メルス(Merth)
土を司る殺戮の神メルス
創世神で十二番目に生まれた女神がメルスである。その名前は古代ラグナ語で『殺戮』という意味がある。
彼女は土属性を司り、殺戮の神格を持つ。メルスを象徴するのは手枷、足枷、首輪であり、茶色をスピリチュアルカラーとしている。また13月を統治していて、霧が出る日に外に出るとメルスに攫われる言われる。
吸血鬼の姿を持つ神と伝えられている。吸血鬼とは、即ちドロシィのことであり、彼女は人間の始祖とも言われる。
その姿は『髪は乾いた土の色をしていて、肌は焼けている。目は赤く血に飢えており、いつでも他者を見下し、誰を殺すか品定めしている。そしてその牙を首元に突き立て、血を啜って笑うのである』と語られる。
メルスは始めて人間を守護した神として知られる。彼女は、心も持たず魂も宿さなった頃の、獲物を狩る爪も牙も持たず、草を食む胃も持たず、二本足で不格好に走り、空も飛べず、泳ぐことも他の獣に劣るような、最も弱い生き物であった人間を憐れんだ。まだ知性も持たぬドロシィというその人間を、メルスは殺す価値もないと思い、自分の配下になれば多少の力は与えてやろうと言った。ドロシィ達は、訳も分からず頷き、彼女の奴隷となった。
メルスは奴隷となったドロシィ達に、首輪と手枷と足枷を掛けて、危険な野山に出ないようにし、肉も得られず草も食せない彼らにマナを直接吸収する力や血を飲み栄養とする体を与えた。そしてドロシィ達の内、気にいったものだけを残し、他を離したところ、心も魂もないが命を啜ることが出来るようになったドロシィは、近寄る獣のマナを吸い尽くして殺し、数を増やすようになったという。
このことから、メルスは主従の繋がりを加護する神として、奴隷商人や奴隷自身から信仰されている。
ドロシィは、ロキエルによって他の人間を生み出す時の素体となった原種であるが、他の人間が知性を得るに従い、心も魂もないドロシィは忌避されるようになった。ドロシィから生み出されたベアストもマキナもフェアリーも、血を啜ることなくとも、肉も草も食べられるようになっており、さらに自分達の血を求め、時にドロシィ同士で血を奪うドロシィを恐れたのである。
よって、ドロシィは他の人間達から迫害されるのだが、この時にドロシィを守護したのもメルスであった。彼女は世界中で迫害されるドロシィを自分の城下に集め、一つの国を作った。そして全てのドロシィをその国民として、ドロシィを迫害した者全てを敵国とし、メルス自身の手で侵略し、殺戮した。
このメルスの殺戮を憂えた神々は、一つの決断をした。セアエル、アイ、ドロシィ、フェアリー、マキナ、ベアストの全ての特徴を持たず、しかして人間である種族を生み出し、それを人間六種を繋ぐ絆とするのである。ルナエルとロキエルがそれを行い、とあるドロシィの少女と少年にそれぞれの心と魂を与えた。それにより、人間六種に限りなく近く、しかしてどれとも違うハルモニィが生まれた。このハルモニィによって、人間は自分達が同じ存在だと認識して、争うことを止めた。