小説家になろうのジャンルが再編成されるらしいが、それで良くなると思えないのは自分勝手な作者達のせい
ある日のことだ。自分はヤンデレを探し求めてなろうに居た。
検索欄に「ヤンデレ」と打ち込めば目の前にはユートピアが……広がっていなかった。そこそこの頻度で「乙女ゲームに転生しました。あ、これヤンデレ居るヤバいやつじゃん。こっち来んなあああ」という代物が混じっている。
即座に除外欄に「恋愛」と打ち込んだが、ジャンルは検索対象外らしく全く消えてくれなかった。そもそもヤンデレとのラブストーリーが読みたいのに「恋愛」を除外するというのも変な話だ。
どうにかして狙ったとおりに除外したいところだが、「乙女」では「戦乙女」が巻き添えを食らうし、「悪役」ではピカレスクロマンがハブられる。
試行錯誤の末「令嬢」と打ち込めばそれなりの精度で一網打尽に出来ることが分かったが、これはこれで誤爆がありそうだ。
これがヤンデレ小説だけだったからまだ楽だった。ざまぁ系や婚約破棄モノが存在しないから。全体からの検索ならば並大抵の苦労ではないだろう。
そんな惨状を見て、こう思わずには居られなかった。
キーワード統一しろよ。
今度のジャンル再編成では総合ランキングは現状維持で、ジャンル別ランキングから異世界転生が除外になるらしいが、冷静に考えてみればこれはおかしな話だ。
セカンドランキングはどうした。
瀕死状態なのは見れば分かる。タイトルに婚約破棄とある作品はどう見てもテンプレだが、それでもセカンドランキングに残れているのだから。
これがいつものことなのかは分からない。最近セカンドランキングなんて覗いていなかったから。
なんせ夏の更新で除外検索の簡易化と期間を指定したポイント検索が可能になったのだ。機能していないセカンドランキングになど用は無い。これからは自分好みのカスタムをしたランキングの時代だ。さあ、ヤンデレランキングよ!
そんなふうに考えていた時期が自分にもありました。
結果は冒頭の通り。セカンドランキングのために運営は最大限の努力をしていたのだろう。報われなかっただけで。
男子は良くも悪くも単純だからチートで俺TUEEEEしてチヤホヤされる小説しか書かないし読まないが、女子は「乙女ゲームにおける悪役に引導を渡すシーン」という題材をどのように調理するかにシフトしつつある。
悪役となってそれを回避するよう動くも良し、いっそ開き直って自由に生きるも良し、傍観者として論理的な突っ込みをしても良し、脳内お花畑共に道理という物を分かりやすく提示してやってざまぁと罵るも良し……
そういった発展を遂げたことは十分に褒められるべきことだと思う。だが、新たなジャンルの開拓であるためにキーワードが定まっていないのは大問題だ。「乙女ゲームだから『恋愛』だよね!」という考えになる人間には頭を冷やせと言いたい。
特にざまぁ系。異世界人が主人公をやっているときもあるから転生で除外検索してもしつこく生き残ることがあるのは何の嫌がらせか。
ましてや今では「文学」すらも乙女ゲームに染まっている。どこが文学なのか……いや、文学は幅の広い言葉だから間違いではないだろう。「男共が絡み合っている……『哲学』だな」という考えと同じぐらい間違いではない。
まあ、正解でもなかったようだが。「文学」が廃止されて「ヒューマンドラマ」が追加されることからそのことが伺える。運営が「文学」に欲しかったのはそういうものだったのだ。
ちなみに、「哲学」の件は動画投稿サイトであるニコニコ動画で実際に有った事例で、そういう動画群は今では「例のアレ」というジャンルに入れることが推奨されている。どこか小説家になろうの「異世界転生/転移」を彷彿とさせる話だ。
だが、小説家になろうとニコニコ動画の間には決定的な違いが幾つか有る。
ニコニコ動画のタグは投稿者が固定することも出来るが、基本的に視聴者が付ける。ついでに言うと画像投稿サイトであるpixivも似たようなものだ。
「過剰埋没動画」「クールなミクうた」などの閲覧者の主観に頼ったタグや、「ニコニコ幻想狂気リンク」「僕の見つけた真実はレイマリ」のようなマイナージャンルを示すタグもそれが好きな人が付けているから数が多い。
男共が絡み合っている動画には元々「パンツレスリング」というマイナージャンルがあり、「哲学」という大ジャンルでの存在が問題になった際にはパンツレスリング専用のタグが付いている動画を「例のアレ」に移せば事足りた。
ところが、なろうではどうか。作者が付けたいキーワードを付けたいように付けている。
ジャンルを多数横断しているせいで選別が難しいのに加え、「読者が読んでこう思う」ではなく「作者はこう思って書いている」あるいは「これをアピールしておけば伸びる」という思考でキーワードが付けられる。
自分の作品を「過剰埋没」なんて自画自賛するバカはいないし、マイナージャンルは存在を忘れ去られ絶対数が少ない。チートと言えば読んでもらえるからこの作品はそこまででもないけどとりあえずキーワードとして設定しておく。ハーレムをキーワードに入れてないけどあらすじ見ればハーレムだって分かるだろ。
こんな有様を正確に整理しろと言われても、それは無理だろう。
まともに機能しているキーワードがただでさえ少ないのに加え、統一された基準がないから表記ブレで除外なんて事態が起こりやすい。
ニコニコ動画を見てみればニコニコ大百科というサイトが有って、タグの横のボタンを押せばそのタグの説明が読めるようになっている。その記事名が正確な表記だからこれに従っておけば間違いはない。pixivもこれに同じ。
チーレムなり乙女ゲームなり婚約破棄なりに対応したキーワードを作家達が自主的に統一していれば、セカンドランキングはちゃんと機能し、検索もしやすかったはずだ。今回のジャンル再編成も起こらなかったかもしれない。
誰か小説家になろうキーワードまとめ非公式wikiでも作ってくれないものか。
個人の作品の設定資料集をバラバラにまとめている暇があったら多くの作品の共通項をまとめた方がよっぽど有益だろう。あのwikiの存在意義が何なのか未だに分からない。
小説家になろうは作家達のコミュニティーサイトのくせして個人個人が独立しすぎている。
勉強の息抜きにでもキーワード案でもまとめておこうか。
言い出しっぺが何もしないのは流石にアレだろう。