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紫のモビルスーツ



胃が痛い。


緊張する。



しない方がおかしい。

生活指導の先生に話しかけるのも怖くて緊張したのに。今回は校長先生以上に失礼なことしちゃいけないのよ?


……っていうか身体中痛いし緊張するしドレス動きにくいしで、ロボットみたいになってるよ…。

私の醜態は、素晴らしい絵画や置物、花が飾られた綺麗な廊下には不釣り合いすぎる。

唯一、このドレスだけが馴染んでいると言ってもいい。


ギコギコと歩く私の前をスタスタ行くモップ頭は、ふと振り返り、暫しの間私の無様な姿を眺め、そして鼻で笑った。


「ダストは止めてブリキにするか。」

「っ~~せめてガン●ムって言って!!」

「は?」

「日本の最高傑作ロボよ。」

「…意味わかんねぇが、お前は最高傑作ではないからブリキで十分だろ。」



最悪なことに、メイドであるポプリは部屋で待機しなければならないらしい。

何でよ…こんなやつと二人きりで話さないといけないなんて、最悪。

それに歩くの早いし、足長いし腹立たしい。



「おい、王の前ではちゃんとしろよ?俺を呼ぶときもちゃんと名前でな。」

「……………何だっけアンタの名前。」

「ゼルディ様。ゼル様でも可。もしくは月夜の貴公子。」

「ブッ!?なによそれ、月夜のっ…ブフッ貴公子っ…あははっ!アンタなんか天然ワカメで十分よ…フフフ、ヤバいツボッた…あははっ」

「天パを馬鹿にすんな。謝れ全世界の天パに。」

「あはははは!!」

「おい聞いてんのか、そしてちゃっちゃと歩けノロマ。」

「ちょ、まって、お腹、お腹いたいっふふふ!!」



長い入り組んだ廊下や階段を歩きながら、やっと荘厳な扉の前に着いた。


王の間の入り口までには何とか笑いがおさまったが、笑いすぎて顎が痛い。

痛いとこが増えた、どうしてくれるんだ。

本当、さっきまでの胃の痛さなんか比じゃない。



そんなことを考えながら、頬っぺたをゆるゆると揉んで表情筋を柔らかくする。

面接試験の時みたいだなぁなどと、ふと思い、目を瞑る。

高校入試は弓道の特待生。筆記試験よりも面接練習を頑張ったのが記憶に新しい。



目を開けても私の世界だったものは、今はここには無いけれど、思い出があるんだから大丈夫。


月夜の貴公子殿は、そんな私に何を言うでもなく静かに待ってくれていた。



「…準備できたのかよ?」

「………うん。」




…やっぱり気を使ってくれてたんだ。

ふざけた態度もきっと、私の緊張を和らげるためだったんだろうなと思う。


…………まぁ、なんだ…その、うん。



「ありがと。」

「あ?」


「アンタのおかげで緊張解れた。ありがとう。」


その言葉と同時に煌めく光がドアの縁を飛び散り、大きな扉が開く。

その様子で魔法で扉が開いたのかと分かる。

多分、人が来たら開くようになっているのだろう。



一歩前に、足を運ぶ。

少し後に続くアイツは、静かに付き従っている。

公私の区別がついた、完璧なオンオフだ。

さすが、騎士団第一部隊隊長。

絶対言ってやんないけど。




顔を見ては言えなかったが、お礼はちゃんと言った。


アイツがどんな顔してその言葉を聞いたのかは分からないが、まぁ得たいの知れないものでも見るかのごとく目をかっぴらいていたことだろう。









まだ笑えるだけの心の余裕はある。



…………さぁ、聴こうじゃない。




私なんかを喚んだ理由を。






読んでくださりありがとうございます。


書ける今のうちにupしなければというかんじ焦りながら書いてます。(笑)


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