06
「お前、今どこにいんの?」
「今? マシューの家」
「オンナは?」
「友達と遊ぶっつってたけど」
「お前のオンナ、他の男と歩いてた」
「は? どこで?」
「ホテル街。今さっき」
「見間違いじゃねえの?」
「男の腕組んで目の前歩いてきて、オレ見て顔隠したんだぞ。決まりだろ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうしたの? こんな時間に。雪、降ってるのに」
「お前、浮気してんの?」
「───」
「してんのかって訊いてんの」
「してない! そんなこと、するわけな──」
「ダチが、お前が他の男と楽しげに歩いてるとこ、見たっつってんだけど」
「──人違いでしょ」
「お前、顔隠したっつってた」
「そんなの──」
「ロック解除して、携帯電話見せろ」
「──ごめん──」
「それ、認めたってこと?」
「ごめんなさい──」
「泣かなくていいから見せろって」
「もう絶対、しないから──許して───」
「信じろっての? 携帯電話見せないのに? お前、俺のは何回見たわけ? それで俺が見せろっつっても見せないんだよな? 意味わかんねえんだけど」
「お願い──」
「もういい。別れる」
「──やだ! 別れたくない!」
「無理。だってお前、携帯電話見せねえもん。見せないんなら別れる」
「見せる! 見せるから──」
「早く。解除」
「──はい」
「──さすが。ロックはしてても一応、削除はしてるわな。怪しいやつのみ。──けど、宛先履歴までは削除してない」
「──え?」
「──登録してないアドレスがやたらあるんだけど。なにこれ」
「なに──言ってるの?」
「メール打つ時、宛先決めるだろ? どの宛先にメールを送ったか、その履歴が残る。俺の携帯電話だと、たとえばお前に昨日と今日メール送ったら、お前のアドレスが履歴にひとつ残る。けどお前のやつ、履歴の宛先はまとめられてない。同じアドレスがいくつも残ってる。しかも五十件表示。──大量」
「──ちょっと、見せて」
「ほら。意味、わかった?」
「───」
「──なあ。お前、俺とつきあってた何ヶ月かのあいだに、どんだけの男と浮気したわけ? 俺と会うのがたいてい週に一度。会ってない時、どんだけの男と浮気したわけ?」
「──ごめん──なさい──」
「泣かなくていいから。答えろって」
「ごめん──なさ──」
「──答えられないほど浮気したの?」
「──ちが───」
「もういい。別れる」
「──見せたら、別れないって──」
「は? 浮気しまくってる女とこのままつきあえっての? 無理に決まってんだろ」
「もうしない! 絶対しないから───」
「無理。絶対無理。──ほら。携帯電話貸せ」
「──なに、してるの?」
「俺の番号削除してんの。あと発着信履歴。アドレスはこっちで変えるから、それだけ消しとけば、お前はもう俺に連絡してこれないだろ。まさかお前が番号メモしてるわけないし」
「──やだ! 別れたくない! お願い───」
「俺も無理。相手してくれる男なら、いくらでもいるだろ」
「──や──」
「削除完了。はい電話。あ、間違っても家にきたりすんなよ。ストーカー扱いで警察呼ぶから」
「待っ──」
「会っても話しかけてくんな。今日限り、お前のことは忘れる。赤の他人。じゃな」
「やだ! ──や──ごめ──さい───」




