親友の努力
親友が教えてくれた携帯サイト。
入力フォーム以外なにもない携帯サイト。
そこにはただ一言だけ・・・
【あなたの殺したい人を入力してください】
私は三人の少女達からいじめに遭っていた。
物を隠されたり、教科書に落書きをされたり。
そんな毎日行われていたたわいもないいじめ。
それがエスカレートするのに、たいして時間はかからなかった。
金品の要求、万引きの強要、そしていわれのない暴力。
日に日に凶悪さを増すいじめ。
私は毎日助けを求めた。
でも周りは私に無関心を決めた。
私は毎日死にたい思った。
でも死ぬ勇気がなかった。
そんなある日、一通のメールが届いた。
隣の町に引っ越した親友からの久しぶりのメールだった。
「この呪いのサイトって知ってる?」
近況報告すらない短文とURLだけの短いメール。
教えられたURLをクリックしてサイトにアクセスする。
画面上に表示された、シンプルで物騒な入力フォーム。
「ははっなにこれ?」
子供だましで稚拙なサイトの作りに失笑する。
これが親友からの久しぶりのメールなのかと思うと、自然に涙が出てきた。
「殺したい人・・・か」
私はいじめのリーダー格の女の名前を入力した。
翌日、学校に登校するとリーダー格の女が首を吊った事を知った。
「まさか、偶然でしょ」
私は再度サイトにアクセスして名前を入力した。
二日後、リーダー格だった女の取り巻きが水死体で発見された。
「本物だ・・・」
私は怖くなった、でももう止められない。
私は再度サイトにアクセスし、最後の一人の名前を入力した。
次の日、その女はビルの屋上から飛び降りた。
あれから一週間が経った。
私をいじめる人間はもうこの世にはいない。
しかしなぜだろう、私をいまだに恐怖感が襲ってくる。
私はその理由を考えた。
「簡単だ、私が人を殺してしまったからじゃないか」
安易に三人もの命を奪った自分に怖くなったのだ。
そして、そんな殺人鬼がいまだに生きているのが怖いのだ。
「死んでしまおう」
私はサイトにアクセスして最後の入力をした。
自分の名前を・・・
サイトのブックマークを消去しベッドに横になる。
「明日には死ねるかな?」
私は不安と後悔と罪悪感に苛まれながらそっと目を閉じた。
次の日はやってきた。
部屋に鳴り響く目覚ましのアラーム。
ふと気がつくと、携帯に親友からのメールが届いていた。
内容は一言だけ。
「馬鹿な考えはよしなさい」
わりと真面目に犯人がわからないと言う方のために
携帯サイトを作った人=親友
携帯サイトに入力された名前の行き先=親友
つまりいじめ少女を殺した犯人=親友