょっ?!少しは驚くとか…」
洸「そんなのどうでもいい!宮本は?!」
竜悟「え?宮もっちゃんなら…社の所でスタンバってると思うんだけど…?つーか洸!やっと名前で呼んで…」
洸「社っつーとメダルとるっつーとこか…サンキュっ!!」
竜悟「そういや、叫び声みたいなのがきこえてたっけ…って、え?おい!洸!?」
それから俺はしばらく走り社の場所まで到達して辺りを見渡す。
洸「はぁ…はぁ…はぁ…宮本は…どこにいるんだ…」
こう暗いといろいろ見えづらくて困る。
俺はどちらかと言えば夜目が効く方だが…辺りには人の気配がない。
洸「…あいつ……まさか、奥に入っていったんじゃないだろうな…」
そう思っていると近くに看板があり、そこにはこう書かれていた…"熊出没注意"と…それをみた俺は急いで奥に入ることにした。
ー視点変更 榎梨ー
榎梨(ど、どどど、どうしよう…)
僕は今、木の上にいた。
榎梨「なんでこんなことに…」
まさか…熊と遭遇して驚いた拍子に自分が持っていた蒟蒻が首筋に当たって変な叫び声をあげながら走っているうちに気がついたら木の上に…しかも、熊が追いかけて来てて木の下にいるという絶望的状態。
榎梨「これじゃあ、降りるに降りられない…」
どうやって降りようか悩んでいると遠くの方から声が聞こえてくる。
洸「おーい!宮本ー!!どこだー!!いたら返事しろー!!」
榎梨「洸…君…?」
声がする方に目を向けると洸君がすぐそこまで来ていた。
熊は洸君に気づいたのか彼のいる方に顔を向けている。
榎梨(……どうしよう…このままだと洸君が熊に…)
熊「グルルッ…」
熊は体を屈めて今にも洸君に飛び付こうとしている。
洸(…?なんだ?なんか妙な気配が…するな…)
熊「グオァッ!!!」
熊が洸君めがけて飛びかかり僕は咄嗟に叫んだ。
榎梨「洸君!!避けて!!」
洸「へ?うおっ?!」
熊「グオオオォォォォオオォオォッッッ!!」
僕は思わず目を瞑った。
鈍い音が鳴りもしかしたら洸君が熊に…そう思うと怖くて目が開けられなかった。
榎梨(どうしよう…もし目を開けて洸君が倒れていたら…怖い…怖いよ…)
僕は目を瞑ったまま木に顔を擦りつけるように木に掴まっていた。
すると声が聞こえた。
「おい?おーい?聞こえてっかー?」
恐る恐る目を開き下を見るとそこには洸君が立っていた。
榎梨「洸君…?なんで…?」
洸「お前を探しに来たんだよ。心配させんなこのアホたれ」
榎梨「いや、え?あれ?熊は?」
洸「熊?それならあそこでノビてるぞ?」
榎梨「洸君…熊を倒したの?」
洸「倒せるわけねぇだろ…飛びかかって来たのを避けたら木に激突して勝手に気絶したんだよ」
榎梨「…そう、だったんだ…」
洸「そんなことよりさっさと降りてこいっつーか降りてこないと俺が目のやり場に困る」
榎梨「目のやり場?」
洸「…お前…スカート履いてるだろ?正直俺がいる位置だと…その…パンツが…」
榎梨「嘘っっ!!?!?!?ちょ?!洸君!!今降りるから絶対こっち見ないでよ?!」
その後、僕は木の上から降りようとしたけれど腰が抜けてしまっていて仕方なく洸君に下ろして貰った。
ー視点変更 洸ー
宮本が腰を抜かしたらしく宮本を背負いながら山道を降りていた。
その際に宮本は項垂れていた。
榎梨「うぅ…パンツ見られた…」
洸「えっと…まぁ…その…どんまい?」
榎梨「どんまいじゃないよ!!なんでパンダが書かれたお子様パンツを履いてるときに見られなくちゃいけないの!??」
洸「…パンダなんて書いてあったのか?つーか、それを聞かされて俺にどうしろと言うんだ…」
榎梨「あれ?もしかして墓穴掘った感じ?」
洸「…多分?」
榎梨「っ~~!!!!」
洸「ははは…」
顔を赤くしながら背中で暴れている宮本を落とさないようにしながら俺は来た道を戻っていると宮本が俺に聞いてきた。
榎梨「洸君はさ…どうして…僕のいるところに来たの?」
その言葉は二重の意味を持っている気がしたが俺は
どうして山道の奥の宮本のところにいるのか理由を話すことにした。といっても大層な理由じゃないけど…。
洸「お前…昔お化け屋敷に入って泣いたことあっただろ?」
榎梨「泣いてないもん…」
宮本が即座に否定するが構わず話を続ける。
洸「…それ以来暗いところに一人でいるのが怖いって言ってたのを思い出してな…そんでそれ思い出した瞬間にお前の声にもならない叫び声が聞こえてきて心配になったっつーか…」
榎梨「…そう…だったんだ…」
洸「まぁ、多少怖がりが直ってきてるみたいだけど…やっぱり気になってな…気がついたら山道の中に走ってた」
榎梨「……」
洸「?宮本?寝たのか?」
榎梨「寝てないよ…洸君ってさ…損な性格してるよね?」
洸「そうか?」
榎梨「うん…だから…さ、僕は洸君が怖いって思っちゃったんだ…」
洸「怖い?」
榎梨「うん…僕が苛められてたとき、助けてくれたことあったよね?」
洸「…ああ、あったな…」
たしか上級生が4、5人くらいでよってたかって宮本を囲んでいた時だっけ。
榎梨「あのとき、洸君が僕を助けてくれた姿を見てとても怖く感じたんだ…」
洸「…で?」
榎梨「へ?」
洸「俺がお前を助けた姿を見て怖いと感じたのはわかった…だけど、それがどうしたんだ?
