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偽り屋の本音  作者: 高浦
12/12

秀夜の鬱屈

(陸Side)




放課後。

部活がある為、俺は秀夜と一緒にテニスコートへ向かっていた。


璃成は「今日部活なくなったんだよねー…台本出来るまでないらしくて。って事でまた明日ー」と言って、早々に帰ってしまった為、二人なのである。



秀夜が新作ゲームか何かについて語っているのを耳に入れつつも、俺は朝の事を思い出していた。



俺には、秀夜の事も璃成の事も理解出来なかった。


秀夜が…あの秀夜が(.....)まさか笹森麗羅と付き合う何て…それだけでも信じられなかったのに、秀夜の笹森へ対する態度。

秀夜は好き嫌いがハッキリしている。笹森が嫌いなら付き合って等いない筈…なのに、何故付き合いつつも冷たい態度で接するのか。


璃成も璃成だ。

璃成は恐らく秀夜が―



「って、おい陸?

何処に意識飛ばしてんだよ」


「ふぇっ?

…ああ…ごめんね」


「何だー、悩み事か?

……はっ…!もしかして白井の―」


「違う違う違う違う違う違う違う!違うから!」



否、確かに最近真希ちゃんの事が誰にも相談出来なくて一人で悩んではいたけど!

でも違う!



「慌ててんのが逆に怪しいな…まー良いか

つーかよ、最近どうなんだ?その辺の事は」


「別に何も進展ないよ!

会話すら出来てませんー」


「会話くらいは頑張れよ!

メアドも知ってんだろ?」


「知ってるけど…さぁ」


「ま、何にせよ本当に頑張れよ!?

応援してっからな!」


「う、うんー…

…と言うか…秀夜こそ笹森とどうなの?」


「…は?」



明らかに不機嫌になる秀夜。


可笑しい。やはり何かある。

秀夜は確かにツンデレ気質ではある…が、好きな人の話題を出した時は、いつも顔を真っ赤にして叫んでいた。

なのに、今はどうだ。

笹森や秀夜の恋愛事情に関する話題を振ると、いつもとは一転した冷たい目になる。


秀夜が本気で怒る時でも、こんな冷たい目はしない。


一体笹森と何が…?



「…ねぇ、秀夜…」


「…わり

あんま、麗羅の話題出さないでくれね?」


「うん…ごめん」


「いや、良いけどよ」



そう言って訪れる沈黙。

非常に気まずい。


と言うか、麗羅の話題を出されたくない…と言うのが理解出来ない。



「…ッあー!駄目だ!

おい陸!放課後暇か!?」


「えっえっ!?

ひ、暇だよ…?」


「よっしゃ、じゃあ今日璃成ん家押しかけんぞ!」


「えええ!?

何でそうなるの!?」


「決まってんだろ!

明日から土日だし、オールナイトゥだよ!」


「意味分かんないよ!?」


「良いだろ久々に!


…少し前までは、璃成ん家に泊まって…三人一緒に、遊んでたじゃねーか」



先程までの勢いがなくなり、苛立ちと寂しさとが入り交じった様な声で話す秀夜。


久々に見る、秀夜のこんな表情(カオ)何て。

久々過ぎる所為で、以前以上に戸惑い、つい―



「…秀夜…泣くなよ?」



何て悪態をついた。



「ばっ…泣かねーよ!泣く訳ねーだろ!


とにかくだ!

今日は三人でオール!命令だぞ!?」


「…っはは、うん、良いよ

久々に…ね?」



俺は、俺等が璃成の家へ押し掛けた時の璃成の反応を思い浮べつつ、少し低めの声で囁いた。

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