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「まさか本当にこんな状況になるとは思わなかったぜ…」
あの後掃除を終え、一人でゲーセンに行く気にもならなかったから帰っていた。あともう少し行けば家だと言う所で、邪魔が入った。
確かにさっきの予言は当たっていた。場面は帰り道。眉間の辺りに照準を合わされている拳銃。ただし、持っている相手。それだけが、俺はどこか腑に落ちなかった。
「ねえキミ。ちょっと時間いいかな?」
銃を突き付けているのは人以外の何か。恐らく一番表現として正しいのは――妖精。
「ねえ。何か言ってくれないと、こっちは交渉の進めようが無いんだけど?」
「世間一般じゃ、この状況は交渉じゃなくて『脅し』と言うのだが?」
改めてこの状況で相手の姿を確認する。体長は大きく見積もっても精々二十センチがいいところ。何故銃が持てるのかが謎でしょうがない。次いで状況をよく見る。周りには何人か通行人が通っていたが、この小さい奴には誰一人気が付いていない。
「あ、なんか周り見ているみたいだけど、ボクの姿はキミにしか見えてないからね」
…なんてことだ。思っていたことがばれてしまった。
「…え~と、困っているので助けて下さい」
「その台詞、そっくりそのままお前に返してやる」
一体どういう了見だ。何で銃を突き付けてる奴が助けをこの状況で求められるんだ?
「困ったな。このままだと手伝ってくれそうにないよね…」
「ああ。第一印象は最悪だからな」
そう吐き捨てるように言うと、向こうは何かを考えた後、表情を明るくして言った。
「キミの友達、要凌に関わる話だよ」
「…どういうこ―」
ここまで言って慌てて口を塞いだ。このままだと確実に面倒事に巻き込まれる。が、もうそれは遅かった。向こうは満面の笑みを浮かべている。
「どうやら興味を多少なりとも持ってもらえたみたいだね」
スッと銃をどこかに消し、他人を迎えるかのごとく両手を大きく広げた。
「ボクの名前はクライム。キミの名前は?」