セイントクロス(Saint Cross)
レクスに従う聖なる十字架を司る神獣
レクスにはセイントクロスという四柱の神獣が付き従っている。彼らは十字架の各辺を象徴している。
栄光のアーサーは、セイントクロスの頂点を司る。
祝福のリオンは、セイントクロスの右手を司る。
契約のリンドヴルムは、セイントクロスの左手を司る。
不吉のレイヴンは、セイントクロスの底辺を司る。
これらの『栄光』『祝福』『契約』『不吉』は神から人に与えられるものである。
栄光のアーサーは、最初にレクスと出会った神獣であり、北の地に住む白き熊であった。同族の中でも巨大な体を持っていたアーサーは、いつからか人々より神獣として崇められるようになっていた。しかしその一方で、崇められながらも実際は神の力を持っていなかったアーサーは、その現実に思い悩んでいた。そんな時に、大雪崩で人々の集落がいくつも飲み込まれて、アーサーは救いを求められた。持てる力で成し遂げようとするアーサーだったが、それはとても非力なものだった。それでも諦めなかったアーサーの前にルナエルが現れる。ルナエルは人のために全力を尽くすアーサーを神化させる。それによって人々を救ったアーサーは『栄光』を手にした。
その後、神獣となったアーサーの下にレクスが訪れる。彼らは共にネムの夢を彷徨い歩き、現実へと帰る栄光を手にした。
祝福のリオンは、二番目にレクスと出会った神獣であり、西の地に住む黒金の獅子であった。同族を治める彼女は、多くの獲物を狩り、群れを支えた。ある日、彼女の下にスウェアが訪れた。リオンはスウェアとの間に契約を果たし、人々を祝福することで神化することが約束された。そしてリオンは自らの鬣を祝福の証として与え、その全てがなくなった時に契約通りに神化した。このため、ライオンの雌には鬣がなくなったと言われる。
その後、神獣となったリオンの下にレクスが訪れる。彼女らは共にノギンの杯を飲み干し、成功を遂げる祝福を受けた。
契約のリンドブルムは、三番目にレクスと出会った神獣であり、東の海に住む白銀のリンドヴルムであった。大海の中で暮らしていた彼女を、周辺の島々に住んでいた人々は恐れ敬って、海が穏やかであるようにと生贄を捧げていた。それを食らっていたリンドブルムの下に、ある日、ディスが訪れる。ディスは、リンドヴルムが命を受け取るのであれば、その生命力を使って人の願いを聞き入れるように聡し、神化させた。こうして神となったリンドヴルムは、生贄をもたらす民族には穏やかな海と大漁をもたらし、そうでない民族には津波と腐敗した海産物による疫病をもたらす契約をした。
その後、神獣となったリンドヴルムの下にレクスが訪れる。彼女らは共にリブラの天秤にかけられ、命を共有する契約を結んだ。
不吉のレイヴンは南の空を飛ぶ漆黒のオオガラスであった。空から生まれて泣きむせぶ者を、病に苦しむ者を、死を迎えて涙する者を、殺戮されて慟哭を木霊させる者を見詰めていたレイヴンを、人はいつしか不吉をもたらす存在だと信じるようになっていた。ある日、レイヴンの下にロキエルが訪れた。ロキエルはレイヴンに運命を狂わせる力を与えた。
その後、神獣となったレイヴンの下にレクスが訪れる。彼らは共にディシェと賭けをして、けして定まらない運命という不吉を与えられた。
こうしてレクスに付き従うセイントクロスは、レクスが滅びるまで永遠に共にあり、レクスを支えたという。