つーか、最近若干避けられてると思ったらそんなことかよ…アホらし」
榎梨「あ、アホ?!ちょっと洸君!!僕がどれだけ悩んでたと思って…」
洸「んなもん知るか!お前が勝手に怖がってるだけだろうが!心配して損したわ!!」
榎梨「んな!?なにその言い方!!僕の気持ちも考えてよ!!」
洸「うっせー!うっせー!!大体お前には言われたくないんだよ!ここ2日間避けられたこっちの気持ちの方を考えろ馬鹿!」
榎梨「馬鹿って言った方が馬鹿なんですー!!バーカバーカ!!」
洸「……で?今の俺は、怖いか?」
榎梨「え…?」
洸「昔の俺がどうだったかなんて知らないし今言われてもどうしようもできねーよ…でも、今の俺がどう移ってるかなんてお前しかわからないことだろ?」
榎梨「…洸君……台詞がキザっぽくてクッサいよ?」
洸「っ?!お前なぁ!!」
榎梨「…でも、そうだね……昔より、今の方が格好いいよ。洸君」
洸「…っ!!」
榎梨「あ!洸君赤くなってる♪かっわいい~♪」
洸「う、うう、うっさいわ!!」
榎梨「あはは!…ねぇ、洸君」
洸「…なんだよ……」
榎梨「僕のこと…名前で呼んでくれないかな…昔みたいに」
洸「…なんで?」
榎梨「そうだね~…強いていうなら付き合いが短いはずのラギーを名前で呼んでるのに昔馴染みの僕が苗字で呼ばれるなんて、なんか不公平な感じがするし」
洸「なんだよそれ?」
榎梨「いいから、いいから!で?呼んでくれるの?」
洸「…まぁ、それぐらいならべつに……」
榎梨「それじゃあ、早速呼んでもらおうかな~♪」
洸「うえっ?!今からか?!」
榎梨「とーぜんでしょ~♪」
洸「…わかったよ…それじゃあ、もう俺のことは怖くないんだな?榎梨」
榎梨「っ!!!」
洸「へ…?」
俺が名前を呼んだ瞬間宮本…じゃなかった、榎梨の顔が真っ赤になった。
洸「おい?どうしたんだ?榎梨?」
榎梨「ちょ、ちょっとタンマ!!」
洸「なんだよ…もしかして、呼ばせといて照れちまったとか?」
榎梨「っ~~~!!!!!」
図星らしい…まったくこいつは…本当に昔からあんまり変わらないな…。
洸「どうする?呼び方戻すか?」
榎梨「いや、いい…なんかここでやめたら負けた気がするし…」
洸「なににだよ…」
俺は苦笑いを浮かべながら山道の入り口にたどり着き、その後暁先生にこっぴどく叱られた。
最終的に理由を聞かれた俺は山道で熊に出会したと報告してそこで肝試しもお開きとなったのだった。
柊「榎梨ちゃん…良かったね」
榎梨「ラギー…うん、ありがとー」
柊と榎梨がなにかを話していたけれど俺は話の邪魔をしないように部屋に戻り2日目の夜が過ぎるのだった。
~3日目~
榎梨「洸君!!お土産買ってこーよー!」
洸「……」
昨日の一件以来、榎梨は憑き物が落ちたように晴れやかな表情をしている。
榎梨「洸君?どうしたの?」
洸「いや、なんでもない。お土産買っていくんだろ?さっさと選ぼうぜ?」
榎梨「うん!」
洸「柊~お土産買うぞ~」
柊「あ、ちょっと待って」
どこかに連絡していたのか携帯をしまってからこちらに来る。(多分命さんだろうけど…)
お土産を選び終わり最後に各所をまわり俺たちの修学旅行は終わりを迎えた。
そんな帰りのバスの中ではみんな疲れて眠っている。
竜悟「なぁ、洸…起きてるか?」
洸「どうした?」
竜悟「修学旅行…楽しかったよな~」
洸「…そうだな」
竜悟「…宮もっちゃんがらみの悩みごとは解決したみたいだな…洸」
洸「気づいてたのか…」
竜悟「そりゃあな、数ヶ月とはいえ、俺っち的にはかなり仲良くなったつもりだしそれぐらいは気づかないとな~」
洸「…確かに、なんだかんだいってお前とは結構一緒にいるからな…」
竜悟「お!認めちゃう?俺っち親友的ポジションなのを認めちゃう感じの流れか?」
洸「そういうところがなかったらな」
竜悟「ちぇー…」
洸「まぁ、礼だけは言っとくよ…サンキューな竜悟」
竜悟「おう」
そうして、俺もバスの中で眠ることにしたのだった。
洸の弱点?
洸はじゃんけんがすごく弱くなぜだかどんな相手であっても負けてしまう。
本人は勝負事はかなり強いのだがじゃんけんだけ絶対に勝てないと語っている。




