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 その言葉に思わず息を呑む。世界が書き換えられるなんて話、急に信じろと言うのがまず無理だ。


「本の中の世界と言うのも、もう一つの世界なんだよ。ライトノベルとか、童話、自伝でも例外じゃない。例えば…こういう風に書き換えられたら、この話はどうなる?」


 クライムが一度指を鳴らすと、一冊の本が現れ、俺の手元に降りてきた。目線で促されて本を開く。中に載っていた話は、かの有名な『赤ずきん』だった。


「概要は知ってるよね?赤ずきんって女の子が、お母さんに頼まれておばあちゃんのところに料理を持っていく」

「で、腹空かせた狼に二人とも食われちまって、たまたま通りがかった猟師の人に助けてもらう話だろ。そんなもん、今更言われなくても知ってるって…」


 読んでいくうちに自分の知識が不安になっていく。この載っている内容は―


「『明らかにおかしい』でしょ?」


 先んじて言われてしまったが、全くもってその通りである。この話は、狼が善人っぽく花畑に誘導する。その後、狼はおばあさんの家に行っておばあさんに化けて、赤ずきんのことを待ち伏せる。その流れがいきなり崩れている。何せ、赤ずきんがそのまま日が暮れても花を摘み続けているからだ。


「これじゃ、話が成り立たないだろ!破綻してやがる!」


 思わず怒声を上げてしまうが、クライムはそれを分かりきっていたかのように正面から受け止めた。


「よかった、そう思ってくれて。でもね、今の状況だと、キミの方がおかしいんだよ」

「…どういうことだ?」


 思ってもいない言葉に思わず呆然とする。


「書き換えられているって言ったでしょ?つまりは、今この状況下でこの話が正しいのが当たり前なんだよ」

「…笑えないな。一体どういうことだよ…」


 頭を掻いてみても解決にはこぎつけないが、とりあえず頭を落ち着かせる。落ち着いたころを見計らってクライムが口を開いた。


「これを、時空間を超えて修正するのが、キミの友達の要くん。他にも何人かいるんだけどね。説明してたらキリが無いし。」


 そこで一度区切り、俺の手元にあった本を再び宙に浮かせる。


「ま、論より証拠だよね。とりあえず実際にこの話を見てもらおうか」

「は?おい待て、こっちはやるとは一言も言ってな「いざ開け、虚空の穴」


 言葉を遮り、何やら詠唱を始める。あからさまに何かの力でページが凄まじい勢いで捲られていく。何とかして止めたいが体が凍り付いたように動かない!?


「開くは断罪の扉。我が名はクライム。罪の名の元に時空を超えん」


 そう結んだのを最後に、部屋が光に包まれ、その光の洪水の前に、なすすべなく俺は意識を失った。


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