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March On  作者: awa
6/12

06

「お前、今どこにいんの?」

「今? マシューの家」

「オンナは?」

「友達と遊ぶっつってたけど」

「お前のオンナ、他の男と歩いてた」

「は? どこで?」

「ホテル街。今さっき」

「見間違いじゃねえの?」

「男の腕組んで目の前歩いてきて、オレ見て顔隠したんだぞ。決まりだろ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「どうしたの? こんな時間に。雪、降ってるのに」

「お前、浮気してんの?」

「───」

「してんのかって訊いてんの」

「してない! そんなこと、するわけな──」

「ダチが、お前が他の男と楽しげに歩いてるとこ、見たっつってんだけど」

「──人違いでしょ」

「お前、顔隠したっつってた」

「そんなの──」

「ロック解除して、携帯電話見せろ」

「──ごめん──」

「それ、認めたってこと?」

「ごめんなさい──」

「泣かなくていいから見せろって」

「もう絶対、しないから──許して───」

「信じろっての? 携帯電話見せないのに? お前、俺のは何回見たわけ? それで俺が見せろっつっても見せないんだよな? 意味わかんねえんだけど」

「お願い──」

「もういい。別れる」

「──やだ! 別れたくない!」

「無理。だってお前、携帯電話見せねえもん。見せないんなら別れる」

「見せる! 見せるから──」

「早く。解除」

「──はい」

「──さすが。ロックはしてても一応、削除はしてるわな。怪しいやつのみ。──けど、宛先履歴までは削除してない」

「──え?」

「──登録してないアドレスがやたらあるんだけど。なにこれ」

「なに──言ってるの?」

「メール打つ時、宛先決めるだろ? どの宛先にメールを送ったか、その履歴が残る。俺の携帯電話だと、たとえばお前に昨日と今日メール送ったら、お前のアドレスが履歴にひとつ残る。けどお前のやつ、履歴の宛先はまとめられてない。同じアドレスがいくつも残ってる。しかも五十件表示。──大量」

「──ちょっと、見せて」

「ほら。意味、わかった?」

「───」

「──なあ。お前、俺とつきあってた何ヶ月かのあいだに、どんだけの男と浮気したわけ? 俺と会うのがたいてい週に一度。会ってない時、どんだけの男と浮気したわけ?」

「──ごめん──なさい──」

「泣かなくていいから。答えろって」

「ごめん──なさ──」

「──答えられないほど浮気したの?」

「──ちが───」

「もういい。別れる」

「──見せたら、別れないって──」

「は? 浮気しまくってる女とこのままつきあえっての? 無理に決まってんだろ」

「もうしない! 絶対しないから───」

「無理。絶対無理。──ほら。携帯電話貸せ」

「──なに、してるの?」

「俺の番号削除してんの。あと発着信履歴。アドレスはこっちで変えるから、それだけ消しとけば、お前はもう俺に連絡してこれないだろ。まさかお前が番号メモしてるわけないし」

「──やだ! 別れたくない! お願い───」

「俺も無理。相手してくれる男なら、いくらでもいるだろ」

「──や──」

「削除完了。はい電話。あ、間違っても家にきたりすんなよ。ストーカー扱いで警察呼ぶから」

「待っ──」

「会っても話しかけてくんな。今日限り、お前のことは忘れる。赤の他人。じゃな」

「やだ! ──や──ごめ──さい───」

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